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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

司法書士が株式会社の定款の条文を解説します(基準日編)

定款の条文の内容を解説します。

会社法が施行されてから株式会社の設立も容易になり、また現在は色々なサイトで株式会社の設立に関する情報が溢れているため、起業される方自身で株式会社設立の手続きをされるケースも少なくありません。

しかし、インターネット上にある定款の内容の一部、あるいは全部をよく理解せずにそのまま利用している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、会社設立後にこんなはずではなかった、、、という方が一人でも少なくなるように、日本公証人連合会のホームページに掲載されている

1 小規模な会社(Small-Sized Company)
株式が非公開で、取締役が1名のみの小規模な株式会社の定款記載例であり、定款の内容も簡潔なものを紹介しています。
起業者の方が小規模な会社からスタートしたいと考える場合に、定款ドラフトの作成に当たって、参考にされる一つの定款記載例です。

≫定款等記載例(Examples of Articles of Incorporation etc)【日本公証人連合会】

を基に、定款の各条文の内容について解説をしていきたいと思います。

ビジネスに専念したい方

一方で、会社設立の手続きは初めて行う方には時間がかかる上に、一生のうちにその知識を何度も使うわけではありません。

会社設立の手続きは専門家に任せて自分のビジネスに集中したい方は、こちらのページをご参照ください。
≫株式会社設立サービス
≫合同会社設立サービス

定款の基準日に関する条文

(基準日)
第8条 当会社は、毎年3月末日の最終の株主名簿に記載又は記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする。
2 前項のほか、必要があるときは、あらかじめ公告して、一定の日の最終の株主名簿に記載又は記録されている株主又は登録株式質権者をもって、その権利を行使することができる株主又は登録株式質権者とすることができる。

この規定は必ずしも定款に定めなければならない事項ではありませんが、任意的に多くの会社がこの定めを定款に置いています。

この定めがあることにより、どのような効果があるのでしょうか。

株主総会で議決権を行使することができる株主

原則として、株主総会開催時に株式を所有している株主が、当該株主総会において議決権を行使することができます。

当事者間で株式譲渡が成立していたとしても、株式の譲渡は株式取得者の氏名、住所を株主名簿に記載しないと発行会社には対抗することができません(会社法第130条1項)。

そのため、基準日がある場合を除き、株主総会開催時に株主名簿に記載されている株主が当該株主総会において議決権を行使することができます。

株主総会と基準日

株式会社は、基準日を定めて、基準日において株主名簿に記載されている株主をその権利を行使することができる者と定めることができます(会社法第124条1項)。

この会社法第124条1項の規定を、上記定款第8条は定めています。

この定款では、決算日を3月末日としているので定時株主総会の基準日を3月末日としていますが、12月末決算の会社であれば基準日も12月末日とします。

基準日は3ヶ月を超えることができませんので(会社法第124条2項)、基準日を活かすのであれば基準日から3ヶ月以内に定時株主総会を開催する必要があります。なお、決算の関係で大体の会社が事業年度末から3ヶ月以内に定時株主総会を開催します。

基準日後に株主に変動が生じた場合は、こちらの記事をご確認ください。

≫株式会社の基準日について(定時株主総会、配当、株式分割、有償・無償割当て)

基準日を定めるメリット

基準日を定めるメリットは、定時株主総会開催前に株主が入れ替わった場合に、どの株主に対して招集通知を送るのか、どの株主が当該定時株主総会で議決権を行使することができるのかを明確にするとともに、その議決権を行使することができる株主の把握を容易にすることができる点です。

公開会社の場合は株主が変わることがあるため(上場会社においては頻繁)、この定款の定めには大きなメリットがあります。

一方で、非公開会社で株主の変動が生じないような会社では、この定款の定めのメリットはあまりありません。事業年度後、定時株主総会前までの間に株式譲渡が

基準日公告

基準日は定款に定めるほか、任意に基準日を定めることができ、基準日を定めたときはその2週間前までに基準日と基準日株主が行使できる権利について公告をします(会社法第124条3項)。

こちらもやはり、非公開会社で株主の変動が生じないような会社では、あまり使われることはありません。

定款第8条2項は、会社法第124条3項の規定を改めて記載していることになります(なお、記載しておいて問題ありません)。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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