デューデリジェンスとは何か?
2017.04.29 ビジネスの話
おかげさまでたくさんのデューデリジェンスを担当させていただいております。毎月何かしらのデューデリジェンス担当させていただいておりますが、デューデリジェンスって何ですか?と聞かれることもあるので改めてご紹介を。
デューデリジェンスで代表的なものは財務デューデリジェンス
デューデリジェンス(Due diligence)は、企業買収や不動産投資が行われる際に投資対象の企業・事業・資産価値等を適切に調査するための広い手続のことをいいます。デューデリジェンスを企業買収や不動産投資に先立ち実施することで、対象企業や事業等の収益性やリスクを包括的に把握することができ、適切な投資判断が実施できることになります。
デューデリジェンスには、財務、人事、法務、ビジネス、環境といった様々な分野にわたって実施されることがあり、その実施内容によって実施する専門家も異なります。
デューデリジェンスで代表的なものは企業の収益性や経営の健全性についての査定である財務デューデリジェンスです。一般にデューデリジェンスと呼ばれると財務デューデリジェンスを差し示すことが多く、DDと略される場合もあります。財務デューデリジェンスでは、会計や税務に関する深く広い知識が必要であるため公認会計士が担当することが多くなっています。
デューデリジェンスと会計監査との違い
公認会計士は会計監査を独占業務とする士業です。デューデリジェンスも監査に多少類似した分析的手続等を実施し、対象企業・事業等の調査を行います。デューデリジェンスでは、大きい案件の場合、複数の公認会計士が対象企業やFAである証券会社等の部屋に張り付き、数週間にわたって作業に従事します。対象企業の経理や財務担当者にインタビューを行い、必要な経理資料の提供を受けながら作業を進めていきます。
このような作業内容は会計監査とデューデリジェンスは比較的近いといえます。しかし、デューデリジェンスには会計監査にはない目立った特徴があります。
まず、デューデリジェンスは特定の顧客の要請に応じて実施されるものです。会計監査は不特定多数の株主や未来の投資家のために実施され、監査内容についても法律や会計基準に準拠する必要がありますが、デューデリジェンスは法制度に基づいたものではありません。依頼企業が欲しいと思う情報について詳細な分析が求められる一方、それ以外の情報については省くことが可能だったりします。
たとえば、特定事業の収益性について詳細な分析が必要とされる一方、固定資産の状況についてはほとんど分析しなくてよかったりすることもあります。
また、バリューエーション(株価算定)に役立つ情報を入手するために、将来の収益見通しについて見る傾向が強いのがデューデリジェンスの特徴です。会計監査でも、減損会計や税効果会計の会計処理をめぐり、対象企業の収益性について厳密に見る場合があります。しかし、会計監査で収益見通しが厳密に検証されるのは、収益見通しが厳しい場合であり、堅調に収益が計上されていれば、それほど厳密に見られることはありません。
しかし、デューデリジェンスでは稼ぐ能力の検証が重要視されることがしばしばあります。たとえ現在、収益が計上されていても、将来、その収益が継続しなければ買収したところで無意味となってしまいます。そこで、対象企業の事業の将来性について、競合他社の状況や市場の動向分析などを通して検証される傾向が強くなっています。
デューデリジェンスの重要性とその影響
デューデリジェンスは、企業買収において実施されることが多くなっています。デューデリジェンスは特定企業の状態を調査するもので、その結果は対象企業を買収するかどうかの判断に影響を与えることになります。またバリューエーション(株価算定)にも役立ちます。
適切なデューデリジェンスが実施されれば、将来に対する大きな可能性が秘めた企業が投資対象となることで飛躍するチャンスをつかめることになります。逆に、将来の可能性が薄いにも関わらず、市場から過大評価をされた企業の本質をデューデリジェンスにより見抜けるようになり、企業合併や買収における失敗を防げるようになります。
適切な企業合併や買収の促し、健全な企業の成長を促すために必要となるのがデューデリジェンスです。短い期間で結果を出す刺激的な業務です。決して楽ではなく大変な業務ですが、私は大好きな業務です。