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IAS8号 会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬

1.概要
IAS第8号は、会計方針の変更、会計上の見積りの変更、及び誤謬の訂正についての会計処理とその開示について規定しています。IAS第8号により、財務諸表の期間比較可能性と企業間の比較可能性の向上が期待されます。

2.会計方針の変更
会計方針とは、企業が財務諸表を作成するにあたって採用する原則、基準、慣行、ルール、実務をいいます。
会計方針の変更は、IFRSで認められた会計方針から他のIFRSで認められた会計方針に変更することをいいます。例えば、棚卸資産の評価方法を移動平均法から、先入先出法に変更することが会計方針の変更に該当します。

会計方針の変更は、基準や解釈指針で変更が必要とされている場合、または、取引や事象が及ぼす影響について企業の財政状態、経営成績、キャッシュ・フローに対して従前より信頼がおけ、財務報告の目的に適合する情報を提供する場合にのみ求められます。

会計方針の変更が遡及的適用される場合には、表示されている最も古い年度の財務諸表の影響を受ける利益剰余金の期首残高及び各年度に開示されている比較可能額を新しい会計方針がすでに適用されていたかのように調整します。

遡及的適用には制限規定があり、以下の場合です。
・会計方針を変更する上で遡及的適用による過年度における特定の影響額の測定が実務上不可能な場合
遡及的適用が可能となる最も古い期間の資産や負債に対して新しい会計方針を遡及的適用し、利益剰余金の期首残高をそれに応じて修正します。

・当期首において、過年度について新しい会計方針を遡及的適用することによる累積的影響額の測定が実務上不可能な場合
実務上、遡及的適用が可能な最も古い日付から将来に向かって、新しい会計方針を適用するために比較可能情報を修正します。

3.会計上の見積りの変更
会計上の見積りの変更は、将来に向かっての適用をするという会計処理が行われます。
会計上の見積りの変更の影響は、変更期間だけに影響を与える場合はその変更期間に、変更期間と将来期間の双方に影響を与える場合にはその変更期間と将来期間に渡って、期間損益に含めます。例えば、会計上の見積りの変更には、減価償却の償却期間の変更が挙げられます。

会計上の見積りの変更と会計方針の変更を区別する事が困難な場合には、会計方針の変更として扱われます。

4.誤謬の訂正
過去の会計処理の誤りが、次期以降の会計期間で発見された場合、遡及的修正再表示という会計処理が適用されます。
IAS第8号では、誤謬が生じた表示対象となる過年度の比較可能金額を修正再表示するとしています。また、誤謬が表示対象となる最も古い期間よりも以前に生じている場合には、最も古い表示対象期間の資産、負債、利益剰余金の期首残高を修正再表示します。例えば、遡及的修正再表示には、過去の売上原価が誤っていた場合の修正が挙げられます。

5.開示
基準や会計指針が初めて適用され、当期または過年度の財務諸表に影響がある、または将来期間に渡る影響を及ぼす場合には、以下の内容の開示が求められます。
・基準や会計指針の名称
・会計方針の変更の内容
・影響を受ける財務諸表の表示項目
・修正後の1株当たり利益及び希薄化後1株当たり利益
・実務上可能な範囲で、表示されている期間より以前の期間に関する修正額

任意の会計方針の変更が、当期または過年度の財務諸表に影響を与える場合には、以下の内容の開示が求められます。
・会計方針の変更の内容
・新しい会計方針の適用が適切な情報を提供する理由
・影響を受ける財務諸表の表示項目
・修正後の1株当たり利益及び希薄化後1株当たり利益
・実務上可能な範囲で、表示されている期間より以前の期間に関する修正額

当期または将来期間に影響を及ぼす会計上の見積りの変更については、内容と金額の開示が求められますが、将来期間に及ぼす金額的影響の見積りが不可能である場合にはその旨の開示が求められます。

誤謬の訂正がある場合には、以下の内容の開示を行います。
・過年度の誤謬の内容
・影響を受ける財務諸表の表示項目
・修正後の1株当たり利益及び希薄化後1株当たり利益
・最も古い表示期間の期首の修正額

6.重要な用語
遡及的適用(Retrospective application)
新しい会計方針を、既に適用されていたかのように取引や事象に適用すること。

将来に向かっての適用(prospective application)
会計上の見積りの変更の影響を変更により影響を受ける当期及び将来期間において認識すること。

遡及的修正再表示(Retrospective restatement)
財務諸表の構成要素の認識、測定、開示を過年度に誤謬が生じていなかったものとして訂正すること

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