汐留パートナーズ・ニュースレター 2018年7月号

はじめに

平成31年4月30日をもって「平成」という元号は終わり、翌5月1日より新しい元号へ変更となります。これによる影響として、システム修正を迫られる会社も多いと思われます。今回は、元号変更に伴うシステム修正費用について、税務上の取扱いをみていきたいと思います。

「修繕費」と「資本的支出」

システム修正費用の税務上の処理としては、「修繕費(費用計上)」と「資本的支出(資産計上)」の2パターンが考えられます。
修繕費とは、固定資産の通常の維持管理のため、又は毀損した固定資産の原状回復のための支出をいい、期間費用として処理されるものをいいます。一方、資本的支出とは、固定資産の使用可能期間を延長させたり、価値を高めるための支出をいい、取得原価に算入されるものをいいます。
法人税基本通達7-8-6の2ではソフトウェアに係る修繕費と資本的支出について書かれており、ソフトウェアのプログラムの修正等を行った場合において、当該修正等がプログラムの機能上の障害の除去や現状の効用の維持等に該当する場合は、修繕費として処理し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときは、資本的支出として処理するとされています。

過去の類似ケース

それでは、元号変更に伴うシステム修正費用は、修繕費と資本的支出のどちらになるのでしょうか。
これについては、過去における西暦2000年システム対応問題や、消費税の税率変更時、郵便番号7桁対応時のプログラム修正のケースが参考になります。
これらの場合、システム修正の内容が、プログラムの現状機能を維持させるためのものである限り、支出された費用は修繕費として処理するものとされました。これは上記の法人税基本通達7-8-6の2にも対応した判断であります。

元号変更に伴うシステム修正

今回の元号変更に伴うシステム修正費用についても、外部環境の変化に伴う必要に迫られた修正という点で、過去の類似ケースと同様であり、あくまでもプログラムの機能維持のための支出として、「修繕費」として処理すべきものと考えます。但し、これに伴ってシステムの新たな機能追加や向上がなされた場合には資本的支出として処理すべき場合があることに留意する必要があります。

おわりに

元号変更に伴うシステム修正費用は、基本的に修繕費として処理することで問題ないと思われますが、それに付随してシステムの新たな機能向上を図った場合などは、実務上修繕費か資本的支出かの判断が難しいこともあるかと思います。よって先方との見積書や請求書において、具体的な内訳内容を記載することが判断材料として重要になってくると思われます。実務上の判断に迷われた際には、弊社までお気軽にお問い合わせください。

調査結果にみる中小企業の人手不足等への対応

◆人手不足の中小企業が4年連続増加

日本商工会議所は、全国の中小企業4,108社を対象に実施した「人手不足等への対応に関する調査」の結果を発表しました。それによると、回答した2,613社のうち、1,731社(65.1%)が「人手が不足している」と回答しており、4年連続で割合が上昇していることから、中小企業の人手不足が悪化していることが浮き彫りとなりました。

◆人手不足が深刻な業種

業種別に見ると、「宿泊・飲食業」の79.1%の企業が「不足している」と回答し、次に「運輸業」(78.2%)、「建設業」(75.6%)が続きました。特に飲食業は、「求人募集を出しても人が集まらない」「採用してもすぐに辞めてしまう」など問題が深刻化しています。また、人手が不足しているが人員を充足できない理由について、採用の面では「立地する地域に求めている人材がいない」という回答が多く、これは人口減少や大都市圏への流出などによるものと考えられます。

◆人材確保のために取り組んでいることは?

同調査での多様な働き方に関する取組みついての設問では、約5割の企業が「長時間労働の削減」「再雇用制度」を、約3割の企業が「年休取得の促進」「子育て・介護休暇制度」を実施していることがわかりました。それによって得られた効果として、「高齢者の活躍促進」「人材の確保(退職者の減少)、定着」「従業員のモチベーション向上」などが挙げられています。
また、外国人材の受入れについては、「受入れのニーズがある」「雇用するか検討中」と回答した企業は合わせて1,145社(42.7%)だったことから、外国人の雇用に関する関心が高いことがうかがわれます。しかし、コミュニケーションのとりづらさや文化の違い、雇用する際の手続きの煩雑さなどに課題があるようです。

◆「人手不足対応アドバイザー」を全国に配置

中小企業庁は、昨年「中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン」を取りまとめ、5月には地域の相談に応じる相談員「人手不足対応アドバイザー」を全国のよろず支援拠点に配置しました。各拠点の相談員は、労務管理、業務見直し等による生産性向上、職場環境の改善などの相談に応じ、対応が困難な内容についてはテレビ電話システムや出張を通じて対応するとしています。
人手不足は、業種や地域によって問題が様々ですので、専門家に相談することによって具体的な解決策が得られるかもしれません。

【汐留エージェント㈱より人材紹介のご紹介】

これまでの労務のノウハウを生かし、
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人財のことは、汐留エージェント㈱迄
03-6263-8970/jinzai@shiodome.co.jp
担当:今井・新井・三澤

Q 代表権のない取締役が勝手に会社を代表して取引をしてしまったら

当社は、取締役会設置会社ですが、先日、代表権のない取締役の1人が、取引先との間で勝手に契約を結んでしまい、取引先から契約の履行を求められてしまいました。当社としては、当該契約は代表権のない取締役が勝手に締結したものであり、契約の履行を拒否したいのですが、拒否することはできるのでしょうか。

A 当該取締役にどのような名称が付されていたかがポイント

◆原則

代表権のない取締役が勝手に会社を代表して契約を締結しても、その契約の効果は、原則として会社には帰属しません。

◆表見代表取締役

しかし、代表権がない取締役であっても、会社内の肩書として、社長・副社長・専務・常務・会長など、代表権があるかのような名称が付されることがあり、第三者が、そのような名称が付された取締役に代表権があると信じて会社と取引を行うことがあります。その場合、代表権があるかのような外観を信頼した第三者を保護し、取引の安全を図るため、誤認の原因を作った会社が、このような取締役の行為について善意の第三者に対して責任を負うとされており(表見代表取締役といいます。)、表見代表取締役の行った行為の効果が会社に帰属します。

◆要件

会社が表見代表取締役の行為の責任を負う場合の要件については、以下のように整理されています。
①代表権があるかのような外観の存在
代表権のない取締役に、社長・副社長・専務・常務・会長など、会社を代表する権限があるかのような名称が付されていたか。
②外観に対する会社の関与
会社が、上記名称の使用を許可していたかまたは当該取締役がそのような名称を使用していることを黙認していたか。
③外観に対する第三者の信頼
第三者が、このような名称を付された取締役に代表権があると重大な過失なく信じて会社と取引したかどうか。
本件で、以上の要件を満たす場合は、会社は、当該取締役が勝手に締結した契約を履行しなければなりません。
代表権をもたない取締役の肩書やその対外的な取り扱いには注意する必要があります。