司法書士 石川宗徳の相続コラム

遺言が複数見つかった!?どの遺言の内容を優先すればいいのでしょうか。

父が亡くなって、父の部屋を整理していたところ遺言が2つ出てきました。

1つは3年前に書かれた公正証書遺言、もう1つは今年書かれた自筆証書遺言のようです。

このような場合、相続人はどのように対応すればいいのでしょうか。

このコラムでは、遺言が複数見つかった場合の対処方法について紹介しています。

遺言の優先順位

遺言があるときは、法定相続よりも遺言の内容が優先されることになります。

それでは内容の異なる遺言が2つあったとき、どちらの内容を優先させればいいのでしょうか。

自宅は長男に相続させるという内容の遺言と、自宅は次男に相続させるという遺言、、、自宅は1つしかないので、どちらか一方にしか相続させることしかできません。

遺言書には「自宅」という表記ではなく、土地・建物を間違いなく特定できるように、登記簿に記載されている土地・建物の情報のとおり記載しましょう。

 

遺言を複数書くことはOK?

そもそも遺言を複数書くこと、そしてその内容がお互いに抵触している遺言を書くことはできるのでしょうか。

複数の遺言を書くことは問題ないとされています。

当初は、自宅は長男に相続させようと思って遺言を書いたけれども、次男が長年介護をしてくれているので自宅は次男に相続させたい、等のように考えるのは自然なことかもしれません。

そのような場合に、自宅を次男に相続させるという遺言を改めて書くことができます。

遺言の優先順位のつけ方

複数の遺言がある場合、その優先順位は遺言の作成日によって決まります。

先に作成された遺言については、抵触する部分について、撤回したものとみなされます(民法第1023条1項)。

 

2011年に作成された遺言と、2017年に作成された遺言があったときは、2017年に作成された遺言が優先されます。

2011年に作成された「自宅は長男に相続させる。」という遺言と、2017年に作成された「自宅は次男に相続させる。」という遺言があったときに、自宅という対象物が同一のものであれば、自宅は次男が相続することになります。

(前の遺言と後の遺言との抵触等)

民法第1023条1項

 

前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。

遺言の対象となる財産が異なる場合

遺言が撤回したものとみなされるのは、遺言の内容が抵触する部分についてのみです。

抵触していない部分については撤回したとみなされません。

 

2011年に作成された遺言の内容が「自宅は長男、現金は次男に相続させる。」、2017年に作成された遺言の内容が「現金は長女に相続させる。」である場合、現金は長女が相続することになりますが、自宅については後の遺言が先の遺言に抵触しないため、自宅は長男が相続することになります。

遺言の種類と優先順位

遺言の種類によって優先度が高い遺言、低い遺言はあるいのでしょうか。

公正証書遺言は遺言のプロフェッショナルである公証人が関与しているから優先度が高そう、と考えてしまうかもしれませんが、遺言の種類による優先順位はありません

遺言の種類にかかわらず、遺言の作成日付が新しいものが常に優先されることになります。

検認が必要な遺言の種類

自筆証書遺言秘密証書遺言は、家庭裁判所の検認手続きを経る必要があります。

自筆証書遺言、秘密証書遺言を保管している相続人、それらを発見した相続人は、速やかに遺言を家庭裁判所に提出してその検認を請求しましょう。

遺言が封されているときは、その遺言を開封して内容を見たくなってしまうと思いますが、家庭裁判所において相続人あるいはその代理人の立会いがなければ開封できないとされていますので(民法第1004条)、勝手に開封しないように注意が必要です。

遺言の内容と異なる遺産分割

遺言が存在していたとしても、遺言の内容と異なる遺産分割をすることはできます。

ただし、相続人全員、相続人以外に受遺者がいるときは受遺者、遺言執行者がいるときは遺言執行者の同意がある場合に限られます。

これは遺言が複数ある場合も同様です。

遺言が複数ある場合に、誰の承諾があれば遺言の内容と異なる遺産分割を行うことができるかを間違えてしまうと、せっかく行った遺産分割が無効となり得ますので、心配であれば専門家に確認をしましょう。

遺言を破棄するとどうなるか

他の相続人がいない時に被相続人の遺言を発見、内容を見たところ自分には不利な内容が書いてあった。

この遺言が無くなれば自分にも遺産が転がり込んでくる、、、と考えて遺言を隠したり、破って捨ててしまったりするのはやめましょう。

遺言を隠匿、破棄する行為は相続欠格事由に該当するため、相続人となる権利を失うことになってしまいます。

遺言はそのままにしておき、遺留分減殺請求の行使等の方法を考えた方がいいでしょう。

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この記事の著者

司法書士/相続診断士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士・相続診断士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

東京汐留相続サポートセンターでは
相続手続き遺言成年後見など、
相続に関する様々なサポートを行っております。


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