汐留パートナーズ・ニュースレター 2019年05月号

はじめに

5月になり、多くの3月決算会社にとって法人税の確定申告の時期がやってきました。今回は今一度、法人税の申告納付期限の原則及び特例、また申告誤りや申告忘れがあった場合について見ていこうと思います。

原則

法人税の申告書提出及び納付期限は、原則として事業年度終了日から2カ月以内とされています。

申告期限の延長の特例

以下の場合、事業年度終了日までに税務署に申告期限の延長の特例の申請を行うことにより、申告期限の延長が認められます。
① 定款等又は特別の事情があることにより、事業年度終了日から2カ月以内にその事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にある場合➡申告期限を1ヵ月間延長可能
② 会計監査人を置いている場合で、かつ、定款等の定めにより、事業年度終了日から3カ月以内にその事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にある場合➡申告期限を税務署長が指定する月数の期間延長可能(但し、4カ月を超えない範囲内)
③ ①の特別の事情があることにより、事業年度終了日から3カ月以内にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にある、その他やむを得ない事情がある場合➡申告期限を税務署長が指定する月数の期間延長可能
なお、申告期限の延長の特例が認められた場合であっても、納付期限は延長されず、延長期間には利子税が課されます。よって、実務上は法定納期限に見込納付をし、確定申告時に差額を精算することが多いといえます。

申告内容に誤りがあった場合

税金を少なく申告した場合は「修正申告」により、直ちに正しい税額に修正、納付する必要があります。場合によって、加算税や延滞税が追加で課されます。
税金を多く申告した場合は「更生の請求」により、正しい税額への訂正を求めることができ、その内容が正当と認められれば、納めすぎた税金が還付されます。更生の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。

申告を忘れた場合

「期限後申告」により、直ちに申告・納付する必要があります。場合によって、加算税や延滞税が追加で課されます。

おわりに

今回は、3月決算会社の法人税の確定申告期限が近付いてきたことに鑑み、申告期限の原則と延長の特例を中心にご説明しました。毎年、決算スケジュールがタイトであると感じている会社など、申告期限の延長の特例を採用することを検討してみる価値はあるかもしれません。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

2018年度「人手不足」関連倒産が過去最多に~東京商工リサーチ調査

◆2018年度の「人手不足」関連倒産は過去最多の400件

深刻な人手不足が続いていますが、このほど東京商工リサーチの調査結果が公表され、2018年度(2018年4月~2019年3月)の「人手不足」関連倒産は400件(前年度比28.6%増、前年度311件)に達し、年度ベースでは、2013年度に調査を開始以来、これまで最多だった2015年度(345件)を上回って、最多件数を塗り替えたことがわかりました。

◆「人手不足」のうち、「後継者難」によるものが最多の269件

調査結果によると、「人手不足」関連倒産400件の内訳では、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型の269件(前年度比7.6%増、前年度250件)が最多で、次いで、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が76件(同162.0%増、同29件)、賃金等の人件費のコストアップから収益が悪化した「人件費高騰」型が30件(同114.2%増、同14件)、中核社員の独立、転職などで事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が25件(同38.8%増、同18件)でした。

◆産業別ではサービス業の105件が最多

また、産業別にみると、最も多かったのがサービス業他の105件(前年度比34.6%増、前年度78件)で、次いで建設業が75件(同4.1%増、同72件)、製造業が62件(同58.9%増、同39件)、卸売業59件(同43.9%増、同41件)、貨物自動車運送などの運輸業34件(同61.9%増、同21件)などとなっています。

◆北海道と四国を除く7地区で増加

さらに地区別では、全国9地区のうち、関東(125→173件)、九州(39→62件)、中部(34→43件)、近畿(33→39件)、東北(24→28件)、中国(18→19件)、北陸(3→5件)の7地区で前年度を上回り、北海道(21→18件)と四国(14→13件)の2地区では減少となりました。

働き方改革法の施行や外国人労働者の受入れ拡大でこの傾向に歯止めがかかるのか、注視していきたいところです。また、東京商工リサーチでは、年度・月別に企業の倒産事例も公開していますので、関心をお持ちの方は参考にしてください。
【2018年度「人手不足」関連倒産~東京商工リサーチ調査】
【「こうして倒産した・・・」~東京商工リサーチ調査】

Q 36協定は届け出ているものの…

当社は,各種学校の卒業アルバム制作事業を営んでいます。毎年3月にはほとんどの従
業員の残業が不可避となりますので,従業員には,そのことを十分に説明のうえ入社してもらってきました。もちろん,36協定と就業規則上の定めに則って,法所定の原則的上
限時間を超える残業を命じています。また,36協定も就業規則も,労働基準監督署長に
届出済みです。
ところが,現在,当社は,従業員Aさんから,当社の36協定が無効なので残業には応じない旨抗議を受けております。この協定が役員や全従業員から構成される親睦団体の代表者Nさんとの間で交わされたものであることを問題視しているようです。なお,当社で
は,労働組合に加入している従業員はいないようです。
たしかに,Nさんはこの親睦団体代表者であったことから自動的に従業員の代表となって協定を交わしたものではあります。しかし,この親睦団体は全従業員が加入している団体ですので,特段問題はないのではないでしょうか。

A 有効とは限りません

◆ 36協定とは
会社が従業員に対し法所定の原則的上限時間を超えて残業を命じるには,36協定を締
結のうえ,労働基準監督署長に届け出る必要があります。そして,本件の場合,会社は,
労働者の過半数を代表する者との間で,36協定を締結する必要があります。

◆ 誰と36協定を交わすのか
この過半数代表という制度は,各事業場ごとの民主的決定により,その実情にあった柔軟な対応を許容する制度です。従業員側の意向は,この過半数代表者に託されることとなります。しかし,従前,社長がこの代表者を指名したりする例が相当数みられたところです。これでは従業員側の意見が反映されませんので民主的決定とはいえません。そこで,平成10年の法改正により,過半数代表者は,管理監督者以外の者のうち,協定締結者の選出である旨明らかにして実勢される選挙等により選出された者でなければならない旨明確に規定されました。本件のNさんは,このような手続を経た者ではないので,Aさんの言い分が妥当という結論となります。
なお,現在でも,このような要件をみなさない者を過半数代表者として協定を締結する例が相当数みられます。表面上,36協定を届け出たうえで適法に運用しているようにみえても,後日,訴訟などでこれまでの運用全てが違法と判断されかねないところですので,十分に気を付けたいところです。