仮想通貨は出国税の対象となるか?

本日は、ビットコイン等の仮想通貨が出国税の対象となるかについて解説させていただきます。

1.出国税(国外転出時課税制度)とは?

現在、様々なメディアで取り上げられているいわゆる「出国税」ですが、すでに日本国内で導入されている「出国税」が存在することを、仮想通貨トレーダーの皆さまはご存知でしょうか。

1つは、正式には「国外転出時課税制度」といい、1億円以上の株式などの対象資産がある富裕層のみを対象としているものです。もう一つは日本から出国する日本人や外国人全員を対象としているものです。

この国外転出時課税制度について、ビットコイン等の仮想通貨が対象となるのかについて検討してみます。

2.国外転出時課税制度の対象となる場合とは?

日本居住者である個人が国外転出する場合のほか、贈与・相続・遺贈により含み益を有している株式などを日本非居住者に譲渡させた場合も含まれます。

ここでいう国外転出とは、日本国内に住所及び居住がないことを指し、上記の場合は株式などにかかる未実現の含み益が実現したとみなされるため、所得税及び復興特別所得税の課税の対象となります。

では、ビットコイン等の仮想通貨はこの「株式など」の「など」に当てはまるのでしょうか。以下詳しく見ていきたいと思います。

3.課税される適用対象者・対象資産は?

国外に転出する日本居住者が、以下2つの要件を満たす場合には出国税の適用対象者となります。

①以下の対象資産の価格などの合計額が1億円以上であること(時価ベース)
・国外転出時に保有している所得税法に規定する有価証券、匿名組合契約出資金の価格
・国外転出時に契約している未決済デリバティブ取引などのみなし決済損益の金額
②国外転出の日の前10年以内に、国内に住所などを有していた期間の合計が5年間であること

重要なのはこの①の要件でして、「所得税法に規定する有価証券、匿名組合契約出資金」、「未決済デリバティブ取引などのみなし決済損益」にビットコイン等の仮想通貨が含まれるかですが、この記事を書いております本日現在では、対象資産に含まれるとの規定はありません。したがって、いまのうちに日本を出国すれば、日本の非居住者になれば、ビットコイン等の仮想通貨の含み益に対して出国税はかからないこととなります。

海外には、投資対象の資産の売却損益(キャピタルゲイン)に対する税金が非課税である国もありますので、そのような国へ移住して仮想通貨を売却し利益確定すれば税金はかからないことになる可能性もあります。

ただし、一時的に海外に出国して売却したとしても、生活の拠点が日本と海外のどちらにあるのかなど、日本居住・非居住の判断は総合的なものとなりますため、安易な渡航と渡航後の売却は租税回避とみなされてしまう可能性が高いので注意が必要です。

※この記事は2017年12月15日時点の情報に基づいています。

前川 研吾

北海道大学経済学部卒、公認会計士(日米)・税理士。汐留パートナーズ税理士法人代表社員。アーンスト・アンド・ヤング(Ernst & Young)メンバーファームである新日本有限責任監査法人監査部門にて製造業、小売業、情報サービス産業等の上場会社を中心とした法定監査に従事。また、同法人公開業務部門にて株式公開準備会社を中心としたクライアントに対する、IPO支援、M&A関連支援、デューデリジェンスや短期調査等のFAS業務等の案件に数多く従事。汐留パートナーズグループ社設立後は、公認会計士・税理士・弁護士・社会保険労務士等のプロフェッショナルによるワンストップサービスを行っている。現在、汐留パートナーズ株式会社にて仮想通貨及びICOに関する取引を行っている。