司法書士 石川宗徳の相続コラム

遺言にはどんなことを書けるの?法定遺言事項を確認しよう。

終活という言葉も使われるようになり、遺言を書く人も増えてきています。

ところで、遺言にはどのようなことを書くことができるのでしょうか。

このコラムでは、遺言に記載することにより法的効力を有する法定遺言事項について紹介しています。

法定遺言事項

遺言には特定のことしか書くことができない、という決まりはありません。

基本的には、遺言者の自由にその内容を書くことができます。

しかし、遺言に記載された内容がどのようなものであっても、全て法的に強制力を有するわけではありません。

法律によって定められている、遺言に記載することによって法的な効力を有する事項を法定遺言事項といいます。

遺言でのみできること

法定遺言事項のうち、遺言でのみ行うことができるものは次のとおりです。

なお、記載例も掲載しておりますが、あくまで例ですので実際に遺言を作られる方は専門家にご相談ください。

 

未成年後見人の指定

未成年者に対して最後に親権を行う者(管理権を有する者に限ります)は、遺言により、未成年後見人を指定することができます(民法第839条)。

未成年後見人とは、未成年者の法定代理人であり、その監護養育、財産管理、契約等の法律行為等を行う人のことをいいます。

 

未成年後見人の指定の遺言記載例

第〇条 遺言者は未成年者である長男A(平成〇〇年〇〇月〇〇日生)の未成年後見人として次の者を指定する。

住所

氏名

職業

生年月日

未成年後見監督人の指定

未成年後見人を指定できる者(上記参照)は、遺言により、未成年後見監督人も指定することができます(民法第848条)。

未成年後見監督人とは、未成年後見人を監督する人のことをいいます。

 

未成年後見監督人の指定の遺言記載例

第〇条 遺言者は未成年者である長男A(平成〇〇年〇〇月〇〇日生)の未成年後見監督人として次の者を指定する。

住所

氏名

職業

生年月日

相続分の指定、相続分の指定の委託

遺言により、共同相続人の相続分を定めることができます(民法第902条)。

また、相続分を定めることを第三者に委託することもできます。

 

相続分の指定の遺言記載例

第〇条 遺言者は、次のとおり相続人の相続分を指定する。

長男A(平成〇〇年〇〇月〇〇日生) 4分の3

長女B(平成〇〇年〇〇月〇〇日生) 4分の1

 

相続分の指定の委託の遺言記載例

第〇条 遺言者は次の者に対し、相続人の全員につき、その相続分の指定を次の者に委託する。

住所

氏名

職業

生年月日

遺産分割方法の指定、遺産分割方法の指定の委託

遺言により、遺産の分割方法を定めることができます(民法第908条)。

また、遺産の分割方法を定めることを第三者に委託することもできます。

 

遺産分割方法の指定の遺言記載例

第〇条 遺言者は、別紙遺産分割目録記載の遺産を分割協議において次のとおりに分割するよう分割の方法を指定する。

①別紙遺産分割目録記載の不動産の全部は、長男A(平成〇〇年〇〇月〇〇日生)が取得する。

②上記①以外は長女B(平成〇〇年〇〇月〇〇日生)が取得する。

遺産分割の禁止

遺言により、相続発生時から5年を超えない期間を定めて、遺産分割をすることを禁止することができます(民法第908条)。

 

遺産分割の禁止の遺言記載例

第〇条 遺言者は、遺言者の遺産全部について、その分割を相続開始の時から5年間禁止をする。

遺贈

遺言により、財産の全部または一部を、包括遺贈または特定遺贈することができます(民法第964条)。

 

包括遺贈の遺言記載例

第〇条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、長男A(平成〇〇年〇〇月〇〇日生)に包括して遺贈する。

 

特定遺贈の遺言記載例

第〇条 遺言者は、その所有する次の土地を、遺言者の長男A(平成〇〇年〇〇月〇〇日生)に遺贈する。

(土地の表示)

所在

地番

地目

地積

遺言執行者の指定、遺言執行者の指定の委託

遺言により、遺言執行者を指定することができます(民法第1006条)。

また、遺言執行者の指定を第三者に委託することもできます。

 

遺言執行者の指定の遺言記載例

第〇条 遺言者は、本遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。

住所

氏名

職業

生年月日

遺贈の遺留分減殺の順序の指定

遺言により、受遺者に対して遺留分減殺請求がされたときの対象となる財産の順位を指定することができます。

 

