汐留パートナーズ・ニュースレター 2020年2月号

はじめに

2019年12月12日に令和2年度税制改正大綱が公表になりました。多岐に渡る税制改正大綱ですが、個人に係るものではNISA制度の見直し、未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除の見直し、法人に係るものでは、オープンイノベーション税制、投資や賃上げの促進、5G導入促進税制、連結納税制度見直しなどが注目されています。今回は、その中でも個人に関わるものとして、NISA制度の見直しについて、現行のNISA制度の概要も含めて順に見ていきたいと思います。

現行のNISA制度

NISAとは、株式や投資信託などの金融商品から得た利益が、一定額非課税になる制度をいいます。一般的に投資を行う場合、そこから得た利益には所得税(20.315%)が課税されます。例えば投資により利益10万円が得られた場合、通常は約2万円の税負担があり、手元に残るのは約8万円となりますが、NISA口座では10万円の利益がそのまま手元に入るということになります。

NISA制度には、①一般NISA、②つみたてNISA、③ジュニアNISAの3種類があり、各々以下のような特徴があります。
① 一般NISA:年間非課税投資枠120万円(最大600万円)、非課税期間5年間(2023年まで)
② つみたてNISA:年間非課税投資枠40万円(最大800万円)、非課税期間20年(2037年まで)、投資対象は長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限定
③ ジュニアNISA:年間非課税投資枠80万円(最大400万円)、非課税期間5年間(2023年まで)、0歳~19歳の方に限定

今後のNISA制度

今回の税制改正大綱では主に一般NISAの見直しが図られました。以下、①一般NISA、②つみたてNISA、③ジュニアNISAに分けて今後の制度内容について見てみます。

  • 一般NISA:2023年の期間終了後、2024年からは「新・NISA(仮称)」となる(2028年までの5年間)。「新・NISA」では投資枠が2段階に分けられ、1階部分は年間20万円まで低リスク投資信託(つみたてNISAと同様商品)のみ投資可能とし、2階部分は年間102万円まで株式などを含めた金融商品で運用可能とする。
  • つみたてNISA:期間を2037年から5年間延長し、2042年までとする。∴2023年までに始めれば、非課税期間20年間の確保が可能。
  • ジュニアNISA:期間延長なしで2023年に終了。

おわりに

今回は令和2年度度税制改正大綱の中から、NISA制度の見直しについて取り上げました。改正のポイントとしては一般NISAの一部分に投資対象制限が加わる点でしょう。「新・NISA」を含め、NISA制度についてはわかりづらい点も多いと思います。現行制度を含め、改正内容について疑問点等ございましたら、お気軽に弊社までお問い合わせください。

セブン‐イレブン・ジャパンで未払い残業代問題

昨年12月、セブン‐イレブン・ジャパンは、パート・アルバイトの残業代が一部未払いとなっていた件で、永松社長が記者会見で謝罪しました。同社の支払不足額は2012年3月以降分だけで4.9億円(遅延損害金1.1億円含む)に上り、1人当たり最大280万円となっていました。
原因は精勤手当や職責手当等、残業代の対象となる手当を含めずに計算していたことにあり、12月15日掲載の東洋経済ONLINEの記事によれば、「2001年に計算式を変えた際、式に基づいて計算が正しく行われるかという確認はしていた。しかし、人事や労務管理のプロである社会保険労務士によって計算式そのものが正しいか確認された記録はなく、今までミスが放置されていた」ということです。

未払い残業代放置は経営を直撃するダメージになり得ます

この問題により、同社は厳しい批判を浴びせられました。批判は、未払いの発生のみならず、労働基準監督署の是正勧告等を受けていたにもかかわらず長年放置していた姿勢にも向けられました。こうした批判は、今後の人材募集にも深刻な影響を与えかねません。

今年4月以降、未払い残業代リスクはさらなる脅威に

昨年12月27日、厚生労働省は、賃金等支払いを請求する権利の時効を現行の2年から原則5年へと延長する方針を固め、4月1日以降、労働基準法が改正される見通しとなりました。
改正法施行後も、当面の間は3年とされる見通しですが、5年経過後に見直し、以降は原則どおり5年とすべきという意見も出されています。
つまり、未払い残業代が発覚した場合でも、これまでは2年分の不足分を支払えばよかったのですが、2倍以上の金額を支払わなければならないこととなります。

残業代が適正に支払われているかチェックを受けましょう

4月1日以降は、時間外労働時間の上限規制も全面施行となるため、残業時間のカウントと残業代の支払いに注意を払う必要があります。
ソフトやクラウドサービスを利用しているから大丈夫と思っても、セブン‐イレブン・ジャパンのように計算方式が誤っていて、未払い残業代が発生し続けるといったこともあり得ます。二の舞を踏んで危機に陥らないためにも、一度チェックを受けてみてはいかがでしょうか?

遺言によって不動産を相続した人は、登記をしないと権利を失う可能性があります

平成30年(2018年)7月に、相続法につき約40年ぶりに大きな改正が行われました。
その一部が、令和1年(2019年)7月1日に施行されています。
改正相続法が施行されたことにより、遺言によって不動産を相続した相続人にとって、相続登記を行うことがとても重要なものとなりました。
なぜなら、改正相続法によると、遺言によって不動産を相続した相続人はその登記をすることにより、第三者に対してその不動産は自分のものであると主張することができることになったためです。
最悪の場合、相続登記をしていないことによって、せっかく不動産を相続したのにその権利の一部を失うこともあり得ます。

相続登記とは

相続登記とは、不動産の登記簿に所有者として記載されている人が亡くなったときに、当該所有者から不動産を相続によって取得した人が、自分を所有者として登記簿に記載するための手続きのことをいいます。

今までとの違い

改正相続法が施行されるより前は、遺言があれば、その登記が無くても、不動産を相続した相続人はその所有権を第三者に対抗することができました。
しかし、改正相続法が施行されたことにより、遺言によって不動産を相続した相続人も、自分の相続分を超える部分については、相続登記をしないと第三者に対抗することができなくなりました。

いつから登記が対抗要件となるか

令和1年(2019年)7月1日以降に発生した相続において、遺言によって不動産を相続した人は、(自分の相続分を超える部分につき)相続登記が対抗要件となります。

解決方法は、相続登記をすること

遺言によって不動産を相続した人が自分の権利を守る方法は、相続登記をすることです。
相続登記は、相続登記をしようと思ってから一日二日でできるものではありませんので、お早めに準備をされることをお勧めいたします。