汐留パートナーズ・ニュースレター 2021年8月号

行政のDX

ワクチン接種にデルタ株にとコロナ関連で慌ただしい中、熱中症も心配な季節となりました。皆様におかれましては、是非ご自愛をお忘れなくお過ごしください。

さて、今月のニュースレターでは「行政のDX」について取り上げます。

現在日本においては、各企業、各業界でDXに向けた動きが活発化しています。行政においても、既存の制度や手続きとの兼ね合いなどの課題がありつつも、DXに向けた取り組みが進んでいます。総務省からは昨年12月に「自治体DX推進計画概要」が公表され、自治体のDXに向けた「重要取組事項」が示された他、2021年9月1日にはデジタル庁の新設を迎えるなど、今後一層DXに向けた取り組みが加速していきます。

DXを国が推進する状況にあっては、ベネフィットのみならず、制度や手続きの変更点などに注目していくことが肝要です。DXによるベネフィットを享受するべく、是非今回のニュースレターをお役立てください。

はじめに

コロナ禍を機に、日本全体でデジタル化に 対する取り組みが加速しています。2023年10 月1日から開始されるインボイス制度に向け て発足した電子インボイス推進協議会(EIPA (E-Invoice Promotion Association))も、 官民連携でデジタル化に取り組む組織の一つ です。2020年12月、EIPAが国際標準規格 「Peppol(Pan-European Public Procurement Online、ペポル)」をベースとして「電子イン ボイス」の標準仕様を策定する方針を示した ことで、インボイス制度と共に、「電子インボ イス」への注目が高まっています。

インボイス制度

インボイス制度(適格請求書等保存方式) は、2023年10月1日より導入される消費税 の仕入税額控除の方式をいい、当制度下では、 登録を受けた課税事業者である適格請求書発 行事業者が交付するインボイス(適格請求書) の保存が仕入税額控除の要件となります。

電子インボイス

電子インボイスとは、インボイス制度にお いて仕入税額控除の要件を満たすために必要 となる「紙」のインボイスに代わる電磁的記 録(電子データ)をいいます。即ち、電子化 された請求書や仕入明細書等のことです。

インボイス制度の導入により、事業者の業 務負担の増加が懸念される中、電子インボイ スを利用することで、国内外の取引相手と請 求書をオンラインで授受できるようになり、 ペーパーレスでのインボイス制度への対応や 業務プロセスの自動化が図れます。また、バ ックオフィス業務の効率化や、テレワーク促 進にもつながることが期待されています

Peppol(ペポル)

Peppol(ペポル)は、電子インボイスなど の電子文書をネットワーク上で授受するため の国際的な標準規格です。現在、欧州各国を はじめ、世界30か国以上で採用されています。

EIPAはインボイス制度に向けて、中小事業 者から大企業に至るまで幅広く、容易かつ低 コストで利用でき、グローバル取引にも対応 できる仕組みを実現すべく、標準規格として 「Peppol」を選定した上で、日本の法令や商 慣習などへの対応を図ることを決定しました。 現在の計画では、2022年秋に事業者が電子イ ンボイスに対応したソフトウエアを使用でき る状態になることを目指し、2021年8月末を 目途に電子インボイスの国内標準仕様(第一 版)の策定と公開を予定しています。

おわりに

電子インボイスの標準仕様が定まれば、企業間のデータ連携がスムーズになり、請求、 入金支払、記帳、申告など多くの業務で自動化が図れるようになります。インボイス制度 への対応を単なる法令対応として受け止める のではなく、電子インボイス導入によるバックオフィス業務を効率化する機会と捉え、現状の業務プロセスをデジタル化という視点から見直すことが重要ではないでしょうか。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

はじめに

近年、クラウド型の人事労務ソフトウェアなどを利用する企業が増えています。こういったHRテクノロジーの普及に伴い、社内での人事労務関連手続きも電子化が進んでいるようです。2020年4月から大企業に対して電子申請が義務化されたこともあり、最近では行政手続の電子申請に対応しているソフトウェアが増えています。

今回は、人事労務関係の行政手続のDXの動向についてお伝えします。

行政手続の電子申請

現在、多くの手続で電子申請が可能となっています。日常的に発生する業務については基本的に電子申請が可能です。電子申請は365日24時間いつでも可能で、窓口とは違って移動時間や待ち時間もありません。 また、昨年12月から順次行政手続きの押印省略が進んでいます。人事労務関連の手続きにおいても、ほとんどの手続きで押印が省略されており、社内での書類作成から電子申請まで、すべてオンラインで行うことも可能になりました。

電子申請可能な行政手続

社会保険・労働保険の各種手続きや、労働基準法・労働安全衛生法に基づき必要とされる手続きについては、ほとんどが電子申請に対応しています。ただし、医師の証明が必要となる手続きなどは未対応か利用が困難なものがほとんどです。

