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IAS11号 工事契約

1.概要
IAS第11号では工事契約の収益および費用についての会計処理について定めています。

2.工事契約の定義
IAS第11号では工事契約を以下のように定義しています。

工事契約とは、単一資産もしくは、設計、技術および機能、あるいは最終的な目的や用途が相互に関連、依存する複数資産の建設工事のための特別な契約のことをいいます。

また、IAS第11号では以下も工事契約に含めます。
①建設工事に直接関係する役務提供契約
②資産の破棄あるいは修復、資産の取り壊し後の環境修復に関する契約

3.工事契約の種類
工事契約には主に以下の2つの契約があります。
①固定価格契約
建設請負人が固定の契約額や、出来高当たりの固定価格で請け負う工事契約。原価に関するエスカレーション条項が追加されることもあります。

②原価加算契約
許容範囲の原価あるいはその他方法で定められた原価に、一定割合または固定報酬額を加算した額が建設請負人に支払われる工事契約。

4.工事契約の扱い
IAS第11号では、特定の状況下の工事契約の扱いについても定めています。

(1)一つの契約下で多くの資産を請け負う場合
以下の条件を全て満たすのであれば、各資産の契約は別個の工事契約として扱わなけければなりません。
①各資産にそれぞれ別の見積書が提示されている
かつ
②各資産はそれぞれ別に交渉されており、建設請負人と発注者が個々の契約の関連部分を受託したり無効にしたりできる
かつ
③個々の資産の原価と収益が特定できる

(2)追加資産の建設や契約の修正があった場合
以下の条件のいずれかを満たすのであれば、追加資産の建設工事は別個の工事契約として扱わなければなりません。
①追加資産が、設計、技術および機能において、当初の契約対象資産と著しく異なる場合
②追加資産の価格が当初の契約額と関係なく決められる

(3)工事契約を結合する場合
以下の条件を全て満たすのであれば、一群の契約を単一の工事契約として扱わなければなりません。
①一括して一群の契約が取り決められている
②一群の契約が相互に密接に関連するため、事実上、総合的な利益率の単一プロジェクトの一部となっている
③一群の契約が同時もしくは連続して進行する

5.工事契約による収益と原価   
(1)工事契約による収益
IAS第11号によると、工事契約による収益は以下の2つから構成されます。
①契約上合意された当初の収益額

②建設工事の変更、クレームおよび報奨金のうち、収益となる可能性が高く、信頼しうる方法で測定できるもの

※クレームとは、契約価格に含まれない原価の補償として建設請負人が発注者に請求する金額を指します。
※報奨金とは、一定の契約履行を満たした場合やそれ以上の成果あげた場合に建設請負人に支払われる追加の金額を指します。

(2)工事契約の原価
IAS第11号では、工事契約の原価は以下で構成されると定めています。
①特定の契約に直接関連する原価
(例)工事現場の労務費、契約下で使用された工場や設備の減価償却費

②建設業務全般に帰属し、該当する契約に配分することができる原価
(例)保険料、工事間接費

③契約条件下で発注者に請求できると定められたその他の原価
 
6.工事進行基準による収益および費用の認識
IAS第11号では、工事契約の収益認識について以下のように定めています。
工事契約の結果を信頼性をもって見積もることができる場合、当該工事契約に付随する収益と原価は、各期末の報告日時点の進捗度に応じて収益および費用として認識しなければなりません。

進捗度の決定には以下の方法を用います。
①これまでに発生した工事原価の見積工事契約に占める割合
②工事調査の実施
③契約に基づく工事の物理的完成度

7.原価回収基準による収益および費用の認識
工事契約の結果を信頼性をもって見積もることができない場合は、発生した工事原価のうち回収可能性が高い部分についてのみ収益を認識し、かつ工事原価は発生した期間の費用として認識しなければなりません。

8.予期される損失の認識
IAS第11号によれば、工事原価が工事収益を超過する可能性が高い場合、予期される損失はただちに費用として認識しなければなりません。

9.日本基準との比較
日本基準では工事成果が信頼性をもって見積もることができる場合には工事進行基準、それ以外の場合には工事完成基準によって収益を認識します。

10. 実務上の留意点
開示
企業は財務諸表において以下について開示しなければなりません。
(1)工事契約に関する開示
①各会計期間に収益として認識された工事契約収益の額
②各会計期間に認識された工事契約収益決定のために使用した方法
③進行中工事の進捗度決定のために使用した方法

(2)進行中の工事契約に関する開示
①現在までも発生原価と認識した利益(認識した損失を控除)
②前受金の額
③保留金の額

表示
企業は工事契約の発注者への債権・債務を以下のように表示しなければなりません。
①工事契約の発注者への債権総額を資産として表示する
②工事契約の発注者への債務総額を負債として表示する

11.重要な用語
・エスカレーション条項(Escalation Clause)
指定の原価の上昇にあわせて契約金額の引き上げを定めた条項

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