テレワークが経営資源にもたらす変化と課題 – 2.モノ

1.概要

前回よりテレワーク導入が企業の経営資源に与える影響について、全4回に分けて取り上げています。
第1回 ヒト
第2回 モノ
第3回 カネ
第4回 情報

第2回である今回は、モノに関して想定される変化、背景と展望、課題と対策を考察していきます。

▼目次

変化
オフィスフロアの減床
固定資産の減少

背景・展望
労働環境の整備という役割が企業から従業員にシフトする
オフィスの減床によるコストカットが可能になる
BCPの具体化に役立つ
ペーパーレス化

 

 

2.変化

テレワークの普及によるモノの変化として、
・オフィスフロア減床
・固定資産の減少
などが挙げられます。

テレワークがモノに与える変化においては、「オフィス面積は企業規模に比例する」という常識を覆しうるということが、最も大きな影響ではないでしょうか。

 

3.背景・展望

現在は従業員の出社が前提となっているため、企業側には、
・全従業員を適切なスペースを取って収容可能な事務所の確保
・デスク・イス・電話・複合機・保管用品の用意
など、全従業員の労働環境を整えることが求められます。

テレワークの実施によって、全従業員の出社の機会が限定的になったり、ペーパーレス化が進んだりすることにより、オフィスの減床が可能となり、
・固定費の削減
・備品・消耗品の手配業務、管理業務の削減
・保管スペースの削減
などのメリットを得ることができます。

特にオフィスの減床については、元々の金額が大きいだけにコストカットの効果は大きいものがあると言えるでしょう。

BCP(事業継続計画)の側面からも、オフィス機能の一か所集中=その場所でないと業務ができないということのリスクが注目されつつあり、テレワークを可能な環境としておくことによって非常時のリスク分散機能の一つとして活用することが可能になります。

また、テレワークによって場所を選ばずに業務を行うためには、ペーパーレス化が必須に近い要件となります。業務に関連する書類を必要になるたびにオフィスに取りに行ったり、全ての書類を持ち出したりすることはテレワークのメリットが低減しますし、何より紛失のリスクが高まります。

そのため、
・これまで行っていた印刷をやめる
・各種書類をPDFなどの形式でデータ化する
などの取り組みが必要です。特にデータ化については、紙への依存度が高い企業ほどこれには大きな時間を必要とするため、テレワークの導入検討にあたって、検討開始時から少しずつ進めることが必要でしょう。

加えて、急激に増加するであろうデータを如何に整理・格納するかは、ペーパーレスでの業務効率を大きく左右するため、必要に応じて個人任せにせず、ある程度のルールの制定が必要になるでしょう。

 

4.課題・対策

モノに関連する課題としては、
①オフィス移転の検討の複雑化
②貸与物の最適化
などが挙げられますが、いずれもテレワーク導入によるメリットを享受するために検討する価値はあるものです。

①オフィス移転の検討の複雑化

オフィス減床にあたってはオフィス移転が必要になるため、
・移転準備
・新オフィスの選定
・縮小に伴い不要となる什器の廃棄
・新たな什器の手配
など、移転に伴う負担が生じます。

また、テレワークを前提とした移転となるため、どこに移転するかということも重要になります。

現在は、営業活動や通勤の兼ね合いから都市部など鉄道密集地にオフィスを構える企業も多いですが、
・営業の遠隔化
・通勤機会の減少
などによって、地理的な自由度が増すことになります。

そのため、企業によっては、
・郊外への移転
・サテライトオフィスの設置
・コワーキングスペースの活用
など、選択の幅が広がり、検討すべき要素が増えることになります。

一方で、住宅手当などの要件にオフィスからの距離を定めているなど、事務所の位置が関係する社内制度がある場合には、移転後の取扱いについて、従業員の不満が出ない形で変更することが必要です。

オフィスの移転・減床による固定費の削減は、テレワークが社内で機能して初めて実現されるメリットであり、移転に係る準備も必要であるため、テレワーク導入後即座に享受できるメリットではありません。

しかしながら、その効果は業務改善などとは比較にならないものであるといえるため、テレワークの導入にあたって十分検討に値すると言えるでしょう。

②貸与物の最適化

各従業員が事務所以外の場所での業務を行うにあたって、必要となる貸与物は、
・ノートパソコン
・携帯電話
・Webカメラ
などが挙げられるでしょう。

現在デスクトップを利用している従業員にはノートパソコンの支給が必要になりますし、社用携帯電話を持っていない従業員へは携帯電話の支給も検討すべきでしょう。

従業員に私用の携帯電話を利用させることも可能ではありますが、企業側が管理不能な情報媒体が生じることになるため避けるべきです。

特にスマートフォンは様々なファイル形式に対応しているため、企業が管理していない端末に機密情報が蓄積されることにも繋がります。私用端末は外出時には必ず携帯するため、遺失による機密情報流出の危険も高いものがあります。

新たな貸与物の用意にあたって相当の費用は必要になりますが、オフィスの減床を初めとするテレワークによるコスト低減によってカバーすることが可能でしょう。

また、テレワーク中に貸与物の汚損や故障が生じた場合の対応フローなどを整備しておくことが必要です。

 

5.おわりに

これまで見てきたように、テレワークは単なる働き方の選択肢としてではなく、企業、ひいては社会各所に影響を及ぼしうるでしょう。

テレワークの広がりによる影響の例として、
・通勤ラッシュの解消により高頻度多量輸送を行っている鉄道車両の稼働率の低下
・社用携帯の必要性向上による携帯電話会社や機器メーカーの一時的な需要増
・オフィス縮小による不動産価格の変動
・企業の郊外・地方回帰による過疎過密の緩和
などは、想定しやすい社会の変化と言えるのではないでしょうか。

テレワークの普及は、情報化が加速度的に進展する社会において、新しい変化の波となりえます。その中で社会に対応すべく変化していくためには、あらゆる選択肢を除外せずに検討していくことが何より重要になるのではないでしょうか。

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