遺留分減殺の順序の指定の遺言記載例

(法定相続人が長男Aと長女Bだけのときに、全ての相続財産を長男Aに相続させる旨の遺言がある場合)

第〇条 長女Bから遺留分減殺請求があったときは、まず現預金、次に〇〇株式から減殺するものとする。

遺言以外でもできること

遺言でできるだけでなく、生前にも行うことのできる法定遺言事項は次のとおりです。

 

認知

認知は生前に届出によってすることができ、また遺言によってもすることができます(民法第781条)。

遺言で認知された子は、遺言者の第一順位相続人となり、また遺留分権利者にもなります。

 

認知の遺言記載例

第〇条 遺言者は、〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番(本籍)A(平成〇〇年〇〇月〇〇日生)を認知する。

推定相続人の廃除

被相続人を虐待等した相続人に対して、被相続人はその推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができます(民法第892条)。

推定相続人の廃除の意思表示は、遺言によっても行うことができます(民法第893条)。

虐待をした相続人は遺産を相続できない? – 相続人の廃除 –

 

推定相続人の廃除の遺言記載例

第〇条 長男Aは平成〇〇年から平成〇〇年頃までの間、当時同居していた遺言者に対し度々虐待をしたことから、遺言者は長男A(平成〇〇年〇〇月〇日生)を相続人から廃除する。

特別受益の持戻し免除

相続財産の算定の際に、特別受益分を相続財産に加えて算定をしますが、このことを持戻しといいます。

被相続人はこの持戻しをしなくてもよいという意思表示を生前に、あるいは遺言によってすることができます。

 

持戻し免除の遺言記載例

第〇条 遺言者の相続に関し、共同相続人の相続分を算定する場合、遺言者が平成〇〇年〇月に、長男Aの生活のために贈与した金500万円の持ち出しを免除する。

信託

特定の人に対して、相続財産を処分や管理等することを遺言に記載する方法により、信託の設定を行うことができます(信託法第3条)。

信託は受託者との契約により、生前に行うことも可能です。

 

信託の遺言記載例

第〇条 遺言者は、下記のとおりに信託を設定する。

①信託の目的

②・・・

③・・・

・・・

祭祀を主宰する人の指定

遺言により、祭祀を主宰する人を指定することができます。

 

祭祀を主宰する人の指定の遺言記載例

第〇条 遺言者は、遺言者及び祖先の祭事を主宰すべきものとして長男Aを指定する。

一般財団法人の設立

遺言により、一般財団法人を設立する意思表示をすることができます(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第152条)。

 

一般財団法人の設立の遺言記載例

第〇条 遺言者は〇〇に寄与するために本遺言をもって一般財団法人〇〇設立の意思を表示するとともに、別紙のとおり定款の内容を定めるものとする。

生命保険金の受取人の変更

生命保険の保険金の受取人は、遺言によっても変更することができます(保険法第44条)。

ただし、契約の内容や保険加入の時期によっては、遺言で受取人の変更をできないこともありますので、事前に保険会社へ確認をしておいた方がいいでしょう。

 

生命保険金の受取人変更の遺言記載例

第〇条 遺言者は、遺言者を保険契約者及び被保険者として平成〇〇年〇〇月〇〇日に締結した〇〇生命保険株式会社との間の生命保険契約(保険証券記号番号〇〇、保険金額〇〇)について、その生命保険金の受取人が長男Aとなっているので、その受取人を長女Bに変更する。

付言事項

冒頭に申し上げたとおり、法定遺言事項以外のことも遺言には記載することができます。

法定遺言事項以外の事項は付言事項と呼ばれています。

遺言により相続分を指定した場合や、第三者へ遺贈した場合においては、そのような内容にした理由を遺言に記載したり、あるいは家族への感謝の想いを記載するようなケースは少なくありません。

このような内容を記載することにより、家族への想いを遺せるとともに、相続人同士の関係を良好に保つことのきっかけとなりえます。

遺言を作成する際は、法定遺言事項だけではなく、付言事項も併せて記載してみてはいかがでしょうか。

 

この記事の著者

司法書士/相続診断士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士・相続診断士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

東京汐留相続サポートセンターでは
相続手続き遺言成年後見など、
相続に関する様々なサポートを行っております。


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