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IAS31号 ジョイント・ベンチャーに対する持分

1.概要
IAS第31号では、ジョイント・ベンチャー(Joint Venture)に対する持分に関する会計処理を定めています。ジョイント・ベンチャーとは、複数の当事者が共同支配によって経済活動を行う契約上の取り決めをいいます。

通常は書面で以下の事項について、ジョイント・ベンチャーに対する共同支配の取り決めを行います。
・ジョイント・ベンチャーの活動、期間、報告義務
・ジョイント・ベンチャーの取締役会の選定
・共同支配投資企業の投票権
・共同支配投資企業の資本の拠出
・ジョイント・ベンチャーによる生産物や損益の共同支配投資企業への配分
これらの取り決めにより、共同支配投資企業は一方的にジョイント・ベンチャーを支配できません。

ジョイント・ベンチャーには以下の3つの形態があり、適用される会計処理や財務報告が異なります。
・共同支配の営業活動
・共同支配の資産
・共同支配企業

2.共同支配の営業活動
共同支配の営業活動は、共同支配投資企業から独立した事業体を設立せずに、共同支配投資企業の資産、資源を利用して営業活動を行う形態です。例えば、3社の共同投資支配企業が、生産、販売、供給を行うために、各々の技術、資源、営業を結合させる場合がが挙げられます。
共同支配の営業活動では、共同支配投資企業から独立した事業体を設立されないので、ジョイント・ベンチャー事態の財務諸表は作成されません。そのため、IAS第31号では、共同支配の営業活動に対する持分について以下の内容を共同支配投資企業の財務諸表で認識するよう定めています。
・共同支配投資企業の支配する資産及び負債
・共同支配投資企業に生じた費用及びジョイント・ベンチャーの収益のうち自己持分相当額

3.共同支配の資産
共同支配の資産は、共同支配投資企業から独立した事業体を設立せずに、共同支配投資企業が資産を共同支配または共同所有する形態です。例えば、2社の企業が不動産を共同で保有し、各々の企業が賃借料を受け取り、費用を負担する場合が挙げられます。
共同支配の資産では、共同支配投資企業から独立した事業体を設立されないので、ジョイント・ベンチャー事態の財務諸表は作成されません。そのため、IAS第31号では、共同支配の資産に対する持分について以下の内容を共同支配投資企業の財務諸表で認識するよう定めています。
・共同支配の資産のうち自己持分相当額
・共同支配投資企業に生じた負債
・他の共同支配投資企業と共同して生じたジョイント・ベンチャーに関連する負債のうち自己持分相当額
・共同支配投資企業に生じた費用及びジョイント・ベンチャーの収益のうち自己持分相当額
・ジョイント・ベンチャーに対する自己持分に関して生じた全ての費用

4.共同支配企業
共同支配企業は、共同支配投資企業が持分を所有する事業体の設立を行うジョイント・ベンチャーです。共同支配企業自身が、資産を保有し収益獲得のための活動を行います。そして、共同支配投資企業は、共同支配企業の獲得した利益の分配を受けることとなります。
IAS第31号では、共同支配投資企業は、共同支配企業の持分に対する会計処理として比例連結(Proportionate Consolidation)または代替法として持分法を適用しなければならないとしています。

比例連結は、共同支配企業の資産、負債、収益、費用の各科目のうち共同支配投資企業の持分割合相当額だけ共同支配投資企業の財務諸表上で認識する会計処理です。
比例連結は、共同支配投資企業の持分割合相当額だけが合算されるので、IAS第27号「連結及び個別財務諸表」で定められている親会社の持分割合に関係なく全額を合算する全部連結とは異なります。

共同支配企業の持分に対する会計処理として持分法を採用した場合には、IAS第28号「関連会社に対する投資」で定められている会計処理方法に従うこととなります。

共同支配投資企業がジョイント・ベンチャーに資産を拠出したり、売却することで、共同支配投資企業の資産の所有に伴う重大なリスクと経済価値がジョイント・ベンチャーに移転している場合には、共同支配投資企業は、移転に伴う損益のうち他の共同支配投資企業の持分に帰属する金額のみを認識しなければなりません。すなわち、損益のうち共同支配投資企業の自己の持分に相当する金額は、企業集団内の取引として、相殺消去されることとなります。

共同支配投資企業がジョイント・ベンチャーから資産を購入する場合には、共同支配投資企業が独立した第三者に当該資産を売却するまで取引から生じたジョイント・ベンチャーの損益に対する自己の持分に帰属する金額を認識してはなりません。

共同支配投資企業が、共同支配企業に対する共同支配や重要な影響力を有しなくなった場合、その日から比例連結または持分法の適用を中止しなければなりません。

5.開示
ジョイント・ベンチャーに対する持分について以下の開示が求められています。
①偶発債務
・ジョイント・ベンチャーに対する持分に関連して発生した共同支配投資企業の偶発債務のうち自己持分相当額
・ジョイント・ベンチャー自体の偶発債務について共同支配投資企業が偶発債務を負っている偶発的支払義務のうち自己持分相当額
・他の共同支配投資企業の負債について、共同支配投資企業が偶発的支払義務を負っているために偶発負債となっているもの

②支出契約
・ジョイント・ベンチャーに対する持分に関連して発生した共同投資企業の資本的支出契約のうち自己持分相当額
・ジョイント・ベンチャー自体の資本的支出契約のうち自己持分相当額

③ジョイント・ベンチャーに対する持分の一覧、持分割合

④共同投資支配企業が共同支配企業に対する持分を認識するために用いる方法

6.重要な用語
共同支配(Joint Control)
戦略的財務及び経営の決定に際して、共同支配投資企業の一致した合意が必要とする場合に存在する、経済活動に対する支配の共有

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