社会保険関係
被保険者の資格取得・喪失届、被扶養者(異動)届、定時決定、随時改定など、日常的に発生する手続きは電子申請に対応しています。

一方で、傷病手当金の申請や、高額医療費の申請、出産手当金や出産一時金の申請などは未対応です。これらの申請は医師の証明が必要なこともあり、簡単ではないようです。

・労働保険関係
雇用保険の被保険者の資格取得・喪失、転勤届、年度更新など、こちらも日常的な手続きはほとんど対応しています。給付関係についても、高年齢雇用継続給付や育児休業給付については電子申請で行うことができます。

労災の給付関係は一応電子申請に対応しているものの、一般的には利用することは難しいと思われます。

・労働基準法・安全衛生法関係
36協定の届出、裁量労働制などの労使協定の届出、就業規則作成・変更届、健康診断・ストレスチェックの結果報告、衛生管理者や産業医の選任報告、労災時の死傷病報告など、ほとんどの手続きが電子申請で可能です。

電子申請の利用方法

人事労務関連手続きの電子申請を活用するには、主に3つの方法があります。

・e-Govを利用
e-Govを利用して電子申請を行うことができます。利用料がかからないというメリットがありますが、使いやすいとは言えず、担当者の慣れが必要になります。

・HRテクノロジーの利
最近は電子申請に対応したクラウド型の人事労務ソフトウェアが増えていますが、これらを利用することでも電子申請に対応することができます。これらのソフトには通常は費用が発生しますが、e-Govに比べて使いやすくなっています。従業員の情報収集から電子申請までシームレスに実施できて手間が少なくなります。

・社会保険労務士へのアウトソーシング
電子申請に対応している社会保険労務士に依頼することも可能です。HRテクノロジーを利用するよりも費用がかかる場合が多いですが、手続き業務の多くを丸投げできます。また、事業主の電子証明書を省略することができるというメリットもあります。

電子証明書またはGビズIDの準備

社会保険労務士へのアウトソーシング以外の方法による場合は、電子証明書またはGビズIDの準備が必要になります。電子証明書は、法務局その他の認証機関から有料で発行してもらうことができます。

GビズIDについては無料で発行を受けることができますが、利用できる手続きが限られているため、注意が必要です。被保険者資格の取得・喪失届、被扶養者(移動)届、定時決定、随時改定、年度更新など主要な手続きには対応しています。

おわりに

電子申請を活用することで、印刷・郵送・移動の手間やコストを削減することができ、事務効率の向上に繋がります。テレワークの実施やHRテクノロジーの普及も相まって、電子申請の利用は今後広がっていくのではないでしょうか。

はじめに

全国の法務局において、2008年7月より登記のオンライン申請が既に可能となっておりますが、更にデジタル化等が可能な業務のAI・ICT化が進められております。ここではその一例をご紹介します。

登記・供託オンライン申請システム

法務省では、2011年2月14日から運用が開始されている登記・供託オンライン申請システムというものがございます。登記・供託オンライン申請システムでは、 登記手続、供託手続、公証手続を行うことができます。このシステムにより申請を行う場合には、申請人の電子署名を施し、電子証明 書の添付が必要になり、電子署名・電子証明書の普及が進んでいない日本においては、今まであまり活用されておりませんでした。

マイナンバーカードを用いた電子証明書

住所がある土地の市区町村役場において、 マイナンバーカードに電子証明書を記録してもらうことができます。この電子証明書は、実際にオンライン手続を行う際に、公的個人認証サービスポータルサイトからダウンロードし、PDFファイルに取り込むことができます。

法人設立ワンストップサービス

電子証明書を記録したマイナンバーカード をお持ちの方が株式会社を設立する場合に活用できるサービスで、法人設立ワンストップサービスというものがあります。この法人設立ワンストップサービスサイト を活用することにより、公証役場での定款認証、法務局への設立登記、税務署への設立届、ハローワークへの雇用に関する届出がオンラインでまとめて手続できるようになりました。

定款認証及び設立登記の同時申請

また、2021年の2月から株式会社の設立手続を登記・供託オンライン申請システム又は法人設立ワンストップサービスにより同時に申請することにより、公証役場での定款認証と法務局への設立登記の申請を同時に行なうことが可能となりました。

24時間以内処理

定款認証及び設立登記の申請を登記・供託オンライン申請システム又は法人設立ワンストップサービスにより同時に申請されたもののうち、以下の4つの要件を満たすものは、法務局では、原則として24時間以内に設立の登記を完了するとしております。

要件1
設立する会社の役員が5名以内であ ること。

要件2
定款や、設立時役員の就任承諾書等の添付書面のすべてが書類作成者の電子署名の施されたPDFファイル(電子証明書付のもの)により作成され、申請書とともにオンラインで送信されていること。

要件3
登録免許税が収入印紙ではなくて、オンラインで電子納付されていること。

要件4
申請書や添付書面に補正すべき事項がないこととされております

おわりに

皮肉なことに新型コロナウィルスの感染拡大も手伝ってか、電子署名を取り入れる方が増えてきております。この機に、電子署名を取り入れてみては、いかがでしょうか。

 

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