経営者のための生命保険コラム

法人が加入する6種類の生命保険【徹底解説】

生命保険には様々な種類があります。特に法人で契約される場合は、その保険をどのように活用するかによって、節税対策としても活用することができます。一言で「法人が加入する保険」と言ってもどういった保険をどのように活用していけばよいのか、その選択と活用方法について詳しい経理担当者や経営者の方は意外と少ないのが実情です。そこで今回は、6種類の保険について、どういったものなのかをご説明しながら活用方法についてもご説明します。

逓増定期保険

(1)逓増定期保険とは?

逓増定期保険とは、定期保険の一種ですが、保険金額が経過期間とともに増額し、最終的には基本保険金額の5倍になるという一風変わった保険です。これは、短期間で解約時の返戻率(支払保険料と解約払戻金の割合)を高水準とするため、保険金額を段階的に逓増させるとう手法を取っております。経理処理としては、支払った保険料の2分の1を損金として処理することができ、残り2分の1の保険料は、保険積立金として資産計上されます。返戻率の特徴としては、年齢が高い被保険者であっても高返戻率を出す設計が可能であること、返戻率のピークを時期が短期間であり、ピーク時は90~100%程度と高い水準になることです。注意点としては、設計にもよりますが、返戻率のピークを迎えると急激に落ちてしまう点です。加入後の契約管理が特に重要な保険です。

(2)逓増定期保険の活用方法とは?

逓増定期保険の大きな特徴である「短期間での高返戻率」を活用し、一般的に5~15年の期間での役員の退職金の資金準備として活用されることが多いです。退職時期に返戻率のピークを設定し、毎年の保険料を2分の1損金処理しながら法人税を軽減し、ピーク時に解約し受取った解約払戻金を退職金の原資として支給するという流れです。退職金の支給は大きなキャッシュが必要になり、支給後に資金繰りが悪化するケースや退職金を金融機関からの借入などにより賄うケースがあります。また、支給する退職金は全額が経費(損金)扱いになることから、退職年度の財務諸表を悪化させてしまいます。このような退職金に係る問題点について、逓増定期保険を活用することで、解決できます。逓増定期保険により財源確保ができ、かつ解約時に2分1部分の損金額部分を収益することになりますので、財務諸表の悪化を防ぐことができます。また、保険加入期間は法人税の節税も合わせて行うことができますし、社長の在任期間中の万が一の死亡による運転資金の確保ができる保障面を考慮するとその効果は大きいと言えます。ただし、返戻率ピークが短期間かつ、ピーク後に返戻率が急降下することから、退職時期がピーク時期と合わない場合などは、返戻率の目減り分、効果が半減しまうことが想定されます。そのため、加入時に出口を見据えたプランニングが、とりわけ重要な保険と言えます。
また、一方で解約前に法人から社長や役員などの個人に契約を譲渡するという手法もあります。こちらは法人税法および所得税法の規定と保険設計をうまく活用した手法になり、効果は大きいですが、税務リスクを伴う手法になりますので、別章でご説明いたします。

長期平準定期保険

(1)長期平準定期保険とは?

長期平準定期保険とは、保険期間を長期間(最長100歳)の設定とすることができる定期保険です。特徴としては、前述の逓増定期保険と比べると、返戻率のピークを長めに設定することができる点です。こちらも支払った保険料の2分の1を損金として処理することができます。残り2分の1は保険料、保険積立金として資産計上されます。返戻率は若ければ若いほど高率となり、加入年齢によっては100%を超える設計も可能です。逓増定期のようにピークを過ぎると返戻率が急激に落ちることはありませので、ある程度柔軟な対応ができる保険と言えます。

(2)長期平準定期保険の活用方法とは?

