テレワークが経営資源にもたらす変化と課題 – 3.カネ

1.概要

全4回に分けて、テレワーク導入が企業の経営資源に与える影響について、検討を行っています。
第1回 ヒト
第2回 モノ
第3回 カネ
第4回 情報

第3回目となる今回はカネについての変化、背景と展望、課題と対策を考察していきます。

▼目次

変化
費用削減
サブスクリプション費用の増加

背景・展望
ビデオ会議の普及による旅費交通費・交際費の削減
時間削減による費用削減効果
テレワーク対応による瞬間的な費用増

 

 

2.変化

カネに関する変化としては、
・交際費・交通費などの変動費の振れ幅の減少
・固定費の変化
などが挙げられます。

テレワークを実施するにあたって、物理的・電子的な対応が必要となるため、導入時にはやや費用が膨らみ易い側面がある一方、テレワークの利用によるコストカット効果を望めます。

テレワークを実現するには、対応が必要なタスクに優先順位をつけて順次対応する、といった形で無理のないテレワークの導入を進めることもできるでしょう。

 

3.背景・展望

出社・対面が前提の業務では、全従業員の通勤定期代や、商談・各種会議に際しての交通費は必ず必要になるものでしょう。

テレワークの普及とそれに伴うビデオ会議への抵抗感が薄れることなどにより、
・通勤定期券購入者の減少
・客先訪問などのための外出の減少
といったことが生じるため、従業員の交通費や、訪問に伴って生じる会食などの接待交際費の削減を見込むことができます。

加えて、従来コストと認識されつつも具体的な対処策が無いことからやむを得ないものとされていた、通勤・訪問のための移動時間という時間コストの削減によって
・残業時間の減少による人件費削減
・コア業務増加による売上高向上
の実現が期待できます。

また、テレワークを可能とするクラウドサービスなどのITツールは、月ごとに利用料を支払うサブスクリプション型のものがほとんどです。テレワークの実施にあたっては、ほとんどの企業で、サブスクリプション型サービスの利用比率が高まることが見込まれます。

買い切り型のITツールしか利用してこなかった企業にとっては、使い続けることで損をする料金体系のように思われるかもしれませんが、サブスクリプション型のサービスは各種法令をはじめとした制度変更に随時対応するため、買い切り型のツールを制度変更のたびに買うより安価になる場合もあります。

サブスクリプション型のツールの料金体系については、こちらのコラムでまとめていますので併せてご覧ください。

 

4.課題・対策

カネに関連する課題としては、
①損金算入額の減少
②テレワーク対応費用
③従業員負担の軽減措置
などが挙げられます。テレワークによって生じる「カネ」の変化は、企業の特性やテレワークへの取り組み方によっても変わるため、慎重に検討すべきでしょう。

①損金算入額の減少

各種費用の削減は、税務会計の観点からみれば、損金算入額の減少による法人税の課税標準額の増加要因と捉えることもできます

モノの変化の際に触れたオフィスの減床などを実施した場合には、相当額の費用減少が生じます。そこに交通費、交際費といった費用の減少が重なるため、特にテレワークを導入する年度から2、3年は、費用の減少幅に注意する必要があります。

想定以上にまとまった金額の経費削減が見込まれる場合には、
・設備投資
・研修費用
・テレワーク対応費用(IT投資含む)
など他の用途へ回すことが考えられるでしょう。

②テレワークの対応費用

テレワークを実施するにあたって、物理面・電子面の双方で様々な対応が必要となるため、導入時には費用は膨らみ易い側面があります。

主だった対応としては、
・従業員への貸与物の変化
・各種ツールの契約・導入
・社内のネットワーク環境の強化
・社内規程を始めとした制度整備
・オフィス移転
などが考えられます。テレワークと一口に言っても、各企業の状況によって取り組み方や期待する効果などに違いが出るため、必要な対応は各企業によって異なるでしょう。

テレワークの導入にあたっては、
・テレワークによってカットが見込まれる費用額
・テレワークへの対応で必要となる費用額
のそれぞれを試算、比較することが重要になるでしょう。

③従業員負担の軽減措置

2020年4月から5月のテレワークに関連し、在宅勤務によって負担が増加する通信費や水道光熱費の一部を、手当として支給する企業が見られました。一か月の通信費や水道光熱費について、私生活分と在宅勤務分とで正確に分別することは不可能であるため、一律の手当として支給している企業がほとんどでしょう。

この点については、気にする従業員も多い事項と言えますが、法律上にテレワークを前提とした定めがなく、またテレワークが普及しているとは言えない現状では企業毎の対応に任されている状況です。

この部分を定めないままテレワークを導入すると後々のトラブルの原因となりえますので、支給の有無も含めて就業規則などで明確なルール設定を行い、従業員に周知することが重要です。

従業員への手当の支給については、厚生労働省が公開している、「テレワーク導入のための労務管理等Q&A」も併せてご覧ください。

 

5.おわりに

今回取り上げたカネ以外にも、テレワークの普及は様々な形で社会変化を生み出すことでしょう。そしてその社会変化は、新たなビジネスが生まれる機会ともなりえます。

コロナウイルス感染症の影響によって、日本社会は、テレワークを導入するか否かという検討をスキップし、どのようにリスクを解消してテレワークを取り入れるかというフェーズに入りつつあると言えるでしょう。

テレワークによって生まれるビジネスチャンスを如何に掴んでいくか、というところに今後のデジタルトランスフォーメーションの進んだ社会での企業戦略を見出しうるのではないでしょうか。

 

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