VALUでのビットコイン取得・VA売買・資金調達等の税務処理

1.VALUとは何か?

VALUは「バリュー」といい、株式会社VALU(代表取締役小川晃平氏)によって運営されているフィンテックサービスのことをいいます。個人がまるで株式会社であるかのように、VAと呼ばれる疑似的な株式を発行することにより、資金調達をすることができます。

VALUのウェブサイトでは、『あなたの価値をVALUでシェア~だれでも、かんたんに、あなたの価値をトレード。ビットコインを用いたマイクロトレードサービスです。~』とあります。私は個人としては売り出したくないので、VALUで自分のVAを公開したりはしませんが・・・。VAの発行者数は2017年7月21日に約1万2000人と報道されたとのことです(ロイター通信ニュース)。

VAを購入した人は、購入したVAを売ることもできます。自由に売買ができるようになっています。このVAの取引、すべてビットコインを用いて行われているとことが特徴です。

ただ、まだまだ規制ができていなくて、2017年8月には人気YouTuberのヒカル氏が、自分のVA価格がつり上がるように注目を集める投稿をTwitterなどで続けて、そのあとに、自分が保有するすべてのVAを前日の終値(ストップ高)で売却したというニュースが報じられ、VALU側も急いで対応をしている状況です。

株式市場とかで同じことをすることなんて、まずありえないし逮捕されますよね。まだまだ法整備ができていなくてこれからというモノであります。

2.VALUでVAを売買した時の税務

(1)VALUでVAを購入した場合

VALUではビットコインでVAを購入することになります。ビットコインでVAというモノを購入することになる場合、この段階でいったんビットコインの利益確定が行われたと考えられます。

(例)取得価額10万円のBTCが時価50万円であるときに、50万円分の個人VAを購入した
⇒この場合には、50万円-10万円=40万円が利益確定による所得に含まれます。

なお、ビットコイン等の仮想通貨を保有して評価益が生じているだけでは課税されないのと同様に、保有しているVAの時価が変動することによる評価益については課税対象とはなりません。

(2)VALUでVAを売却した場合

VALUでVAを売却した場合にはビットコインが手に入ります。VAはモノですので、VAの売却による所得は譲渡所得(総合課税)になると思われます。VAが税法上何なのかという点がまだ明確ではないのですが、現時点では有価証券ではありませんので、モノの譲渡=譲渡所得という整理になるのだと思います。

(例)取得価額100万円のVAが時価200万円であるときに売却した
⇒この場合には、譲渡所得=200万円-100万円-50万円(※)=100万円
が所得に含まれます。
 ※譲渡所得の特別控除の額として50万円を引くことができます。

国税庁タックスアンサー No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)

1 総合課税の対象となる譲渡所得

土地建物や株式等を売った場合を除き、資産を売ったときの譲渡所得は、給与所得や事業所得などの所得と合わせて総合課税の対象となります。

この総合課税の譲渡所得は、取得したときから売ったときまでの所有期間によって長期と短期の二つに分かれます。長期譲渡所得となるのは、所有期間が5年を超えている場合で、短期譲渡所得となるのは、所有期間が5年以内の場合です。ただし、次の四つの場合には、所有期間が5年以内の場合でも長期譲渡所得となります。

(1) 自分が研究して取得した特許権や実用新案権などの工業所有権
(2) 自分が著作した著作権
(3) 自分で発見した鉱山などの採掘権
(4) 自分の育成による育成者権

2 譲渡所得の計算

総合課税の譲渡所得の金額は次のように計算し、短期譲渡所得の金額は全額が総合課税の対象になりますが、長期譲渡所得の金額はその2分の1が総合課税の対象になります。

譲渡所得の金額 = 譲渡価額 - (取得費(注1) + 譲渡費用(注2))-50万円(注3)

(注)
1 取得費とは、一般に購入代金のことです。このほか、購入手数料や設備費、改良費なども含まれます。ただし、使用したり、期間が経過することによって減価する資産にあっては、減価償却費相当額を控除した金額となります。
2 譲渡費用とは、売るために直接かかった費用のことです。
3 譲渡所得の特別控除の額は、その年の長期の譲渡益と短期の譲渡益の合計額に対して50万円です。その年に短期と長期の譲渡益があるときは、先に短期の譲渡益から特別控除の50万円を差し引きます。なお、譲渡益の合計額が50万円以下のときは、その金額までしか控除できません。

URL:https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3152.htm

3.VALUで資金調達をした時の税務

VA公開して個人株上場をして資金調達をした場合の税務の取り扱いはどのようになるのでしょうか?こちらについては、VA公開によりビットコイン(BTC)を手に入れているので利益を得ているものと考えられます。

現時点では、ICOやVALUに関する会計基準や税法自体が全く決まっていないので個人的な考えになりますが、VA発行により得た収入からVA発行によりかかった費用を差し引いた、VA発行による利益を計算する必要があることでしょう。

この個人の利益は所得となると思いますが、その課税区分については、雑所得・事業所得あるいは譲渡所得か・・・。一方で「そもそも資金調達してこれから事業を行うのに、いったん課税されちゃうのか!?しかも50%も!」という素朴な疑問があろうかと思います。

もしかすると、この人に頑張ってもらいたいっていう意味を込めて寄付をするものであるという考え方もあるかもしれません。その場合には贈与税の範疇に入ってくるかもしれません。いずれにしても早期の税制の整備が望まれるところです。

※この記事は2017年11月15日時点の情報に基づいています。


ビットコイン(BTC)をはじめとした暗号通貨やICO(Initial Coin Offering)に関する取引を行っている個人・法人の皆様にとって、仮想通貨やICOに関する税務はとても関心のあるテーマとなっております。もしお困りのことがございましたら03-6228-5505までお願い致します(平日9:00~21:00)。汐留パートナーズグループの仮想通貨やICOに精通した経験・実績豊富な税務コンサルタントからご連絡をさせていただきます。


前川 研吾

北海道大学経済学部卒、公認会計士(日米)・税理士。汐留パートナーズ税理士法2人代表社員。アーンスト・アンド・ヤング(Ernst & Young)メンバーファームである新日本有限責任監査法人監査部門にて製造業、小売業、情報サービス産業等の上場会社を中心とした法定監査に従事。また、同法人公開業務部門にて株式公開準備会社を中心としたクライアントに対する、IPO支援、M&A関連支援、デューデリジェンスや短期調査等のFAS業務等の案件に数多く従事。汐留パートナーズグループ社設立後は、公認会計士・税理士・弁護士・社会保険労務士等のプロフェッショナルによるワンストップサービスを行っている。現在、汐留パートナーズ株式会社にて仮想通貨及びICOに関する取引を行っている。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA