汐留パートナーズ・ニュースレター 2020年5月号

はじめに

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府は4月7日に緊急経済対策を閣議決定し、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置」が支援策として盛り込まれました。12項目の具体的施策が掲げられており、関係法案の国会での成立を前提に適用されます。今回から2回に渡り、当該税制上の措置について項目別にみていきます。

納税の猶予制度の特例

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収入に相当の減少があった納税者の国税・地方税及び社会保険料について、無担保かつ延滞税なしで1年間、納付が猶予されます。対象者は、①2020年2月1日以降における一定期間(1月以上の任意の期間)において、収入が減少(前年同月比▲20%以上)し、②⼀時に納税を⾏うことが困難と認められるものであり、対象となる税金は、2020年2月1日~2021年1月31日に納期限が到来するもの(施行日前に納期限が到来しているものについても遡及適用可)とされています。

欠損金の繰戻しによる還付の特例

前年度に納付した法人税の一部還付を受けることが可能となる欠損金の繰戻還付の適用対象が、資本金1億円以下の中小企業から、資本金10億円以下の法人に拡大されます(2020年2月1日~2022年1月31日に終了する事業年度に生じた欠損金が対象)。

中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の軽減

中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋の2021年度の固定資産税及び都市計画税が、売上減少幅に応じ、ゼロ又は1/2とされます。具体的には、2020年2月~10月の任意の3カ月の売上が前年同期比30%以上50%未満減少した場合は1/2に軽減、50%以上減少した場合は全額免除とされます。

生産性革命の実現に向けた固定資産税の特例処置の拡充・延長

中小企業が生産性向上に資する一定の設備投資を行う際に、自治体の定める条例に従って投資後3年間の固定資産税が免除又は軽減される特例措置について、適用対象に、従来の機械装置・器具備品などの償却資産の他、事業用家屋・構築物も追加されました(一定の条件あり)。また、適用期限が生産性向上特別措置法の改正を前提に、2021年3月末から2023年3月末へ2年間延長されます。

テレワーク等のための中小企業の設備投資税制

中小企業経営強化税制の対象に、テレワーク等のためのデジタル化設備(①遠隔操作、②可視化、③自動制御化のいずれかを可能とするもの)が追加されます。

おわりに

当該税制上の措置は、経済的な支援の一部に過ぎないと思いますが、利用できるものを利用しない手はないと思います。適用要件等、ご不明点がございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

対象労働者・対象業種を拡大

新型コロナウイルス感染症の感染拡大による休業要請や営業自粛が広がり、雇用調整助成金の活用を検討する事業者が増えています。厚生労働省では、4月1日から6月30日までの間の休業等について、雇用保険被保険者でないパート、アルバイト等週当たりの労働時間が20時間未満の労働者、4月入社で1日も出社していない新入社員の休業等も対象としています。また、風俗関連事業者の休業等も対象としています。

解雇なしで9/10、解雇ありは4/5の助成

助成率が引き上げられ、解雇等を行わない中小企業の場合は9/10(従前は2/3)、大企業でも3/4(従前は1/2)となっています(解雇等を行った場合は、中小企業4/5、大企業3/4)。

自動計算機能付き様式、記載事項・添付書類の省略等により手続きを簡素化

休業等実施計画届等の事後提出が認められているだけでなく、支給申請書に自動計算機能が組み込まれ、記載事項が大幅に削減されています。また、添付書類の労働保険料に関する書類が不要となったり、休業・教育訓練の実績に関する書類として手書きのシフト表や給与明細の写しでもOKとされたりするなど、手続きが簡素化されています。

教育訓練は自宅等でのe-ラーニングもOK

教育訓練を実施した場合の助成率も上記と同率まで引き上げられ、通常1,200円の加算額が中小企業は2,400円、大企業で1,800円へと引き上げられています。この教育訓練として、職業、職務の種類を問わず、一定の知識・ノウハウを身に付けるもの(接遇・マナー、パワハラ・セクハラ、メンタルヘルス)も対象とされます。訓練方法も、一定程度の技能、実務経験、経歴のある者が講師として行う場合は、自宅等でインターネット等を用いた片方向・双方向で実施する訓練も対象とされます。

小学校休業等対応助成金も6月30日まで延長

なお、小学校等の休校により子どもの世話を行う労働者に年次有給休暇以外の有給休暇(賃金全額支給)を取得させた事業主に、賃金相当額の全額を支給する本助成金も、6月30日まで延長されています。

今回の感染症が経済に与える影響は深刻かつ長期化する可能性が高いと思われますが、休業等による雇用の維持を図らず、労使関係が悪化して、終息した時に従業員が残っていないなどとなれば、事業を再開し業績を回復させることもできません。助成金を活用した雇用の維持をぜひご検討のうえ、社会保険労務士にご相談ください。

人が亡くなると、死亡届の提出や遺産の調査、遺言書の確認、金融機関の口座解約など、様々な手続きが必要となります。こうした手続きをスムーズにするための制度として、「法定相続情報証明制度」があります。2017年5月から始まった制度で、法務局に申し出ることにより「法定相続情報一覧図の写し」の交付を無料で受けることができます。亡くなった方(被相続人)の不動産を相続人へと名義変更をする相続登記の手続きにも利用することができます。

今回は、法定相続情報証明制度の利用方法についてご紹介します。

相続登記の手続きでは、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍(除籍)謄本を集め、相続人が誰かを調査します。こうして集めた戸籍(除籍)謄本の束をその他の書類とともに法務局へ提出して、相続登記の手続きをします。被相続人の不動産が都道府県をまたぐなどして複数ある場合は、不動産の所在地ごとに戸籍(除籍)謄本の束を提出しなければならず、時間や費用がかかります。法定相続情報証明制度を利用することで、「法定相続情報一覧図」を法務局に保存してもらい、戸籍(除籍)謄本の束の代わりに「法定相続情報一覧図の写し」を相続登記手続きだけでなく、金融機関の口座の相続手続きや、自動車の相続手続き、有価証券の相続手続きにも利用することができます。

この制度は、相続人が法務局に対して、次のような流れで申し出ることができます。
①被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍(除籍)謄本、住民票、相続人の戸籍謄本、住民票など、必要な書類を集めます。
②戸籍(除籍)謄本をもとに、被相続人と相続人の関係がわかる関係図を作成します。
③申出人が「申出書」を記載し、①で集めた書類、②の関係図とともに法務局へ提出します。申出書には、交付を受けたい通数や利用目的などを記入します。申し出ができる法務局は、被相続人の本籍地、被相続人の最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地です。

法務局への申し出後、数日~数週間で登記官の認証文が入った「法定相続情報一覧図の写し」が交付されます。申し出をすると、「法定相続情報一覧図」が5年間法務局で保存され、5年間は無料での再交付を受けることができますが、交付を受けられるのは「申出人」に限り、ほかの相続人が再交付を受けることができない点に注意が必要です。

この制度は、戸籍(除籍)謄本等に基づいて、法定相続人を明らかにするもので、様々な相続の手続きごとに提出していた戸籍(除籍)謄本の束の代わりといえます。そのため、相続放棄をした人や遺産分割協議により、相続分をもたない人も法定相続情報一覧図には氏名が記載されることになります。一度作成すれば、無料で交付を受けられ、不動産の名義変更だけでなく、預貯金の名義変更や解約、有価証券の名義変更手続き、保険の名義変更手続きなどにも使えます。
申出人の委任により、弁護士、司法書士、税理士、行政書士、社会保険労務士等に戸籍の収集や相続人の関係図の作成など、申し出に必要な手続きを依頼をすることができるので、スムーズに相続手続きをすすめる制度として利用を検討してはいかがでしょうか。

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