汐留パートナーズ・ニュースレター 2018年5月号

近年、日本各地の観光地で外国人旅行客の方々が多く見られます。ある旅行業者の方よりお伺いした話によれば、さくらの時期には、お花見目当てで日本へ訪れる旅行者が多くなるとのことでした。訪日外国人は年間2,800万人を突破し、これからますます日本へ来られる外国人の旅行者が増えると予想されます。
日本へ観光に来られた外国人の方々は消費税を免除して買い物ができる販売店(いわゆる免税店)で商品等を購入されることも多いかと思います。今回は免税店制度について紹介したいと思います。

免税店とは

免税店とは正しくは輸出物品販売場と呼ばれます。輸出物品販売場には「一般型輸出物品販売場」と「手続委託型輸出物品販売場」の2種類があります。「一般型」は商品を販売する店舗で免税をする免税店を指し、「手続委託型」はショッピングセンター内等に出店している店舗が免税手続カウンターに免税を委託する場合を指します。輸出物品販売場を開設しようとする事業者は販売場ごとに事業者の納税地を所轄する税務署長の許可を受ける必要があり、許可を受けるには、一定の要件を満たしている必要があります。
なお、輸出物品販売場を開設する事業者は消費税の課税事業者に限ります。

免税対象となる方について

輸出物品販売場における免税販売は、外国人旅行者などの非居住者に対するものに限られます。非居住者とは外国人旅行者等の日本国内に住所又は居所を有しない方をいい、外国籍でも、日本国内にある事務所に勤務している方や日本に入国後6ヵ月以上経過した方は非居住者に該当しません。

免税の対象となる物品

非居住者が輸出するために購入する物品のうち、通常生活の用に供する物品が対象となります(金又は白金等の地金を除く)。よって事業用や販売用として購入することが明らかな物品は免税販売の対象になりません。また、一般物品(家電、バッグ等の消耗品以外)又は消耗品(飲食料、医薬品、化粧品等)ごとに、同じ人に対して同じ輸出物品販売場における1日の販売価格(税抜)の合計額が一般物品で5千円以上、消耗品で5千円以上50万円以下の範囲内と決められています。
 

税制改正予定について

現行では一般物品と消耗品で購入金額それぞれの合計額が5,000円以上になるよう購入する必要があり、金額の合算は出来ませんが、平成30年7月1日からは一般物品と消耗品の合計金額で5,000円以上となり、一定の要件を満たす場合には免税販売の対象となります。また、現行では紙による免税販売手続きですが、平成32年4月1日以後は免税販売手続きを電子化する予定で、外国人旅行者の利便性向上と手続きの効率化が図られる予定となっております。
もし、免税店制度の内容等について疑問点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

「ジョブ・リターン制度」を機能させるための留意点

◆「ジョブ・リターン制度」とは?

いったん自社を退職した従業員を再雇用する制度(名称は「ジョブ・リターン制度」「カムバック制度」等さまざま)を導入する企業が増えています。平成23年度雇用機会均等法基本調査によれば、こうした制度がある事業所の割合は53.1%です。
また、エン・ジャパンの「出戻り社員実態調査2016」では、220社中67%が「再雇用した経験がある」、7割超が「条件が整えば再雇用したい」と回答しています。
人手不足対策として、こうした制度の導入・活用は企業にとって有効と思われますが、実際に退職者に利用してもらうためには、どのような取組みが必要なのでしょうか?

◆人材確保のための導入企業の取組み①-退職理由を限定し過ぎない

2000年代前半に導入が広がった当時は、結婚や出産・育児が理由の退職者を主なターゲットとしていました。
しかし、近年は退職者を広く受け入れるため、「介護」や「配偶者の転勤」、「転職」、「留学」といった理由での退職者も対象に含めたり、理由を問わず対象に含めたりするところが増えています。

◆人材確保のための導入企業の取組み②-積極的に制度周知を行う

制度を利用してもらうためには、制度の存在が知られていることが不可欠です。
そのため、導入企業では退職時に制度説明を行うとともに、リストに登録するかどうかを確認しておき、募集時にはリストに登録された退職者から優先的に選考したり、退職者に定期的に郵送で再就職を呼びかけたりしているところがあります。専用サイトを設けているところもあります。

◆人材確保のための導入企業の取組み③-再雇用時に細かなフォローをする

復帰に意欲的な退職者であっても、ブランクに対する不安があったり、事情の変更により在職時と同じ働き方での復帰は難しいなどの事情を抱えていたりすることから、導入企業によっては研修期間を設けたりしています。
元従業員といえども、新規採用者と同様に、雇入れ後の働き方に関する希望や条件をヒアリングするなど、丁寧な対応を心がけましょう。

Q 賃借しているビルの新オーナーから立ち退きを求められたら

当社は、ビルのワンフロアを借りて、長年飲食店を経営していました。最近、このビルのオーナーが変わったようで、「テナント等を全て入れ替えたいから、賃貸借契約の更新はしないので、契約が終了したら立ち退いてほしい。」と言われました。当社としては、このビルで長年飲食店の経営を行ってきましたので、立ち退きたくはありません。それでもオーナーの要求通り、立ち退かなくてはいけないでしょうか。
A オーナーからの更新拒絶に正当事由があるかどうかがポイント

◆更新拒絶の正当事由

賃貸人が、賃貸借契約の更新を拒絶するには、正当事由がなければなりません。正当事由とは、賃貸借当事者双方の利害関係その他の事情を考慮し、社会的通念に照らし妥当と認められる事由とされています。

◆正当事由の判断

正当事由を判断する主な要素としては、次のようなものがあります。
①賃貸人・賃借人が建物を必要とする事情
②建物の賃貸借に関する従前の経過
③建物の利用状況
更に、賃貸人から主張されている事情だけでは、正当事由が認められない場合に、賃貸人が相当額の立退料を提供することで、正当事由が補完されます。ただし、あくまでも補完ですので、その他の正当事由を根拠付ける事情が全くない場合でも立退料され払えばよいというものではありません。

◆本件の検討

本件で、ビルのオーナーは「テナント等を全て入れ替えたい」ことを理由に立ち退きを迫っているということですが、単純にビルの運営方針が変わったというだけでは、賃貸人側の建物使用の必要性としては低いでしょう。一方で、賃借人としては、長年このビルで飲食店を経営してきたということであるため、今更この地を離れて営業をすることは難しいと考えれば、賃借人側の建物使用の必要性は高いと言えます。
ただし、上記の通り、正当事由は様々な事情を考慮して判断されますので、例えば、賃借人側で長期間賃料の不払いがあったとか、ビルが老朽化して大規模修繕の必要があるとか,賃貸人側から代替店舗の提供、営業補償や立退料の提案があった場合には、正当事由ありとの判断にかたむく可能性もあります。