汐留パートナーズ・ニュースレター 2020年10月号

本格的にスタート! 企業の業務効率化を見据えた「行政手続きの電子化」について

秋分の日が過ぎ、日が落ちるのが徐々に早くなり始めましたね。9月の中旬ごろまでは「残暑」と言われていたにも関わらず、下旬より急激に気温が下がりはじめ、かなり「秋」らしくなってきました。朝夕の寒暖差が激しい季節柄ですので、どうぞご自愛ください。

インターネットが商業化された1995年以降から加速したIT革命。それ以降はあらゆる分野でのIT化が進み、現在は、様々なシーンで「電子化」という言葉を聞くようになりました。2018年4月、政府は、民間事業者が行政窓口への申告書や届出書などの作成や提出に対し、必要以上のコストをかけている事実を踏まえて、コスト削減率20%を目指した、行政手続きのプロセスの簡素化について検討しました。簡素化の筆頭として挙げられたのは「行政手続きの電子化」で、2019年4月より施行が開始された「働き方改革」による生産性向上への対応や、「新型コロナ」によるテレワーク体制の整備という影響も相まって、「行政手続きの電子化」への取り組みはさらに加速されることが見込まれています。

さて今回は、この「行政手続きの電子化」をトピックに、汐留パートナーズの3事業部から最新情報やお役立ち情報をご紹介させていただきます。

 

はじめに

昨今、新型コロナウイルスの影響も相俟って、オンラインで行政手続を行う「行政のデジタル化」への取り組みが加速しています。今回は、コロナ禍を契機として活発化している行政手続のデジタル化のうち、①大法人に対する電子申告義務化、及び②年末調整手続の電子化を取り上げたいと思います。

大法人に対する電子申告義務化

2020年4月1日以後に開始する事業年度(課税期間)より、大法人による法人税や消費税、地方税の法人住民税や法人事業税の電子申告が義務付けられました。対象となる大法人とは、①事業年度開始時点の資本金(出資金)の額が1億円超の内国法人、②相互会社、投資法人、特定目的会社、③国・地方公共団体(消費税の場合)とされています。また、対象手続は、確定申告、中間(予定)申告、仮決算の中間申告、修正申告及び還付申告であり、電子化の対象となる書類は、申告書及び申告書に添付する全ての書類です。これにより、勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化や一定の紙原本の保存不要化、財務諸表や各種明細のCSV形式による提出、法人代表者の電子署名の役員や社員への委任、代表者や経理責任者の自署押印の廃止などの利便性の向上も図られています。
一方、留意点としては、書面で提出した申告書は無効になり、無申告加算税の対象となること、添付書類を含めた全ての書類が電子化対象となるため、使用している税務申告ソフトが対応していない場合は、e-Taxソフトを利用する、又はイメージデータを添付する必要があることなどが挙げられます。

年末調整手続の電子化

2020年10月より、年末調整手続の電子化がスタートしました。電子化により具体的な年末調整手続の流れは以下のようになります。

  • ① 従業員が、保険会社等から控除証明書等を電子データにて受領
  • ② 従業員が、①の電子データを「年調ソフト(国税庁が無償で提供)」にインポートし、控除額を自動計算
  • ③ 勤務先が、従業員より①の控除証明書等、及び②で作成の年末調整申告書を電子データにて受領
    ④ 勤務先が、③の電子データを給与システム等にインポートし、年税額を自動計算

これにより、完全ペーパレス化が図れ、自動計算による正確性も担保されます。また書面による紛失及び再発行の手間や、書類保管コストも不要となります。

おわりに

今回は、行政のデジタル化の一環として、「電子申告義務化」及び「年末調整の電子化」について、その利便性も含めてみてみました。コロナ禍により、あらゆる場面での電子化が急速に進む中、税務関連でも書類の電子化や電子申告の義務化の範囲は拡大していくでしょう。その中で、適宜自社の対応状況の見直し、今後の方針策定など、柔軟な対応が求められます。最新情報等、ご不明点がございましたら、弊社までお気軽にお問合せ下さい。

はじめに

2020年4月から、特定の法人を対象に、労働保険・社会保険の一部手続について、電子申請によることが義務づけられました。まだ対応できていない法人も少なくはないと思いますが、今回は電子申請義務化の概要と、その対応について解説します。

電子申請義務化の対象となる法人と時期

電子申請が義務づけられる法人は、下記の法人となります。
・資本金の額、出資金の額もしくは銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人
・相互会社(保険業法)
・投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律)
・特定目的会社(資産の流動化に関する法律)

義務化の対象となる時期は、2020年度4月以降に到来する事業年度の開始日以降となります。たとえば、6月決算の法人であれば2020年7月1日から、12月決算の法人であれば2021年1月から、一部手続の電子申請が義務づけられます。

対象手続

現在、電子申請によることが義務づけられる手続は下記の通りです。

健康保険・厚生年金保険

被保険者報酬月額算定基礎届

被保険者報酬月額変更届

被保険者賞与支払届

労働保険

概算・増加概算・確定保険料申告書・一般拠出金申告書

雇用保険

被保険者資格取得届

被保険者資格喪失届

被保険者転勤届

高年齢雇用継続給付支給申請

育児休業給付支給申請

現在はまだ対応が必要な手続は多くありませんが、今後は対象が拡大していくことが考えられます。

電子申請義務化への対応

電子申請義務化への対応方法には、大きく2つあります。1つ目は自社で対応する方法、もう1つは電子申請に対応している社会保険労務士に委託する方法です。自社で対応する場合には、電子証明書や利用環境の準備が必要となります。社会保険労務士に委託する場合には、これらの準備は必要ありません。

