汐留パートナーズ・ニュースレター 2020年6月号

はじめに

今回も前回に引き続き、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置」の項目を見ていきたいと思います。

中止等されたイベントに係る入場料等の払戻請求権を放棄した者への寄附金控除の適用

tax-measures

政府の自粛要請により、一定の文化芸術・スポーツイベント(2020年2月1日~2021年1月31日に国内で開催予定であったもの)を中止等した主催者に対し、観客等が入場料等の払戻請求をしなかった場合、一定の手続きの上、放棄した金額(上限20万円)が、所得税における寄附金控除(所得控除又は税額控除)の対象となります。

自動車税・軽自動車税環境性能割の臨時的軽減の延長

自家用自動車・軽自動車を取得した際に、自動車税・軽自動車税環境性能割の税率1%分を軽減する特例措置の適用期限が6か月延長され、2021年3月末までに取得されたものが対象とされます。

住宅ローン控除/耐震改修した住宅に係る不動産取得税の特例措置の適用要件の弾力化

住宅建設/増改築/耐震改修の遅延等により、入居が遅れた場合も、一定の要件を満たす場合、期限内に入居したのと同様の住宅ローン控除/耐震改修した住宅に係る不動産取得税の特例措置が適用されます。

消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例

2020年2月1日から2021年1月31日までの期間のうち、一定期間(1月以上の任意の期間)における売上が著しく減少(前年同期比概ね50%以上)した事業者が、課税期間開始後における消費税の課税選択の変更をすることが認められます。また、課税事業者を選択した場合の2年間の継続適用要件等は適用されません。

特別貸付に係る契約書の印紙税の非課税

公的金融機関や民間金融機関等が、事業者に対して通常より有利な条件の特別貸付を行う場合、契約書の印紙税が非課税とされます。また、既に契約を締結し印紙税を納付した者に対しても、遡及適用し、還付がなされます。

その他所要の措置

「生活に困っている世帯に対する新たな給付金」及び「子育て世帯への臨時特別給付金」について、所得税及び個人住民税を非課税とする措置等が講ぜられます。

おわりに

新型コロナウイルスの社会・経済に与える影響は甚大であり、今後の感染症の動向や経済の状況等を踏まえ、政府は必要に応じて時機を逸することなく、適切に対応していくと宣言しています。今後も日々の状況の変化や最新の情報を注視する必要があります。
税制上の措置を含め、自社に有利な制度を利用する上で、ご不明点等がございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

業務中に新型コロナウイルス感染した場合の労災補償

厚生労働省は、各労働局に対し、労働者が業務中に新型コロナウイルスに感染した場合の労災補償に関する通達(以下「通達」という)を出し、相談があった際の対応について方針を示しました。

感染経路が特定できない場合は?

通達では、新型コロナウイルス感染症について、従来の業務中の事故や病気の場合の考え方と同様に、業務遂行性と業務起因性が認められた場合に労災保険給付の対象となるとしています。
しかし、この感染症は、感染経路が特定できない場合が多いことが大きな問題となっています。通達では、「患者の診療若しくは看護の業務又は介護の業務等に従事する医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となること。」とし、医療従事者や介護従事者以外の労働者についても、感染経路が特定できなくても「業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められるか否かを、個々の事案に即して適切に判断すること」と明記しています。

感染リスクの高い業務とは?

感染経路が特定できない場合であっても、感染リスクが高いと考えられる以下のような業務に従事していた場合は、「潜伏期間の業務従事状況、一般生活状況等を調査した上で、医学専門家の意見も踏まえて判断すること」としています。

・複数(請求人を含む)の感染者が確認された労働環境下での業務…施設利用者等が感染している場合等を想定
・顧客等との近接や接触の機会が多い労働下での業務…小売業の販売業務、バス・タクシー等の運送業務、育児サービス業務等を想定

また、海外出張者については、出張先国の感染リスクが高いと客観的に認められる場合には、「個々の事案に即して判断すること」としています。

判断や対応に迷ったときは相談を!

