汐留パートナーズ・ニュースレター 2021年2月号

2021年(令和3年)に予定されている法改正について Vol.2

日本海側では1月中旬の大雪により、現在も予断を許さない状況であるかと存じます。遅ればせながら、大雪の影響で被害を受けられた皆さまには、汐留パートナーズ一同、心からお見舞い申し上げます。

さて、先月に引き続き、2021年に予定されている法改正についてご紹介いたします。

税務からは2020年12月10日に公表された税制改正大綱より「住宅ローン控除の拡大」、「同族会社の社債発行等の総合課税化」などの改正、労務からは「育児介護休業法」など3つの法律の改正、法務面では会社法において「株式交付制度の新設」及び「社外取締役の設置義務付け」が予定されています。
法人にとって大きく影響する改正点も多くなっておりますので、是非2021年の大まかな改正の要点を押さえていただければと思います。

 

はじめに

今回は前回に引き続き、令和3年度税制改正大綱の中から、個人所得課税関連で注目度の高い項目を見ていきたいと思います。

住宅ローン控除の拡充

消費税率10%への引き上げに伴う反動減対策として導入された控除期間13年間の住宅ローン控除の特例措置が延長されます。具体的には、一定の期間(新築の場合は2020年10月から2021年9月まで、それ以外は2020年12月から2021年11月まで)に契約した場合の2022年12月までの入居者が対象とされます。また延長した部分に限り、合計所得金額1,000万円以下の者については、床面積40㎡から50㎡までの住宅も対象とされます(従来は50㎡以上のみが対象)。

同族会社発行の社債利子等の総合課税化

社債利子は、原則、利子所得として源泉分離課税(所得税率15.315%+地方税率5%=20.315%)が適用されますが、同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の役員等一定の株主が支払いを受けるものについては、総合課税の対象とされています。これは、同族会社の役員等が、役員報酬等を社債利子の形で受け取ることで、本来総合課税で累進税率(所得税率5~45%)が適用されるものを、源泉分離課税(20.315%)の適用とし、税負担の軽減を図ることを防ぐために講ぜられた措置です。この点、同族会社であっても子会社や孫会社から支払いを受ける社債利子等については総合課税の対象とされていませんでした。今回の改正では、このような同族株主等が同族会社との間に法人を介在させた場合の社債利子についても、総合課税の対象とされることとされました。即ち、株主が法人であっても、その法人に50%超の支配関係を有する個人は総合課税の対象となります。これは2021年4月1日以後に支払を受けるべき社債の利子及び償還金について適用されます。

短期退職手当等の課税強化

退職所得課税においては、退職所得が長期にわたる勤務の成果であり、勤務の対価の一部が蓄積して一挙に支払われるものであることに配慮した税負担の平準化の観点から、退職所得控除後の金額に1/2を乗じた額を所得金額としています。当該退職所得の1/2課税については、2013年以降、勤続年数が5年以下の役員は適用除外とされていましたが、今回の改正で、勤続年数5年以下の役員等以外の従業員についても適用除外とされました。但し、雇用の流動化等に配慮し、退職所得控除額を控除した残額300万円までは引き続き1/2課税の対象とされます。これは2022年分以後の所得税について適用されます。

おわりに

個人所得課税においては、働き方の多様化を含む経済社会の構造変化に対応し、働き方の違いによって有利・不利が生じない公平な税制構築への取り組みが今後も進むこととされています。既に適用となっている税制改正の影響も含め、ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせ下さい。

はじめに

先月に引き続き、今月も2021年に施行される主な法改正について解説します。前回は同一労働同一賃金について解説しましたが、今回は育児介護休業法・障害者雇用促進法・労働者派遣法の改正についてご紹介します。

2021年の法改正とそのスケジュールについては次の通りです。
・2021年1月:子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得(育児介護休業法)
・2021年1月:労働者派遣法改正①(派遣労働者の雇い入れ時の説明義務など)
・2021年3月:障害者雇用促進法改正(障害者の法定雇用率の引上げ)
・2021年4月:パート・有期労働者労働法改正(同一労働同一賃金の中小企業への適用開始)
・2021年4月:労働者派遣法改正②(雇用安定措置に係る派遣労働者の希望の聴取等)

子の看護休暇・介護休暇の時間単位の取得(育児介護休業法の改正)

2021年1月1日から、「子の看護休暇」と「介護休暇」について以下の通り改正が実施されています。
・ 今回の改正で時間単位での取得が可能となりました、労働者の希望する時間数で休暇を取得できるようにする必要があります。※ただし、時間単位での取得が困難な業務がある場合には、労使協定を締結することにより、時間単位の休暇制度の対象からその業務に従事する労働者を除外することができます。
・ 1日の所定労働時間が4時間以下の方は取得できないとされていましたが、今回の改正により原則として全ての労働者が取得できるようになっています。

