1.金利の決定方法とは
各金融機関が決定する金利について考える前に、基礎知識として市場金利等について理解する必要があります。市場金利は、金融機関同士がお金を貸し借りする時に適用される金利のことです。中央銀行以外の金融機関がマーケットで適用する標準的な取引レートとして、日本ではTIBORなどがあります。これにコストやスプレッドを加味して、預金金利や融資金利は決定されます。金融市場には短期金融市場と長期金融市場があり、それぞれ景気や物価、為替相場、海外情勢等により変動します。景気の回復、物価の上昇、為替相場の円安、海外金利の上昇は国内金利を上昇させます。逆に、景気の後退、物価の下落、為替相場の円高、海外金利の下落は国内金利を下落させます。
現在の国内金利は、下落傾向にあります。これにより、預金者はほとんど預金利息を得られない代わりに、融資金利も下落していることから、借入者にとって有利であり、以前より借入がしやすくなっていると考えられます。これは、主に日銀のマイナス金利政策が影響しております。この政策は、銀行が日銀に当座預金を保有しているのですが、その当座預金へ預入する預金の一定額について、金利をマイナスにするというものです。金利がマイナスだと預入すればするほど、利息を取られてしまいますので、銀行は他の運用先を考え、民間に融資を積極的にする結果、金利を下げるという構造となっています。このように、金融機関の金利は市場金利と密接に関係していると言えます。
2.変動金利と固定金利
各金融機関の金利は一般的に、変動金利と固定金利に分かれています。変動金利と固定金利の特徴は次の通りになります。
(1)変動金利
変動金利は通常年2回の見直し時に、金利が変動する金利形態です。基準金利に連動して金利が上下しますので、金融機関にとってリスクの低い金利形態となります。しかし、最近では、市場金利は下がっているのに、変動金利の金利が下がらないというケースもあります。これは、変動金利の基準となる基準金利を金融機関が下げていないからです。下げられない理由として、現状の金利が低すぎて収益環境が厳しくなっていることから、調達コスト等を加味した場合、これ以上下げられないからとの理由があります。そのため、新規の貸出については基準金利に優遇措置をかけ、金利を下げるという形をとっている場合が多いです。
(2)固定金利
固定金利は変動金利とは異なり、金利を固定するという金利形態です。固定金利には固定期間の幅があり3年、5年、10年、全期間固定等があります。固定金利は金利が固定されているため、将来、金利上昇時に金融機関が金利上昇リスクを負うことから、一般的に変動金利より高く設定される傾向があります。よって、固定期間は長くなれば、長くなるほど、金利が高く設定される傾向にあります。
3.各金融機関の金利について
変動金利の説明の中で説明したように、昨今の変動金利は金利が下がらないので変動しないということが多々あります。これでは、変動金利を選択する理由は乏しいように感じられますが、「金利」とは結局のところ金融サービスに対する「販売価格」である側面もあります。よって、制度融資以外の融資は、各金融機関の金利への対応がそれぞれ異なります。参考として、現状の金利相場は、東京都の創業融資につきましては、固定金利は1.7%~2.5%、変動金利は短期プライムレート+0.5%~0.7%で推移しております。
4.まとめ
3で説明したように、制度融資以外の融資では、現状の金利は妥当かどうかという判断は非常に難しい側面があります。また、仮に少々高い金利であっても、積極的に支援してくれそうな金融機関であれば大目に見るといった判断も必要かもしれません。弊社の融資サポートサービスでは、金利に対するアドバイスもしておりますので、疑問点があればお気軽にお問い合わせください。