長期平準定期保険は、長期間安定した返戻率を確保でき、また年齢が若ければ若いほど返戻率が高くなるという特徴のため、30~40代の経営者の方が退職金の資金準備と死亡保障の確保目的で活用されることが多いです。また退職金だけではなく、安定した返戻率を確保できるという点で、簿外資産の形成目的での活用価値も高いです。例えば資金繰りが困難になった場合に契約者貸付制度により、解約払戻金の一定範囲内で資金貸付を受けられることや、保険金額を減額することにより、減額部分に伴う解約払戻金を受け取ることができます。極端かもしれませんが、銀行預金を一部保険会社に移し、積立額の半分を損金にするようなイメージです。会社の財務強化にあたっては、納税による社外流失を防ぐことが重要になります。法人税の軽減とともに、簿外資産の形成を行うには最適な保険種類と言えます。より効果的な手法として、被保険者が若ければ若いほど返戻率が高くなるという性質上、ご子息などの年齢の若い方を被保険者とすることも検討すべき点になります。この場合、税務上損金性を否認されないためには、一定の手当が必要になりますので別章でご説明させていただきます。
長期平準定期保険の注意点としては、長期間保険料の支払いをすることになるため、保険料の設定についても無理のないものにする必要があります。また、返戻率のピークが逓増定期に比べると遅いため、短期間での退職金の準備には向いていないです。

終身保険

(1)終身保険とは?

終身保険とは、この保険はその名の通り、一生涯にわたり保障が続く保険です。この保険には掛け捨て部分がありません。そこからわかるように、貯蓄性が非常に高い保険といえます。そのため、将来的な資産形成をしながら、死亡保障も確保できるという保険です。経理処理としては、先にも述べたように貯蓄性が高いこと、掛け捨てではないことから損金として扱うことができず、支払保険料の全額を資産計上することになります。長期平準定期保険と比べると大きな返戻率の差異はないため、法人で加入するのであれば、2分の1損金算入が可能な長期平準定期保険の方が税務メリットを享受できる点で有利になります。

(2)終身保険の活用方法とは?

法人が加入する終身保険には大きなメリットはないと言われております。その理由は単純で、貯蓄性が高い保険ということから会計処理は、保険積立金として資産へ計上され、損金として扱える部分がないためです。そのため、活用場面としては、第3者が株主として入っており、会社の利益をある程度確保しなければならないなどの理由で保険料を費用(損金)処理はしたくないが、役員の死亡保障は確保したいというような場合に限られてきます。ただし、死亡保障としては、掛捨定期など保険料の低料なもので手当する方法もあるため、終身保険の活用場面と少ないといえます。

生活障害保障型定期保険

(1)生活障害保障型定期保険とは?

生活障害保障型定期保険とは、経営者が病気・事故で介護状態となってしまった場合に保険金が支払われる保険です。いわば、経営者が死亡しないまでも介護状態となり、会社を離脱しなければならない場合でも、一定の資金を確保するための保険です。この保険の経理処理については、現状法人税法上の規定はないため、いわゆる定期保険に関する規定(法人税法基本通達9-3-5)を準用することになり、保険料の全額が損金として処理できます。返戻率のピークは割と短期間となり、ピーク時は70~90%です。返戻率は、逓増定期や長期平準定期保険よりも低いですが、全額損金処理が可能であるため、法人税の負担軽減分も含めて考えると、有効な保険種類といえます。ただし、ピーク時期が短期間であること、年齢が高齢の場合だと返戻率が低くなってしまう点で、被保険者の設定やピーク時の設定を検討しなければなりません。一般的に被保険者をご子息など後継者とし、社長の退職金準備をする目的で加入するケースが多いです。

(2)生活障害保障型定期保険の活用方法とは?

生活障害保障型定期保険の大きな特徴として、保険料を全額損金処理でき、かつ返戻率を70~90%程度確保できる点です。返戻率は逓増定期保険や長期平準定期保険と比較すると見劣りいたしますが、2分の1損金ではなく、全額損金処理できるという点で、節税効果はもっとも大きい保険といえます。毎期の利益が安定しており、継続して全額損金処理による節税メリットを享受できることが想定される場合は、優先的に検討すべき保険です。被保険者の年齢とピークまでの期間が退職時期などの出口がマッチすれば、その効果は絶大といえます。ただし、保険料は全額損金処理のため、解約時には解約払戻金全額を収益計上しなければなりませんので、解約時期を間違うと法人税負担のインパクトが大きくなってしまいます。そのため、逓増定期保険と同様、加入時のプランニングが重要な保険といえます。

法人がん保険

(1)法人がん保険とは?

