ハワイ法人が徴収すべきハワイ非居住者取締役の源泉所得税

本日はハワイ法人が徴収すべきハワイ非居住者(日本居住者)の取締役の源泉所得税(Withholding Tax)について考察してみます。

1.日米租税条約及び米国税法における役員報酬の源泉

Japan-and-USA

日米租税条約では、一方の締約国(日本)の居住者が他方の締約国(米国)の居住者である法人(米国法人)の役員の資格で取得する役員報酬などについては、他方の締約国(米国法人)で課税することができることとされています。ではアメリカは非居住者の取締役の役務提供についてどのように規定しているのでしょうか?
アメリカの税法では、米国法人が非居住者の取締役に支払った役員報酬については、米国国内において役務提供があった場合には30%の連邦源泉所得税を課税します。一方でミーティングに米国国外から電話会議等で参加する場合のように、米国国外から役務提供があった場合には、その米国国外から役務提供をした割合分については連邦源泉所得税を課税しないこととなっています。

2.米国非居住者取締役の米国での申告等について

結果として、米国非居住者の取締役は、一般的には米国国内での取締役の役務提供部分の報酬に関してForm 1040NRにて報酬を受け取った年の翌年6月15日までに申告を行うこととなります。Form 1040NRには、Form W-2(Wage and Tax Statement)を添付しますので、米国法人からこれを発行してもらう必要があります。もし米国法人が米国源泉所得について源泉課税をした場合には、Form 1042-Sを当該非居住者取締役へ交付することとなります。
米国では1課税年度に給与、賃金、報酬の金額が一定金額以下の場合にも源泉徴収は不要となっています。この一定金額というのは米国非居住者でも適用できる控除である人的控除(Personal Exemption)であり、物価水準や財政状況などに応じ毎年異なります。2014年は$3,950でした。2015年は$4,000になりました(2014年10月30日IRS発表)。

3.米国非居住者取締役の具体的な役員報酬についての考察

具体的に数値を用いて検討してみましょう。例えば、ハワイに1年間で1ヶ月間(30日間)以内だけ滞在するハワイ非居住者取締役であれば、保守的に考えたならばその12分の1は米国国内源泉所得、12分の11は米国国外源泉所得となることでしょう。
その場合、1年間(暦年)で$4,000×12ヶ月=$48,000を役員報酬年額とした場合には、ハワイにおいても源泉所得税を徴収されることなく、日本において確定申告に合算するだけでよさそうです。1ドル=120円としますと5,760,000円となります。
年間20日以内であろうという場合には、$4,000÷20日×365日=$73,000が役員報酬年額となります(1ドル=120円で8,760,000円)。また年間10日以内であろうという場合には、$4,000÷10日×365日=$146,000が役員報酬年額となります(1ドル=120円で17,520,000円)。

4.所得源泉についての立証の重要性

上記のことを立証するために所得源泉を明確にしておく必要があります。例えば、1年間に日本居住者であるハワイ法人の取締役が日本から電話会議で5時間取締役会に参加して、一方でハワイに渡って15時間各種ミーティングに参加した場合、75%(=15時間/(15時間+5時間))が米国源泉の役員報酬となります。これだけ見ると多くが米国源泉の所得になってしまい源泉徴収される金額が大きくなります。
一方で、上記に加え1年間に280時間ハワイ法人のために日本から営業・研究・調査・開発など役務を提供したとなれば、5%(=15時間/(15時間+5時間+280時間))が米国源泉の所得となり源泉徴収される金額が小さくなります。
さきほど渡航した日数だけで簡易計算をご紹介しましたが、このように時間数という観点も重要です。いずれにしても米国の税務調査においての論点になることは容易に想像がつくので、エビデンス等の整理・保存が極めて重要となることでしょう。1年間に当該非居住者取締役がハワイ法人のためにどのような活動を何時間行ったのかなどは必須項目でしょう。
パスポートの渡航歴などでハワイに頻繁に渡っている場合には、例え観光目的の部分が多いとしても米国源泉の役員報酬部分が多いのではないかと指摘されることとなるので、理論武装をしておく必要があることでしょう。保守的に考え、100%をハワイでの源泉所得として認識し、日本での外国税額控除を行うというというスタンスもあろうかと思います(ただしこの場合外国税額控除により全額が戻るとは限らない)。

ご相談の流れ

お問い合わせ
お問い合わせ
メール又はお電話にてご連絡をお願いいたします。無料相談が難しい事案の場合には、初回相談の報酬等についてお知らせいたします。お気軽にご相談下さい。
ご面談
ご面談
日本進出コンサルティングにつきましては、原則としてご来社いただいてお打ち合わせをさせていただいておりますが、クライアントのご都合によってはお伺いさせていただきます。
ご提案
ご提案
ご面談を通じて、クライアントの日本進出に関する課題について共有をさせていただき、支援メニューと解決案に関するご提案をさせていただきます。お見積書をご提示させていただきます。
契約書締結
契約書締結
ご提案内容及びお見積内容に基づいて契約書を作成いたします。内容についてご確認いただいた後に、契約を締結させていただきます。
ご支援開始
ご支援開始
契約締結後、ご提案させていただいた内容をベースとして、柔軟かつ迅速に日本進出コンサルティングを開始いたします。