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消費税率引き上げの前に準備しておくこと

先日のブログでもご紹介いたしましたが、次の4月から消費税率は8%に引き上げられます。そして平成27年10月1日から10%になります。

消費税の増税は、企業経営に大きな影響を及ぼすため、実施までに対応について検討しておく必要があります。例えば以下のような点に注意すべきです。

<実務対応ポイント>

①価格転嫁
 多くの中小企業にとっては、消費税の増税時に、適時に価格へ転嫁していくことは難しいと言われます。日本商工会議所等の調査では、約5割の中小企業が、今回の消費税増税とともに価格転嫁を行う事ができないと答えています。立場の弱い中小企業が増税分を販売価格に上乗せしようとしても、取引先の大企業などから拒否される恐れがあります。
 ですが、もし価格転嫁できない場合は、粗利益と資金繰りがともに悪化してしまい、一層経営状況が悪化します。8%・10%と2段階の引き上げになるため、いつ、どのように転嫁していくかについて戦略的に検討していく必要があります。

※政府は、価格転嫁が適切に行われているかなどをチェックする「転嫁対策調査官」を  経済産業省など各省に設置することを検討しています。増税分の上乗せを拒否した企業に対しては、公取委などと連携して行政指導を行うとしています。指導が受け入れられない場合、公取委が増税分の支払いを勧告し企業名を公表。勧告に従わなければ、独占禁止法違反として罰則を科せるようにするとのことです。

 ②駆け込み需要対応・反動対応
 業種によっては消費税率引き上げに伴い、駆け込み需要が発生するため、この駆け込み需要に備えた経営戦略が重要です。
 一方で、駆け込み需要の反動による需要減少も予想されることから、その後の対応まで視野に入れる必要があります。一般的には、消費税率引き上げ後には国内消費が縮小すると考えられます。

③運転資金・納税資金の確保
消費税率の引き上げとともに、売上入金額・仕入出金額が大きくなります。仕入代金の支払いが先に行われる場合には、運転資金の確保をしっかりと行っておく必要があります。
 また、消費税の納税額が従来よりも大きくなることから、納税資金の確保等を検討する必要があります(定期積金の利用など)。
 預った消費税を運転資金として使用してしまっている企業が散見されるが、それは非常に危険な状態であります。

④システム対応
短期間に2度消費税率が引き上げられるため、レジや会計システムへの影響が大きく、経理実務に混乱が予想されます。
 当分の間5%・8%・10%の税率が会計ソフト上混在することとなります。
(例:発生時の売掛金の税率を把握しておかないと貸倒処理ができない)
 会計ソフトのカスタマイズ、バージョンアップ、新規購入等の対応を行う必要があります。

今後、いろいろと大変なことも予想されますが、消費税増税に負けず、経営を成功させていきたいものです。お困りの際はいつでもご相談くださいませ。11月には消費税法改正セミナーの講演を2回させていただく予定です。


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