がん保険とは、がんになった場合の入院・手術・がん死亡を保障する保険です。法人でのがん保険の契約は、平成24年に税制改正があり、改正前は全額損金算入が可能でしたが、改正後の契約は2分の1損金算入の扱いになります。返戻率の推移は長期平準定期保険と同じような推移となりますが、ピークは長期平準定期保険よりも若干見劣りします。活用方法としては、経営者や役員のがんの保障を確保しながら、退職金準備をする目的で加入されますが、改正後については、節税メリットが半減したこともあり、以前によりも加入するケースが少なくなってきております。

(2)法人がん保険の活用方法とは?

法人がん保険は保障目的で加入されることが多いです。長期平準定期保険よりは返戻率は見劣りするものの長期平準定期保険にはない「がん」という保障を確保できます。生涯2人に1人ががんに罹患する時代と言われております。仮に経営者ががんに罹患された場合は、長期療養を強いられますし、場合によっては職場復帰ができない可能もあります。がんにより経営者不在となった場合の事業リスクをこのがん保険でカバーすることができます。そのため長期平準定期保険とがん保険を組み合わせて加入することより、死亡保障・がんの生存保障確保しながら節税を行うことが可能です。また、節税目的で大きく保険に加入しようと思うと死亡保障額の上限額がありますので、上限の関係で長期平準保険や逓増定期保険に加入できない場合に、がん保険を活用するケースもあります。

養老保険

(1)養老保険とは?

養老保険とは、満期を迎える前に死亡した場合は死亡保険金が支払われることになり、満期を迎えることができた場合は、満期保険金が受け取れるという保険です。つまり、必ずどちらかの保険金は受け取れるというのがこの養老保険の特徴です。もちろん解約時に解約返戻金も受け取ることができます。資産性の高い保険になりますので、返戻率(満期時含め)は、保険期間の設定にもよりますが100%前後です。上記に紹介した5つの保険とは違い独特な保険金受取人の設定ができます。死亡保険金受取人と満期保険受取人をそれぞれ設定でき、法人、被保険者、被保険者遺族のいずれかを選択します。この受取人の組み合わせで経理処理が変わってきます。まず死亡保険金も満期保険金も法人が受け取る場合は、保険料は全額資産計上されます。次に死亡保険金は被保険者の遺族、満期保険金は被保険者が受け取るとした場合は、全額損金算入扱いになりますが、給与の現物支給の位置づけとなり、給与課税の対象になってしまいます。次に死亡保険は被保険者の遺族、満期保険金は法人とした場合は、一定要件を満たすことで2分の1損金の扱いとなります。このように受取人の設定により、経理処理が大きく変わる保険のため、基本構造を抑えたうえで加入することが重要な保険になります。

(2)養老保険の活用方法とは?

養老保険はノーマルで加入してもメリットはないと言われております。養老保険の代表的な活用方法としてハーフタックスプランがあります。契約形態としては、被保険者を従業員とし、死亡保険金受取人を従業員の遺族、満期保険金受取人を法人と設定します。法人税法上、対象の従業員を一定の規則に従い加入させることにより保険料の2分の1を福利厚生費として損金算入することが認められています。そのため、従業員の死亡保障を確保しながら、従業員の生存退職金の財源準備が可能になります。従業員の退職金制度としては401kや確定給付年金、中退共などありますが、この養老保険のハーフタックスプランも多くの法人で採用されております。
また、この養老保険は円建て商品だけではなく、ドル建て商品も発売されております。日本の金利水準が低迷するなか、米国の金利水準は高水準を推移しており、円建て商品よりも高い返戻率を確保することができます。このハーフタックスプランは、税務上一定範囲内であれば役員と従業員の加入保険金金額の差を設けることができるため、従業員退職金だけではなく役員退職金としても活用が可能です。2017年4月に日本の標準利率の引き下げが行われますので、今後は益々このドル建て商品の需要が高まってくるものと考えられます。

まとめ

このように法人が契約する生命保険の種類は、個人同様数多く存在します。またその後の活用方法によってもその保険に加入すべきなのかが変わってくるというのも特徴です。今後の会社の運営のために貯蓄性という特徴を活かし資産として計上しておくのか、節税対策として損金算入できる全額損金タイプに加入するのか、それによって法人の場合は会社運営と、決算の際の税額が大きく変わるということがいえます。個人の場合保険と聞くと少し抵抗を感じる方も多いといえますが、法人の場合はあくまで会社運営のための保険だといえます。正しい選択をして万が一に備えておく必要があるといえます。

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