汐留パートナーズ・ニュースレター 2018年11月号

はじめに

2018年も年末調整の時期がやってきました。今回は年末調整の概要と今年からの変更点や注意点について見ていきたいと思います。

年末調整について

年末調整とは、1年間の給与総額が確定する年末に、その年に納めるべき税額を正しく計算し、それまでに見込みで源泉徴収した税額との過不足額を精算する手続をいいます。
年末調整の対象となる人は、原則として勤め先である給与支払者に給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出している人全てとなりますが、収入金額が2,000万円を超える人、災害減免法の適用のより、所得税の徴収猶予又は還付を受けた人、非居住者、日雇労働者などは対象となりません。
年末調整の対象となる給与は、その年の1月1日から12月31日までに支払うことが確定した給与であり、これは実際に支払ったかどうかに関係なく未払の給与も12月末までに確定したものであれば、その年の年末調整の対象となります。

平成30年分の変更点

① 控除申告書が2枚に
平成29年分までの「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」(兼用様式)が、平成30年分は、「給与所得者の保険料控除申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」の2種類の様式に変更となっています。
② 控除証明書の電子的交付が可能
保険料控除申告書に添付すべき生命保険料や地震保険料の控除証明書の範囲に、電磁的記録印刷書面、つまりインターネット上の表示を印刷したものが加えられました。
③ 配偶者控除・配偶者特別控除の適用範囲
(1)合計所得金額が1,000万円を超える所得者は、配偶者控除及び配偶者特別控除の適用を受けることができなくなりました(従来:給与所得者の合計所得金額の制限無)。
(2)配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下とされました(従来:38万円超76万円未満)。

その他の注意点

① 国外居住親族に係る扶養控除等
国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受ける居住者は、その国外居住親族に係る親族関係書類(戸籍の附票やパスポートの写しなど)や送金関係書類(金融機関やクレジットカード会社の書類など)を源泉徴収義務者に提出又は提示する必要があります。
② 復興特別所得税
所得税の源泉徴収義務者は、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得については、復興特別所得税を源泉所得税と併せて納付しなくてはなりません。よって年末調整においても復興特別所得税を含めた年税額を算出する必要があります。

おわりに

今回は年末調整について今年分の変更点や注意点を中心にお伝えしました。疑問点等はお気軽に弊社までお問い合わせ下さい。

「働き方改革法」に対する企業の意識~エン・ジャパン株式会社の調査から

人材採用・入社後活躍のエン・ジャパン株式会社は、人事担当者向けの総合情報サイト「人事のミカタ」上で、経営者や人事担当者を対象に「働き方改革法案について」アンケート調査を行いました(回答者648名)。それを基に、企業が「働き方改革法案」に対してどこまで認識があるか、またどう感じているかの実態を紹介します。

◆調査結果の概要

1 「働き方改革法案」の認知度
「働き方改革法案」を知っているかという質問に対して、「概要を知っている」(74%)、「内容を含め知っている」(21%)と、認知度は95%に達しています。
2 経営への支障度合
次に、「働き方改革法案」が施行されることで経営に支障がでるかという質問に対しては、「大きな支障が出る」(9%)、「やや支障がでる」(38%)とあり、企業規模が大きくなるにつれて「支障がでる」と回答する割合が増加しています。
3 経営に支障が出そうな法案について
「経営に支障がでる」と回答した方に、「支障が出そうな法案はどれか」という質問に対しては、「時間外労働(残業)の上限規制」(66%)が最も多く、次に「年次有給の取得義務化」(54%)、「同一労働同一賃金の義務化」(43%)と続きます。
また、業種別に見ると、広告・出版・マスコミ関連の「時間外労働の上限規制」(80%)、「年次有給取得の義務化」(70%)、商社の「時間外労働の上限規制」(74%)が目立っています。

◆回答者の声

働き方について日本は他国よりも遅れていて、各人が家庭の状況や自身の体調・結婚や出産などを抱えて仕事をしているのだから、国が柔軟に対応して働き方が多様化することは多くの問題が解決することにつながるといった意見や、中小企業にとっては厳しいところがあるもしれないが、従業員にとっては良い制度と肯定的な意見があります。
一方で、能力差があると思われる職場で同一労働同一賃金は判断が難しい、残業の上限や有給を義務化したら生産性が下がる、生産性が下がる分人を増やしたら人件費が上がる、コスト削減のための無理な施策を考えてしまうのではないかと否定的な意見もあります。

【エン・ジャパン「企業に聞く「働き方改革法案」実態調査」】

Q 社内研修の資料として文献のコピーを配布したい

当社は若手従業員のために、定期的に社内研修を行っておりますが、その研修の資料として、文献の該当ページのコピーを配布しても問題ないでしょうか。

A 社内研修の資料として使うことが私的使用といえるかがポイント

◆著作物の複製

著作物である文献をコピーすることは、著作権法上の複製にあたります。著作物の複製は、著作権者のみが行うことができるため、著作権の保護期間内(著作者の死後50年間)であれば、原則として著作者の許諾なく他人が著作物の複製を行うことはできません。

◆複製を行うことができる場合

しかし、例外として、個人的にまたは家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(「私的使用」といいます)を目的とする場合には、その使用者が著作物を複製することができるとされています。これは、複製する場合に常に著作権者の許諾を必要としてしまうと、著作物の円滑な使用が妨げられ、かえって文化の発展を阻害してしまうために例外的に設けられたものです。私的使用の例としては、個人的に楽しむために音楽を録音したり、家族や少数の友人の間で観賞するためにテレビ番組を録画する場合などです。他方、多人数の間で観賞するためであるような場合には、私的使用にはあたりませんし、複製した後に販売したり、店舗で使用したりなど、営利目的のためであるときにも、私的使用とは認められません。
また、私的使用のための複製は、複製物を使用しようとする者が複製を行う必要がありますので、私的使用のために業者に複製を依頼することはできません(業者が著作者の許諾を得る必要があります)。

◆本件は私的使用にあたるか

本件の社内研修が私的使用にあたるかについては、その社内研修の目的や内容、研修参加者の人数や関係などから判断していくことになります。一般的には、社内研修は従業員どうしが個人的に行うものではなく、会社の業務の一環として行われるものと思われます。また、研修の参加者は社内の従業員ですから、つながりとしても希薄で、家庭内に準ずる限られた範囲内での使用とはいえないでしょう。
したがって、ご質問の社内研修の資料として文献のコピーを配布することは、著作権の侵害にあたり、著作者の許諾なく行うことはできません。