これまで時間単位の取得を認めていなかった場合には、就業規則や育児介護休業規程の改定が必要となります。

障害者の法定雇用率の引上げ(雇用促進法の改正)

令和3年3月より、次の通り障害者の法定雇用率が引き上げとなります。
・民間企業は、現行2.2%から2.3%
・国、地方公共団体等は、現行2.5%から2.5%
・都道府県等の教育委員会は、現行2.4%から2.5%

民間企業においては、これまで従業員数45.5人以上の事業主が対象となっていましたが、今回の引上げによって従業員数43.5人以上の事業主が対象となります。従業員数43.5人以上45.5人未満の場合、今回の改正から障害者の雇用義務が生じることになり、障害者雇用対策を講じる必要があります。

労働者派遣法の改正

改正労働者派遣法の施行は1月と4月の2回に分けて実施されます。

1.1月に施行されるものは、次の4点です。
・ 派遣労働者の雇入れ時の説明の義務
派遣元事業主に対して、派遣元事業主が実施する教育訓練および希望者に対して実施するキャリアコンサルティングの内容について、雇入れ時の説明が義務づけられました。

・ 派遣契約書の電磁的記録
これまでは労働者派遣契約は書面で締結する必要がありましたが、電磁的記録によることも可能となりました。

・ 派遣先における派遣社員からの苦情の処理
これまでは派遣社員からの苦情処理は派遣元がするべきものとされていましたが、今回の法改正により、労働時間等の派遣先に使用者責任があるものについては、派遣先が誠実かつ主体的に苦情を処理することが義務づけられました。

・ 日雇い派遣について
日雇派遣労働者の責によらずに派遣契約を解除された場合で新たな就業機会を確保できないとき、派遣元には休業手当を支払等の責任があることが明確化されました。

2.4月に改正される事項は、次の2点です。
・ 雇用安定措置に係わる派遣労働者の希望の聴取
派遣元は、雇用安定措置に関して、派遣社員の希望を聞き、それを「派遣元管理台帳」に記録することが義務となりました。派遣社員の雇用見込みが1年以上3年未満の場合は努力義務、3年以上の場合は義務となります。

・マージン率等のインターネット等での情報提供
派遣元事業主において、派遣法第23条第5項に規定される情報提供の義務があるものについて、インターネットの利用その他の適切な方法により情報提供を行うこととなります。なお、派遣元指針では、常時インターネットの利用により広く関係者、とりわけ派遣労働者に必要な情報を提供することが原則となります。

はじめに

前回のコラムに引き続き、2021年3月1日に(その一部が)施行される令和元年改正会社法の概要のうち一部を紹介いたします。会社法の改正内容の全てをここでは挙げてはおりませんこと、ご留意いただければと思います。

株式交付制度の新設

株式会社が他の株式会社をその子会社とするための方法として、株式交付の制度が新設されました。
現行の会社法において、他の株式会社をその子会社とする方法の一つに株式交換があります。株式交換においては、効力発生日に、株式交換完全子会社が発行する株式の全て(株式交換完全親株式会社の有する株式交換完全子会社の株式を除く)を株式交換完全親会社が取得します。一方で、株式交付においては、株式交付親会社は、株式交付子会社の発行する株式の一部についてのみ取得することも可能です。部分買収を行うことができる点が、株式交換と株式交付の大きく異なる点の一つとなっています。
また、株式交換においては、株式交換に反対する株式交換完全子会社の株主が保有する株式も、効力発生日に、(強制的に)株式交換完全親会社が取得することになるため、当該株主は株式買取請求権で保護されることになります。一方で、株式交付においては、株式交付に反対する株式交付子会社の株主は、株式交付親会社に対して譲渡の申込みをしなければ良いだけですので、株式交付子会社の株主には株式買取請求権がありません。
株式交付の手続きにおいて、株式交付親会社に対する株式の譲渡しの申込みをし、割当ての通知を受けた株式交付子会社の株主(譲渡人)は、効力発生日に、株式交付親会社に株式交付子会社の株式を譲渡し、その対価として株式交付親会社の株式を受け取ったときは、株式交付親会社の株主となります。
効力発生日において株式交付親会社が取得する株式交付子会社の株式数が、株式交付計画に定めた株式数の下限に満たない場合は、株式交付の効力は発生しません。

社外取締役を置くことの義務付け

監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって有価証券報告書を提出している会社は、社外取締役を少なくとも1名以上、置かなければならないことになります。
現在、対象となる会社のほとんどが社外取締役を置いているため、実務への影響は少ないと言われています。
今までは、対象となる会社が社外取締役を置かないときは、置くことが相当でない理由を定時株主総会において説明する義務が課されていましたが、令和元年改正会社法においては、社外取締役を置くことが義務付けられることとなりました。

おわりに

2回に亘って令和元年改正会社法の一部を紹介しました。会社の運営に携わっている方は改正内容をチェックいただければと思います。

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