相続診断士 石川宗徳の相続コラム

団体信用生命保険で住宅ローンを完済したら行うこと

自宅の住宅ローン返済中にその所有者が亡くなったときは、団体信用生命保険の保険金によって住宅ローンが完済されることは少なくありません。

団体信用生命保険の保険金によって住宅ローンが完済されたときは、その担保権の抹消登記をする必要があります。

この記事では、団体信用生命保険により住宅ローンが完済となった後に行う登記手続きについて紹介しています。

団体信用生命保険

ご自宅を購入する際は、多くの方が銀行などの金融機関からお金を借りてローンを組むことになります。

住宅ローンは高額となることが多いため、住宅ローンを組んだ方が返済の途中で亡くなってしまったり、高度障害になってしまった場合に、返済が滞ってしまう可能性があります。

そのような場合に備えて、住宅ローンを組むときは団体信用生命保険に加入することが一般的です。金融機関によっては、団体信用生命保険に加入することを住宅ローンを組む条件としているところも少なくありません。

団体信用生命保険とは

団体信用生命保険とは、住宅ローンを組んだ方が返済の途中で亡くなってしまったり、高度障害になってしまった場合に住宅ローンの残高を、生命保険会社が支払ってくれるという生命保険です。

田中さんのケース

田中さんは10年前自宅を購入する際に、5,000万円のマンションを頭金1,000万円、差額の4,000万円を銀行から借入をしました。自宅を購入してから10年でローン残高が3,000万円になっていたとした場合に、田中さんが突然不幸にも亡くなってしまったときは田中さんが団体信用生命保険に加入していたか否かで、残されたご家族の生活が大きく変わってきます。

 

団体信用生命保険に加入していた場合

田中さんが団体信用生命保険に加入していた場合、ローン残高の3,000万円は生命保険会社から銀行へ支払われるため、田中さんの相続人はローンのない住宅を相続することになります。

当然、毎月の住宅ローンの返済も不要となるため、田中さんの相続人の負担は大きく減ることになります。

 

団体信用生命保険に加入していなかった場合

田中さんが団体信用生命保険に加入していなかった場合、ローン残高の3,000万円も相続人が承継をするため、田中さんの相続人はローンの残っている住宅を相続することになります。

毎月の住宅ローンの返済も引き続き行っていかなければならないため、その支払いが難しいのであれば任意売却相続放棄などを検討していくことになります。

亡くなったら金融機関に連絡を

住宅ローンの借入をしている本人が亡くなってしまったときは、住宅ローンを借入している銀行などの金融機関にすぐに連絡をするようにしましょう。

銀行側は本人が亡くなっていることが分からないため、住宅ローンの返済が滞っていると判断することになり、相続人にとって不都合が生じることがあります。

住宅ローンと抵当権

住宅を購入する際に、銀行からお金を借りるときは購入する住宅に抵当権を設定することがほとんどです。住宅の登記簿を確認すると、甲区という箇所に所有者として購入者本人が記載されている一方で、乙区という箇所に抵当権として借入をした銀行名や借入金額、遅延損害金などが記載されています。

完済したら登記簿から抵当権を抹消しましょう。

抵当権の登記は、その住宅から銀行が優先的に返済を受けられるようにするもので、住宅ローンを完済したらその抵当権の登記を消すことができます。

しかし、抵当権の登記はローンを完済すれば自動的に消えてなくなるわけではありません。抵当権の登記を抹消するには、不動産の所有者と銀行が一緒に、法務局へ抵当権の登記を抹消するための登記申請をしなければなりません。

実際は、銀行の担当者と一緒に法務局へ行ったりするわけではなく、銀行から抵当権の抹消登記に必要な(銀行サイドで用意する)書類が郵送されてきますので、それをもって本人が登記申請(申請書など一定の書類を本人が作成する必要があります)をするか、司法書士などの代理人に登記申請の依頼をするかして、抵当権の登記を抹消することになります。

抵当権の登記は必ず抹消しないといけない?

抵当権をいつまでも残したままにしておくと、いざ不動産を売却するときに抵当権が残ったままでは売りにくくなってしまいます。また、銀行から預かっていた抵当権抹消登記の書類を紛失してしまったときは別途銀行に手数料を支払わなければならなくなることもあります。

さらに、銀行が破たんしてしまったようなケースでは、手続きもやや複雑になってしまいますし、(あまりないかもしれませんが)個人から借りて抵当権を設定しているケースにおいては、当該貸主が死んでしまっていてその相続人が分からないときは相続人を探し出さなくてはならないこともあります。

完済したら抵当権の抹消登記は速やかに

抵当権の登記はいつか抹消する必要が出てきます。放置していても上記のとおり良いことはないため、ローンを完済したら速やかに抵当権の抹消登記をすることをおすすめします。

団体信用生命保険と抵当権の抹消登記

団体信用生命保険に加入していた住宅ローンを組んだ方が亡くなると、住宅ローンは完済したことになります。毎月支払って完済したケースと同様、団体信用生命保険により完済した場合も住宅ローンにかかる抵当権の登記を抹消することができます。

銀行から抵当権の抹消登記に必要な書類が届いたら、それを基に抵当権の抹消登記を行うことになりますが、実は団体信用生命保険による完済の場合、抵当権の抹消登記だけを申請することはできません。

相続登記を先行して行います。

団体信用生命保険によって住宅ローンを完済した場合、時系列として「ローンを組んだ方の死亡」→「団体信用生命保険による完済」となります。登記手続きにおいても、その流れを反映しなければなりません。

つまり、不動産の所有者を相続人名義に変更(相続登記といいます)した後に、抵当権の抹消登記を行います。

これは所有者の名義変更が完了しなければ抵当権の抹消登記を行えないということではなく、一般的には相続登記と抵当権抹消登記を同時に連件で申請します。

不動産の共有名義にはデメリットも

相続人同士で揉めることが嫌なので、とりあえず相続人全員で共有名義にしておこうとすると、後でもっと面倒となることがあります。共有名義にした後に単独名義にするには費用がよけにかかってしまいます。また、共有者に相続が発生していくと共有者の数が数十人となってしまうこともあり、後で単有にすることや売却することが非常に困難となってしまいます。

 

相続登記の手続き

相続登記には多くの戸籍などの書類が必要となり、ご自身で全て行うには時間がかかってしまいます。また、相続登記はそれぞれのご事情によって用意する書類が異なることがあります。

当センターの相続登記手続きサービスはこちらをご参照ください。

>>>相続登記手続きサービス

 

なお、一般的には次の書類を、その不動産の管轄法務局へ提出します。

※相続人3名が遺産分割協議をして、そのうち1名が不動産を取得することになった場合

  • 登記申請書
  • 亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍
  • 亡くなった方の住民票の除票または戸籍の附票
  • 相続人全員の戸籍
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印)
  • 固定資産評価証明書
  • 収入印紙(不動産の評価額の1000分の4)

抵当権抹消登記の手続き

銀行から受け取った書類を基に、不動産を取得した相続人が、一般的には次の書類を、その不動産の管轄法務局へ提出します。

  • 登記申請書
  • 抵当権の権利証(登記済証または登記識別情報)
  • 解除証書(登記原因証明情報)
  • 銀行の委任状
  • 収入印紙(不動産の個数×1,000円)

 

この記事の著者

司法書士/相続診断士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士・相続診断士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

東京汐留相続サポートセンターでは
相続手続き遺言成年後見など、
相続に関する様々なサポートを行っております。


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