1. 電子証明書
自社で対応する場合、電子証明書が必要となります。利用することのできる電子証明書を発行している認証局は、e-govのWebページをご確認ください。https://www.e-gov.go.jp/help/shinsei/flow/setup04/manu_certificate.html

2. 利用環境
電子申請を行う方法は、e-govから直接申請する方法と、外部連携API対応のソフトウェアやサービスを用いる方法があります。e-govから直接申請する場合には、WindowsPCと対応ブラウザが必要となります。外部連携API対応のソフトウェア・サービスについては、そのソフトウェア・サービスが動作可能な環境であれば申請可能です。

電子申請の今後

現在は一部法人のみが対象となっていますが、今後は対象法人や対象手続が拡大されていくことが予想されます。電子申請は24時間365日いつでも申請可能で、各種申請窓口へ出向く必要もなくなりますので、事務効率化やコスト削減を図ることができます。また、セキュリティの確保は必要ですが、電子申請であれば自宅からでも手続が可能となります。新型コロナウィルスのような感染症の流行時などには、大きなメリットがあるでしょう。
電子申請義務化の対象となっていない法人においても、新たな生活様式を見据えて、電子申請の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

はじめに

今回は、在留資格のオンライン申請についてご紹介致します。以前は入管窓口でのみ可能だった在留資格手続きが、2019年7月より一部の申請においてオンライン申請が開始され、2020年7月からは対象範囲が大幅に拡大されました。

オンライン申請利用対象者

「外国人雇用状況届出を提出している」、「過去3年以内に複数回、在留資格関係の申請を行っている」など一定の要件を満たしている外国人の所属機関(就労先や就学先)、及び、当該所属機関等から依頼を受けた弁護士または行政書士であって申請取次の資格を有する者が利用可能です。

申請可能な在留資格・種別

すべての申請において、オンライン申請が可能な訳ではありません。例えば、『経営・管理』や『技術・人文知識・国際業務』など就労系の資格の多くは対象となっていますが、『日本人の配偶者等』や『定住者』などは対象に含まれていません。
更に、対象となっている資格であっても、オンライン申請だけで手続きが完了しないものもあります。例えば、『高度専門職』の場合、オンラインで資料を添付することが出来ないため、オンライン申請で得た受付番号をもとに、書類を郵送または入管の窓口で提出する必要があります。

手続きの流れ

オンラインシステムは無料で利用できますが、利用するためには、原則として管轄地の出入国在留管理局へ赴き、事前に利用申出を行う必要があります。申請後、1~2週間後にメールで結果が届き、申出が承認されるとその日から1年間、オンラインシステムの利用が可能となります。1年経過後も利用を希望する場合は、定期報告が必要となりますので、ご注意下さい。更新が問題ないと認められた場合は、1年ごとに有効期間が延長されます。尚、外国人が所属する機関がオンライン申請を利用する場合は、法人単位での申込となります。
オンラインシステムを利用し、在留資格申請を行う場合、無事に申請が許可された際に、認定証明書または許可後の在留カードを入管から受け取ることになります。認定証明書は郵送での受領となりますが、在留カードについては、郵送による受取が出来ない場合があるため、その際は出入国在留管理局窓口での受取となります。

おわりに

入管窓口で手続きを行う場合、待ち時間が数時間に及びます。依然として新型コロナウイルスが蔓延している状況にあっては、不特定多数の人との接触を減らすことができるオンライン申請を使うメリットは大いにあります。他方で、利用条件が様々あり、全てが非対面で完結する訳ではないことから、必ずしも安全で利便性が高いとは言いきれません。ご不明な点等がございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

最新情報

  • 汐留パートナーズ・ニュースレター 2021年4月号

    ストックオプションについて いよいよ本格的な春到来といった気候になってきましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。 今回のニュースレターでは、「ストックオプション」について取り上げます。昨今、役員・従業員への報酬制度として大企業のみならずIPOを目指すベンチャー企業でも導入が広がっているストックオプ...

    続きを読む
  • 書籍『詳解 法人税法「別段の定め」の基本』出版のお知らせ

    汐留パートナーズ税理士法人のシニアアドバイザー 佐藤幸一著書、代表社員 平野秀輔監修の書籍『詳解 法人税法「別段の定め」の基本』を白桃書房より出版いたしました。 著者の佐藤幸一は1982年に国税局に入庁した後、37年間にわたって東京国税局管内において主として法人税及び審理業務を担当し、調査第一部国際...

    続きを読む
  • 汐留パートナーズ・ニュースレター 2021年3月号

    ビジネスにおけるアウトソースの最新トレンド 日が伸び始め気温も上がり、いよいよ春が近づいてきたかと存じますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。まだ急に冷え込むこともございますので、是非お気を付け下さい。 昨年のコロナショック以来、テレワークと合わせてビジネスの見直しで注目を集めているものにアウトソー...

    続きを読む
  • 2021年税制改正(動画解説)

    汐留パートナーズ税理士法人では、2020年12月10日に公表された「令和3年度与党税制改正大綱」をもとに、改正項目を厳選し、解説動画を作成いたしました。 法人課税を中心とした、主な改正や見直しのポイント、留意点をまとめさせていただきましたので、是非下記サイトよりご覧ください。 詳しくはこちら htt...

    続きを読む
  • ~2021年度税制改正解説~サイト開設のお知らせ

    この度、汐留パートナーズ税理士法人では税制改正大綱のサイトを開設し、2020年12月10日に公表された、2021年度税制改正大綱の主要な改正・見直しのポイント・留意点などを項目ごとにまとめさせていただきました。 ​​​​コロナ関連の優遇​​​​措置や、菅内閣後のDXやカーボンニュートラルに係る新税制...

    続きを読む