5月8日時点での新型コロナウイルスに関する労災請求件数は7件ですが、今後、事業主、労働者からの相談は増えると考えられます。また、医療従事者等からは早期の労災認定を求める声も強まっています。従業員が感染した場合の労災補償、請求手続き等については、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士にご相談ください。

【基補発0428第1号「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて」PDF】https://www.mhlw.go.jp/content/000626126.pdf

改正民法の施行

2020年4月1日より、改正民法が施行されました。ここでは、「時効」規定の改正について触れたいと思います。

10年間と定められていた消滅時効期間が、5年に短縮されました

貸したお金の返済を請求する権利等を債権といい、一定の期間を過ぎてしまうと、請求ができなくなることがあります。これを消滅時効といい、改正前の民法では、権利を行使できるときから一定期間を経過し、時効を主張(援用)すると権利が消滅するものと規定されていました。消滅時効の期間は、下記のとおり債権の種類に応じて細かく分けて規定されていましたが、改正民法では、これらを一本化して分かり易く規定されました。 

改正前

貸金債権等

権利を行使できるときから

10年

飲食代金、衣料品の代金等

1年

弁護士費用、習い事の月謝、売掛金等

2年

診療報酬債権、工事代金債権等

3年

 

改正民法

主観的消滅時効期間

権利を行使できることを知ったときから

5年

客観的消滅時効期間

権利を行使できるときから

10年

生命・身体に対する損害賠償

20年

主観的消滅時効期間と客観的消滅時効期間のいずれか早く到来したときに消滅時効が完成します。

商事消滅時効が廃止されました

会社間の取引によって生じた債権については、民法ではなく、商法が適用されます。民事消滅時効が10年であるのに対し、商事消滅時効が5年であったため、両者間に相違がありました。
上記の通り、改正民法では、商事消滅時効と同じく5年の消滅時効が定められたため、商事消滅時効は廃止され、会社間の取引にも民法の消滅時効が適用されることとなりました。

不法行為による損害賠償請求権の消滅時効が変更されました

改正民法では、一般的な不法行為と人の生命・身体の侵害によるものとで、時効期間を分けて規定されました。また、除斥期間とされていたものが、消滅時効期間とされました。
なお、除斥期間とは、一定の権利について法律上認められている存続期間をいい、その期間が経過すると権利は消滅します。時効の中断がなく、当事者が援用しなくても当然に権利消滅の効力を生ずるなどの点で消滅時効と異なります。

 

改正前の民法

改正民法

一般的不法行為に基づく損害賠償請求権

被害者又はその法定代理人が損害

及び加害者を知った時から3年、

不法行為の時から20年(除斥期間)

被害者又はその法定代理人が損害

及び加害者を知った時から3年、

不法行為の時から20年(時効)

人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権

被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年、

不法行為の時から20年(時効)

時効に関する用語の改正

 改正前の民法では、時効の完成に必要な期間の進行が中断し、既に進行した期間がリセットされることを「時効の中断」といい、時効の進行が停止し、時効の完成が猶予され、経過した時効期間はリセットされず有効に維持されることを「時効の停止」といいました。改正民法では、これらの用語を分かり易い表現に改め、それぞれ「時効の更新」、「時効の完成猶予」と改正されました。

協議を行う旨の合意による時効の完成猶予

改正民法では、債権者と債務者が権利関係について協議を行っているときは、一定の期間、時効の完成が猶予されるという規定が新たに設けられました。この場合、協議を行っていることを書面に残す必要がありますのでご留意ください。

いつから適用されるか

2020年4月1日以降に発生した債権について適用されます。この施行日よりも前に生じた債権については、改正前の民法の消滅時効期間によるとされています(民法改正附則)。この機会に、皆様の債権債務についても一度ご確認ください。

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