IFRS6号 鉱物資源の探索及び評価
1.概要
IFRS第6号では、鉱物資源の探索及び評価についての会計処理や開示に関して定めています。
特に採掘事業に従事している企業において、探査及び評価のための支出が重要であるため、IFRS第6号が定められました。
2.鉱物資源の探索及び評価の定義
IFRS第6号では、鉱物資源の探索及び評価を以下のように定義します。
鉱物資源の探索及び評価とは、企業が特定の箇所で探査を行う法的権利を取得した後の鉱物、石油、天然ガス及び類似の再生不可能な資源を含む鉱物資源の調査及び鉱物資源の採掘の技術的及び経済的な実行可能性に関する判断であるとされています。
3.鉱物資源の探索及び評価で要求されること
IFRS第6号では、以下のことが求められています。
・探査及び評価の支出に関する現行の会計実務に限られた改善を行うこと。「限られた改善」とは、企業が従来から採用してきた会計方針がIFRS第6号の規定と合致していなくても、その会計実務の継続が是認されることを意味します。
・探査及び評価資産を認識する企業が、本基準に準拠して資産の減損の評価を行い、実際の減損についてはIAS第36号「資産の減損」に準拠して減損を測定すること。
・鉱物資源の探索及び評価から生じる金額を財務諸表で特定及び説明し、財務諸表の利用者が認識済みの探査及び評価資産からの将来のキャッシュ・フローの金額、その発現の時期、及び確実性について理解する時の役立つ情報を開示をすること。
4.鉱物資源の探索及び評価の適用範囲
IFRS第6号は、探査及び評価のための支出に適用されます。
しかし、鉱物資源の探索及び評価に従事する企業の会計処理のその他の側面については取り扱っていません。また、IFRS第6号の適用範囲は非常に狭く、特定の場所を探査する法的権利を取得する以前に発生した支出や鉱物資源の採掘の技術的な可能性及び実行性が立証された後に発生する支出はIFRS第6号の対象外となります。
5.探査及び評価資産の認識、測定及び評価
IFRS第6号では、探査及び評価資産の認識時の測定について、取得原価で評価しなければならないと規定しています。
企業は、探査及び評価資産として、どの支出が計上されるべきかを規定する会計方針を決めて、首尾一貫して会計方針を適用しなければなりません。
(例)
・探査権の取得
・地勢的、地理的、地球化学、及び地球物理学的研究
・探査向け掘削
・トレンチ作業
・標本採取
認識後の探査及び評価資産には、原価モデルまたは再評価モデルを適用しなければなりません。
探査及び評価資産は資産の性質に応じて、有形資産または無形資産に分類しますが、首尾一貫して会計方針を適用しなければなりません。
IFRS第6号では、以下の場合について、探査及び評価資産の原価についての会計方針の変更ができます。
・会計方針の変更により、利用者の経済的意思決定ニーズにより目的適合となり、信頼性も損なわれない場合。
・信頼性が向上し、ニーズに対する目的適合性が損なわれることのない場合。
6.探査及び評価資産の減損
IFRS第6号では、事実と状況から、探査及び評価資産の帳簿価額が回収可能価額を超過すると思われる場合には、かかる探査及び評価資産については減損の評価をしなければならないと規定されています。
探査及び評価資産を識別する際には、IFRS第6号が規定する以下の事実及び状況に基づいて減損の判定を行います。
①企業が特定の箇所を探査できる権利を有している期間が、その期間または近い将来に終了する、または更新が期待されない。
②特定箇所の鉱物資源の更なる探査及び評価に関する実質的な支出に対する予算が確保されない、または支出が計画されていない。
③特定箇所の鉱物資源の探査及び評価を行っても、商業的に実行可能な鉱物資源の発見には至らず、企業がその活動の廃止を決定している。
④特定箇所の開発が進められていく可能性は高いが、探査及び評価資産の帳簿価額が、開発が成功しても、または販売されても、完全に回収される可能性が少ないことを示す十分なデータがある。
探査及び評価資産の帳簿価額が回収可能価額を超過すると思われる場合には、IAS第36号「資産の減損」に準拠して減損を測定、表示及び開示をしなければなりません。
7.探査及び評価資産の開示
鉱物資源の探査及び評価により生じる財務諸表に計上される金額を特定し、その説明に関する情報の開示をしなければなりません。
具体的には以下の内容です。
・探査及び評価資産の認識を含む、探査及び評価支出に関する会計方針。
・鉱物資源の探査及び評価から生じる、資産、負債、収益及び費用、営業活動キャッシュ・フロー及び投資活動キャッシュ・フローの金額。
8.重要な用語
探査及び評価資産(exploration and evaluation assets)
企業の会計方針に準拠して資産として認識される探査及び評価に関する支出
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