IFRS9号 金融商品
1.概要
IFRS第9号は、IAS第39号「金融商品:認識及び測定」を簡素化して、差し替えることを目的として定められました。
IFRS第9号は、現行のIAS第39号「金融商品:認識及び測定」の範囲内である全ての金融資産の認識、分類、測定を適用範囲としています。
2.分類
公正価値で測定する金融資産、満期保有型投資、貸付金および債権、売却可能金融資産という現行の4分類から償却原価で測定するもの(負債性金融資産)と公正価値で測定するもの(持分性金融資産)の2分類に変更されます。
以下の2つの要件を満たしたものが、償却原価で測定される金融資産に分類されます。
・金融資産を契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有しているかというビジネスモデルに基づく判定
・金融資産が契約条件に基づき、特定日の元本及び元本に対する利息によるキャッシュ・フローを生じさせるものである
代表的なものとして貸付金、債権が償却原価で測定されます。
持分性金融資産の代表的なものとして株式が挙げられます。
持分性金融資産については公正価値の変動を損益で認識するか、その他の包括利益で認識するかを当初の認識時に金融商品ごとに決定します。
3.ビジネスモデルテスト
負債性金融資産を契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有しており、満期日以前に公正価値により売却されないかを判定するものです。
個別の金融資産に対する経営者の意志ではなく、ポートフォリオに基づいて判定されます。ポートフォリオの全ての金融資産を満期まで保有する必要はなく、ポートフォリオの一部が満期日以前に売却されたとしても、売却頻度が低い場合、契約上のキャッシュ・フローを回収するというビジネスモデルに適合しているか評価する必要があります。
4.契約上のキャッシュ・フローの特徴
ビジネスモデルの判定を満たす場合、金融資産が契約条件に基づき、特定日の元本及び元本に対する利息によるキャッシュ・フローを生じさせるものであるかを判定します。
IFRS第9号では、利息を一定期間の貨幣の時間価値及び信用リスクの対価としています。
そのため、転換社債などオプションが付与されている金融資産やキャッシュ・フローのボラティリティ(変動性)が増加する金融資産は、負債性金融資産とはなりません。しかし、利息にキャップやフロアの契約付いている金融資産は、負債性金融資産に分類されます。
5.組込デリバティブ
IAS第39号で規定されていた組込デリバティブの区分処理が、IFRS第9号により削除されました。複合金融商品を全体として、負債性金融資産か持分性金融資産に分類します。
IFRS第9号は金融資産のみに適用されるので、金融負債やその他の金融商品である場合には、IAS第39号が適用されます。
6.ノン・リコース・ローン
債権者の債権が、債務者の特定資産に限定される場合、当該債権が契約上の元本及び元本に対する利息によるキャッシュ・フローを生み出すものであるかを判定するルック・スルー・アプローチが必要となります。元本及び元本に対する利息以外のキャッシュ・フローが生じたり、キャッシュ・フローに制限が加わる場合には、償却原価による測定ができません。
また、証券化された金融資産にもルック・スルー・アプローチが必要とされます。
7.再分類
金融資産がビジネスモデルにおいて目的変更された場合には、当初の分類が適切か再検討され、負債性金融資産か持分金融資産かの再分類が行われます。再分類が行われるのはビジネスモデルの変更が行われた翌会計期間の期首であり、過年度の修正再表示はされません。
IFRS第9号では、再分類が行われる状況は、極めてまれであるとしています。
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