汐留パートナーズ・ニュースレター 2020年4月号

はじめに

今回は、令和2年度税制改正大綱の中の法人関連で、中小企業への影響も大きいと思われる項目をいくつか見ていきたいと思います。

5G投資促進税制の創設

5G

「5G」とは、「5th Generation」、第5世代移動通信システムの略称で、次世代の最大の資源となる「データ」を様々な分野・地域において利活用できる環境整備に向け、5G情報通信インフラの普及促進のための税制措置が講じられます。即ち、通信事業者が全国基地局の前倒し整備を行ったり、地域の企業や事業体などがローカル5Gの整備を行ったりした場合に、税負担が軽減されます。具体的には、全国・ローカル5G事業者が、「特定高度情報通信等システムの普及及び促進に関する法律(仮称)」施行日から2022年3月31日までの間に、特定の対象設備を取得して事業供用した場合に、①特別償却(取得価額×30%)、又は②税額控除(取得価額×15%(上限:法人税額×20%))の選択適用が可能となります。

交際費等の損金不算入制度の見直し

中小法人が支出した交際費等は「定額控除限度額(年800万)」と「接待飲食費の50%相当額」とのいずれかの金額を損金算入可能とする特例措置があります。中小法人にとって、交際費等は事業活動に不可欠な経費であることから、当該特例措置の適用期限が2年間延長され、2022年3月31日までとされます。また、中小法人以外の接待飲食費の特例(50%の損金算入)については、資本金の額等が100億円超の大法人を対象外とした上で、適用期限が2年間延長されます。

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置の延長

青色申告書を提出する中小企業者等である法人が、30万円未満の減価償却資産を取得した場合、合計300万円までを限度に、即時償却(全額損金算入)することが可能となる税制特例措置が2年間延長され、2022年3月31日までとされます。但し、対象法人について、連結法人を除外し、常時使用する従業員数を500人以下(現行:1,000人以下)とする見直しがなされます。

消費税の申告期限の延長の特例の創設

企業の事務負担の軽減に資するよう、消費税の申告期限を法人税と同様に1ヵ月延長する特例措置が創設されます。但し、当該特例措置は、法人税の申告期限延長の特例の適用を受ける法人が対象であり、消費税のみの期限延長は認められません。また延長された期間に係る利子税の納付が必要となります(2021年3月31日以降に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用)。

おわりに

令和2年度税制改正大綱では、企業の内部資金や技術を有効活用することを促す特例措置が随所に見受けられます。適用可能な優遇措置は積極的に利用したいものです。制度内容や適用要件等、ご不明点がございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、企業がどのような対応をしているかが気になるところです。人事コンサルティング会社のマーサージャパンでは2月27日から3月4日までの期間、新型コロナウイルスに対する企業の対応について、調査を実施しました。

時差出勤、テレワーク

各社の取組みの現状としては、「時差出勤の許可・奨励」が84%、「在宅勤務・テレワークの許可・奨励」が69%と柔軟な対応が進んでいます。
在宅勤務・テレワークについては、82%が全社または一部の部門で実施しています。その一方で、18%の企業が実施していない理由としては、「インフラが整っていない」(78%)、「関連規定・ルールが整備されていない」(66%)、「業務特性がテレワークに適していない」(62%)などが挙げられています。

イベントの中止・延期

「緊急性の低い国内外の出張を中止・延期」が91%、「集合型社内研修の中止・延期」が71%、「職場での懇親会等の中止・延期」が59%、「採用関連イベントの中止・延期」が39%と多く、「新卒・中途入社式の中止」も10%となっています。

オンライン化

会議などのオンライン化も「オンライン会議への切替え」(社内ミーティング52%、社外ミーティング39%)、「オンライン研修への切替え」(27%)と進んでいます。

企業への影響

企業が抱える懸念としては「出張の中止や延期に伴う商談のスローダウン」が57%、「国内外の経済活動の停滞、自粛ムードに伴う売上の減少」が50%と多くなっています。

マーサージャパンによるポイントまとめ

・全社共通の対応としては、総じて不要・不急な出張の中止・延期やテレワークへの切替えなど、感染拡大防止にあたり必要な施策を実施する一方、ビジネス面の影響や4月以降の業務計画の見直しについては慎重に見極める姿勢が大半であり、悲観的なトーンが比較的強いメディア報道に比べ、企業の現場では比較的冷静な対応が多く見受けられた。
・一方で、感染拡大防止に向けた対応・施策が十分に整備されていない企業も散見され、個別企業ごとの危機管理や業務・ITインフラ、リーダーシップのあり方の違いが浮き彫りになった。

【マーサージャパン「新型コロナウィルスに対する企業対応のスナップショットサーベイ結果」】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000046.000035512.html

2020年4月1日から、新しく配偶者居住権という制度がスタートします。配偶者居住権とは、被相続人の配偶者が、相続発生時に住んでいた被相続人が所有していた建物につき、住み続けることができる権利のことをいいます。被相続人が遺言によって第三者に建物を遺贈してしまった場合、今までは残された配偶者がその建物に住めなくなってしまう可能性がありました。また、相続財産が仮に自宅2000万円と現金2000万円であった場合、配偶者と長男が平等に分けるために配偶者が自宅を相続し、長男が現金2000万円を相続してしまうと、配偶者の生活費が無くなってしまう心配がありました。
このように生じる残された配偶者の負担を軽減し得る手段として、配偶者居住権が期待されています。

配偶者居住権はいつから始まるの?

配偶者居住権は、2020年4月1日以後に開始した相続から生じます。2020年3月31日以前に開始した相続については、配偶者居住権が生じません。配偶者居住権は、遺言によって設定することが可能ですが、2020年3月31日以前に作成された遺言によっては、配偶者居住権を成立させることはできません。

配偶者居住権はどのようにして認められるか

配偶者居住権は、前提として、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に配偶者が居住していた場合において認められます。その条件が揃っているときに、次の方法によって被相続人の配偶者が、配偶者居住権を取得します。
①遺産分割(家庭裁判所の審判等を含む)
②遺贈、死因贈与契約

建物が夫婦以外の人が所有している場合

前述のとおり配偶者居住権が成立するためには、被相続人が所有する建物に、相続開始時に配偶者が居住していることが必要です。そのため、被相続人以外の人が所有している建物は配偶者居住権を取得することはできませんし、被相続人と被相続人以外の人が共有している建物についても同様に、配偶者は配偶者居住権を取得することはできません。被相続人と配偶者が共有している建物であれば、配偶者居住権を取得することが可能です。

配偶者短期居住権

遺言や遺産分割協議等によって認められる配偶者居住権とは別に、配偶者短期居住権というものもあります。こちらは、配偶者が被相続人が所有していた建物に相続発生時に無償で居住していた場合に成立する権利であり、最低6ヶ月は配偶者がその建物に住み続けることができます。遺言により建物が第三者に遺贈された場合でも、配偶者短期居住権が成立すれば、当該配偶者は6ヶ月間はその建物に住み続けることができ、その間に引越先を探すことができるようになります。

第三者に対抗するためには登記が必要

配偶者居住権は登記することができるとされており、第三者に対抗するためにはこの登記が必要です。例えば、建物の所有者が第三者に建物を売却したときは、配偶者居住権の登記をしていない限り、建物を取得した第三者に対し、配偶者居住権を対抗することができないことになります。そのため、配偶者居住権を取得した人は早めに登記手続きをすることをお勧めします。なお、配偶者短期居住権は登記をすることができません。

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