汐留パートナーズ・ニュースレター 2020年11月号

「調査」は税務調査だけではない?税務調査の最新情報とその他の「調査」について

気温がぐっと下がり肌寒い日が続いていますが、皆さまどうお過ごしでしょうか。新型コロナの影響で、いまだ先を見通しづらい状況ではありますが、引き続きご自愛ください。

9月下旬にメディアでも報道されていた訪問税務調査の再開。弊社のお客さまの中でも何社か既に調査の連絡が来ておりますが、年明けまで残り2ヶ月間でさらに件数が増えて行くかと思われます。「『知っている』と『知らない』には大きな差がある」とよく言われますが、確かに情報は攻守ともに重要な武器です。皆さまも「調査」が入る前に、少しでも「調査」について知っていることで気持ちが楽になり、前もった準備ができるのではないでしょうか。

今回は、汐留パートナーズの3事業部から「調査」にフォーカスをあてた解説とコロナ禍での最新情報をご紹介させていただきます。

 

はじめに

税務署や国税局が納税者の申告が適正か否かを調査する「税務調査」。今年は新型コロナウイルスの影響で、実質的に9月まで新規の調査は見合わされていました。ここに経済社会活動が徐々に戻りつつある中、10月から税務調査も再開されました。今回は10月から本格化した税務調査について、従来とは異なる点に着目しつつ、見ていきたいと思います。

コロナ禍での税務調査

通常、国税庁では毎年人事異動が終わる7月に新事務年度が始まり、全国一斉的に調査の事前通知がなされます。その上で多くの実地調査は年末頃までにかけて行われます。
冒頭の通り、今年の税務調査は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、9月までは新規の調査は中止されており、10月から再開された税務調査においても、通常の実地調査に加えて、電話や書面による非対面の簡易接触調査、机上調査に今まで以上に力点が置かれる傾向にあります。コロナ禍で実地調査がスムーズに進まないことが懸念されつつも、例年よりも実地調査に至るまでの準備調査に多くの時間が割かれたため、効率的かつ深度ある調査が期待できるとの予想もあります。また、調査にあたっては、9月18日に国税庁より公表になった「国税庁における新型コロナウイルス感染症の感染防止策について」を基に、①身体的距離の確保、②マスクの着用、③手洗いを徹底し、3密回避等の「新しい生活様式」に基づく感染防止策が徹底され、職員人数と滞在時間を可能な限り最小限にするとされています。加えて、テレワークが進む現状を考慮し、納税者の個々の状況を勘案した日程調整もなされる方針です。また、今年は例年よりも明らかに調査時間が縮小されていることから、重点事案(富裕層事案、消費税還付事案、国際関連事案)をより的確に見極めて調査することが求められています。

預貯金情報のオンライン入手の実証実験開始

国税庁は10月より、税務調査対象者に係る「預貯金等照会・回答業務」のデジタル化に向けた実証実験を開始しました(12月まで)。対象機関は東京国税局、仙台国税局、神奈川県管内及び福島県管内税務署であり、預貯金情報に係る金融機関とのやり取りを書面からオンラインに切り替えることで人的負担や郵送コスト、タイムラグの解消を図る目的です。当実証実験の結果を踏まえ、来年度以降、順次全国的に展開する見込みです。

おわりに

コロナ禍で行政のデジタル化の遅延が露呈された日本ですが、税務調査においても従来の実地調査に固執した形ではなく、非対面調査やオンライン化など柔軟な対応が求められています。これは業務の効率化のみならず、コロナ禍での感染症対策にも資するものです。今年の税務調査はスケジュールを始め、様々な点で従来との相違点がありますが、昨今の社会変容から見ると当然の流れともいえます。目下の税務調査対応はもちろん、変化していく税務調査への対策の観点からも、弊社までお気軽にご相談頂ければ幸いです。

はじめに

税務調査はコロナ禍のためにしばらく中止されていましたが、労働基準監督署の調査は続けられていました。労働者の権利に関わることですから、緊急事態宣言が発出されている間などは中断・延期されることはあったとしても、中止されることは無いと思われます。
コロナ禍であっても労働基準監督署の調査が来たときには、適切に対応しなければなりません。今回は、労働基準監督署の調査がどのようなものかお伝えいたします。

調査は拒否できない

労働基準監督署の調査を拒否することは労働基準法違反となり、30万円以下の罰金に処される旨が定められています。たとえ調査を拒否・無視したとしても、再度調査の連絡が来たり、予告なく立入調査に来たりすることがあります。労働基準監督官には、労働基準法違反に対しては司法警察官としての権限がありますから、いざとなれば強制捜査や逮捕・送検を行うこともできます。非協力的な事業主には、強い権限を行使してくることもあります。
したがって、調査がきた場合には最初からきちんと対応するほうが良いでしょう。なお、どうしても都合が悪い場合に日程を調整することはできます。

調査の方法・理由

労働基準監督署の調査方法は呼び出し調査立入調査があります。
呼び出し調査は、事業所の代表者を労働基準監督署に呼び出して行うものです。事前に事業主宛に日時や場所、必要書類などが書かれた通知書が届き、事業主は指定された書類を持参の上、調査対応のために出向くことになります。
立入り調査は、労働基準監督官が事業所へ出向いて立入調査を行うものです。事前に調査日時が記された通知書が来る場合もあれば、予告なくいきなりやってくる場合もあります。
調査時に求められる書類はそのときによって少し異なりますが就業規則、雇用契約書(労働条件通知書)、三六協定、変形労働時間制の労使協定やシフト表、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)、健康診断の個人票などが確認されます。また、労働基準監督署による調査理由による分類には、定期的に実施される定期監督と、労働者からの申告が理由で行われる申告監督があります。このほか、大規模または短期間に頻発する労働災害があったときなど、その原因や状況を調査するために行われる「災害時監督」というものもあります。

これらの調査で労働基準法などに違反している点が発見された場合は、是正勧告書によって指導がなされます。

是正勧告書の内容と対応

是正勧告書には、労働基準法の第何条に違反しているか、どのような点が違反しているのかなどの違反内容の詳細が記され、是正期日までに改善内容を報告するように求められます。是正勧告書には法的拘束力はありませんが、無視したり、改善の意思が見られないと判断されたりした場合には、再監督が行われて、より厳しい調査が行われる可能性があります。その結果、書類送検や逮捕といったことにもなりかねません。

調査には適切に対応しましょう

労働基準監督の調査で法律違反が発覚したとしても、一度の調査で逮捕・書類送検されることは通常ありません。是正勧告で改善されれば良いとされています。しかし、是正勧告に応じなかったり、書類を改ざんして虚偽の報告をしたりするなど、重大、悪質な違反があると認められた場合には、逮捕や書類送検が行われます。
是正勧告というのは、改善の機会を与えてくれるものと考えることができます。ただの指導に過ぎないと放置せず、職場の労働環境を改善する良い機会だと思って、真摯に対応しましょう。

はじめに

今回は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)第59条の2の規定に基づく事実の調査(以下「実態調査」という。)についてご紹介致します。日本に住みたい、働きたいと希望する外国人は年々増加していることから、書類を偽装して不法在留、不法就労する者は後を絶えません。そこで、申請書の内容とその実態が合致しているかを調査し、問題を摘発する実態調査部門という部署が入管には設けられています。

実態調査について

実態調査は強力な行政作用の性質を持つことから、以下の2点に留意し行われます。 
①調査の対象となる外国人(以下「対象外国人」という。)又はその関係人や関係機関(以下、対象外国人を含め「対象者等」という。)の任意の協力に基づいて行うものであり、対象者等に対して直接的に強制する手段は認められていません。そのため、調査は、あくまでも強制力を伴わない任意の調査であることを十分認識し、調査に際しての発言、行動等には特に留意する必要があります。
②実態調査により解明しようとする事項を十分理解し、基礎調査・照会調査等を通じて準備に万全を期するとともに、当該事項の解明のために最適な方法・タイミングで調査をするよう留意する必要があります。

出頭要請

調査担当官は規定に基づき対象者等から事情聴取するために出頭通知書を用いて、出頭を求め事情聴取することができます。また電話又は口頭で出頭要請も可能で、電話で出頭を求めたときは電話記録書、口頭で出頭を求めたときは面接記録書にそれぞれ記録します。

退去強制及び出国命令

入管法に違反する事由があると判断された場合は、退去強制又は出国命令の手続きを取る流れになります。それぞれの手続きについて簡単に説明致します。退去強制についてですが、不法残留(オーバーステイ)等をしている外国人が入管から摘発された場合、身柄を入管に収容され、退去強制令書の発付があった後、強制送還になります。送還後、5年間(事情によっては10年間)は入国不可です。
次に出国命令の手続きについてですが、不法残留している外国人が、帰国を希望して自ら入管に出頭した場合は、一定の要件を満たすことを条件に、出国命令という制度により、入管に収容されることなく出国することができます。出国命令により出国したときは、入国できない期間も1年間となります。

おわりに

入管では実態調査後の送還忌避・長期収容問題に加え、今年は収容施設内における新型コロナウィルス感染症対策に関する課題もあります。今後の送還・収容に関する入管法の改正や、運用変更の動きを注視すると共に、これらの動向に対して適応していくことが必要になります。ご不明な点等がございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

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