メタップス社ICOに伴う会計処理について

先日2018年1月15日に、東証マザーズに上場している株式会社メタップスが、連結子会社であるMetaps Plus Inc. のInitial Coin Offering(ICO)に伴う2018年8月期第1四半期における会計処理の方針を発表しました。

メタップス社は、昨年ICOを実施しましたが、当該ICOの会計処理をめぐってPwCあらた有限責任監査法人との協議を継続していました。現時点では仮想通貨技術を使った資金調達(ICO)をした場合の会計処理についてはASBJ等からは公表はなされていません。本日はメタップス社のIRの内容についてご紹介いたします。

1.メタップス社の韓国子会社のICOの概要

2017年11月13日公表の「当社海外子会社によるICO及び仮想通貨取引所の設立に関するお知らせ」のとおり、メタップス社は連結子会社である韓国法人Metaps Plus Inc.がICOを実施しました。

このICOは以下のような概要となっています。

・2017年9月26日から2017年10月10日を販売期間とする。
・仮想通貨取引所「CoinRoom」における流動性提供及び今後のサービス拡大に備えた原資確保を目的する。
・所定の期日までに「CoinRoom」が設立されなかった場合、ICOにおいて調達された仮想通貨はICO参加者の希望に応じて返還される条項が付与されている。

2.仮想通貨取引所設立までの会計処理

メタップス社はIFRSを採用していますが、「CoinRoom」の設立までの会計処理として、仮想通貨であるイーサリアム(ETH)を非流動資産(無形資産)及び流動負債(預り金)に計上しました。

(借方)非流動資産(無形資産) ×× (貸方)流動負債(預り金) ××

2017年11月11日に仮想通貨所「CoinRoon」が設立されたことに伴い、ICOにおいて調達された仮想通貨(イーサリアム)の返済義務が消滅しましたが、この会計処理の方針については決定していませんでした。

3.ICOの会計処理

メタップス社はICOにおいて受領した対価は「将来的には」収益として認識することとしています。そして、この四半期決算においては、受領した対価の全額を流動負債(前受金)として計上することとしました。

(借方)流動負債(預り金) ×× (貸方)流動負債(前受金) ××

メタップス社は、ICOにおいて受領した仮想通貨(イーサリアム)については四半期末時点の公正価値評価を行わず、取得原価にて無形資産または棚卸資産(CoinRoomの保有分)として処理をすることとしています。

また収益認識の方法やタイミングについては引き続き協議中とのことで、確定してないとのことです。興味深いのは以下の記載内容です。

①当該無形資産は、売却時に簿価との差額を損益計上いたします。
②当該棚卸資産は、売却時に売却価額を売上高、帳簿価額を売上原価に計上いたします。
③仮に仮想通貨の処分見込価額が取得原価を相当程度下回った場合は該当会計期間において差額を費用として認識いたします。
④自社保有分の、仮想通貨Pluscoin(PLC)については、帳簿価格0円として無形資産または棚卸資産として計上いたします。

①無形資産とした仮想通貨

こちらについては、売却時に簿価との差額を損益計上するということで、売上高や売上総利益を構成しないという会計処理であることがわかります。

②棚卸資産とした無形資産

こちらについては、仮想通貨所「CoinRoon」の主要な事業の一環ということで、売上高や売上総利益を構成するという会計処理であることがわかります。

③仮想通貨の処分見込価額が取得原価を相当程度下回った場合

仮想通貨の処分見込価額が取得原価を相当程度下回った場合とありますが、この「相当程度」という記載内容については現時点では程度がわかりません。ただし保守的に含み損を顕在化する必要があるという認識ということがわかります。

④自社保有分の仮想通貨Pluscoin(PLC)については帳簿価格0円とする

韓国子会社であるMetaps Plus Inc.は独自の仮想通貨(トークン)であるPluscoin(PLC)を発行し、自社で保有している分については帳簿価格を0円とするとしています。これも保守的な会計処理であります。

現時点では仮想通貨技術を使った資金調達(ICO)をした場合の会計処理については公表がなされていませんが、今後の動向に注目したいと思います。

※この記事は2018年1月20日時点の情報に基づいています。



ビットコイン(BTC)をはじめとした暗号通貨やICO(Initial Coin Offering)に関する取引を行っている個人・法人の皆様にとって、仮想通貨やICOに関する税務はとても関心のあるテーマとなっております。もしお困りのことがございましたらお問い合わせよりどうぞお気軽にご相談下さい。また、お電話の場合は03-6228-5505までお願い致します(平日9:00~21:00)。汐留パートナーズグループの仮想通貨やICOに精通した経験・実績豊富な税務コンサルタントからご連絡をさせていただきます。



前川 研吾

北海道大学経済学部卒、公認会計士(日米)・税理士。汐留パートナーズ税理士法人代表社員。アーンスト・アンド・ヤング(Ernst & Young)メンバーファームである新日本有限責任監査法人監査部門にて製造業、小売業、情報サービス産業等の上場会社を中心とした法定監査に従事。また、同法人公開業務部門にて株式公開準備会社を中心としたクライアントに対する、IPO支援、M&A関連支援、デューデリジェンスや短期調査等のFAS業務等の案件に数多く従事。汐留パートナーズグループ社設立後は、公認会計士・税理士・弁護士・社会保険労務士等のプロフェッショナルによるワンストップサービスを行っている。現在、汐留パートナーズ株式会社にて仮想通貨及びICOに関する取引を行っている。