汐留パートナーズ・ニュースレター 2021年11月号

2022年の見通しについて

2021年も残すところ2か月となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今月のニュースレターでは「2022年の見通し」について取り上げます。2021年は終始コロナウイルス感染症を意識した1年となり、残念ながら収束も来年以降に持ち越しとなりました。

OECDは、9月に発表した「エコノミックアウトルック(経済見通し)中間報告」において、上振れ・下振れ双方の要因としてワクチンの普及率や変異株への有効性を挙げつつ、世界経済の回復は不均一であるとしています。

日本においては、ピーク時には国内最大の感染爆発となった第五波も落ち着き、ワクチン接種率も高まっていることから、まだ不透明感は強いながら、来年に期待する見方も強いのではないかと思います。2022年を好転の一年とするためにも、今回のニュースレターを一つの参考にして頂ければ幸いです。

 

はじめに

今回は2022年の会計税務業界に関わる論点として、税務面からは、2022年1月より施行される改正電子帳簿保存法について、会計面からは、2022年3月期より(2021年4月1日以降開始する年度の期首から)原則適用とされる①収益認識会計基準、②時価算定会計基準について取り上げたいと思います。

電子帳簿保存法の改正(2022年1月施行)

電子帳簿保存法は、各税法で原則紙での保存が義務づけられている帳簿書類について、電子データによる保存を可能とすること及び電子的に授受した取引情報の保存義務等を定めた法律です。令和3年度税制改正で、手続等について抜本的な要件緩和がなされました。電子帳簿保存法上、電子データによる保存は、以下の3種類に区分されており、以下、今回の改正点について区分別にまとめてみました。

電子帳簿保存法上の区分 改正点
電子帳簿等保存
(電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存)
税務署長の事前承認制度の廃止
②「優良な電子帳簿」に係る過少申告加算税の軽減措置
最低限の要件を満たす電子帳簿での保存が可能に
スキャナ保存
(紙で受領・作成した書類を画像データで保存)
税務署長の事前承認制度の廃止
タイムスタンプ要件、検索要件等の緩和
③適正事務処理要件(相互けん制、定期的な検査及び再発防止策の社内規程整備等)の廃止
④スキャナ保存された電子データに関連した不正があった場合の重加算税の10%加重措置
電子取引
(電子的に授受した取引情報をデータで保存)
タイムスタンプ要件、検索要件等の緩和
電子データの出力書面等の保存をもって電子データの保存に代えることができる措置の廃止
③電子取引の電子データに関する隠蔽や仮装された事実に基づく修正申告等があった場合の重加算税の10%加重措置

従来、電子取引については、原則電子保存としながらも、出力書面(紙)での保存も容認されていましたが、2022年1月より、電子取引について紙での保存は認められず、電子保存が要求されます。一方、紙で受領したものを電子保存することについては、従来必要であった税務署長の事前承認なく容認されることとなり、ペーパーレス化、業務のデジタル化が加速することが予想されます。

収益認識会計基準(2022年3月期原則適用)

収益認識基準は、国際的な収益認識基準であるIFRS第15号をベースに、日本において初めて収益認識に関して包括的に定めた会計基準です。以下にポイントをまとめます。

収益認識の基本原則 約束した財又はサービスの顧客への移転を当該財又はサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように、収益を認識する。
収益認識までの5つのステップ (ステップ1)顧客との契約を識別 収益計上単位を決定
(ステップ2)契約における履行義務を識別
(ステップ3)取引価格を算定 収益計上単位ごとの取引価格を決定
(ステップ4)契約における履行義務に取引価格を配分
(ステップ5)履行義務を充足した時に又は充足するにつれて収益を認識 収益計上単位ごとの収益計上時期を決定

時価算定会計基準(2022年3月期原則適用)

時価算定会計基準は、従来、日本において詳細なガイダンスがなかった時価(公正な評価額)の算定方法について定めたものです。以下にポイントをまとめます。

時価とは 算定日において市場参加者間で秩序ある取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る価格又は負債の移転のために支払う価格
適用範囲 ・金融商品会計基準における金融商品
・棚卸資産会計基準におけるトレーディング目的で保有する棚卸資産
時価算定の評価技法 マーケット・アプローチ:
同一又は類似の資産又は負債に関する市場取引による価格等を用いる評価技法
インカム・アプローチ:
利益やキャッシュ・フロー等の将来の金額に関する現在の市場の期待を割引現在価格で示す評価技法
コスト・アプローチ:
その資産を再調達するために現在必要な金額に基づく評価技法
インプットとは 資産又は負債の時価を算出する際に用いる仮定
「インプット」はレベル1~レベル3に区分され、活発な市場における同一の資産又は負債に関する相場価格であるレベル1から優先的に使用する。

おわりに

今回取り上げた論点は、いずれも2022年にかけて会計税務関連で注目度が高いものです。簡潔にポイントを絞って整理しましたが、自社に関係する部分は、詳細な理解と対応が必要になります。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

 

はじめに

今年も残すところあと僅かとなりました。今回は2022年の人事労務関連の見通しについてお伝えしたいと思います。

法改正

2022年には、いくつかの法改正が予定されています。特に企業への影響がありそうなものは次の通りです。
• 育児・介護休業法の改正
• パワハラ防止措置への取組みの義務化(中小企業への適用猶予が終了予定)
• 従業員数101名以上の企業に対する短時間労働者への社会保険適用拡大
• 従業員数101名以上の中小企業に対する一般事業主行動計画の策定が義務化

詳細については来月以降にご説明しますが、育児・介護休業法改正やパワハラ防止措置については全ての企業が対象になるので、就業規則等の整備や周知が必要となります。

従業員数101名以上の企業においては、2022年10月より短時間労働者への社会保険適用拡大が予定されています。社会保険に加入したくないパートタイマー従業員もいますから、社会保険適用拡大について周知し、対象となる方には面談等により個別に説明するなど、なるべく早めに準備しましょう。

リモートワーク等の働き方の推進

新型コロナウイルスの感染拡大によって、時差出勤やリモートワークの普及が世界的に進みました。ワクチンの普及のおかげか今のところ情勢は落ち着いてきましたが、こういった働き方の変革にはパンデミック対策以外にも様々なメリットがあるため、コロナ禍終息後も続いていくでしょう。特に、海外ではリモートワークに肯定的な評価をしている企業が多いように思われます。
今後は、リモートワークの可否が取引機会や人材確保・定着にも影響してくるでしょう。世界の流れに取り残されないよう、今回の経験を無駄にせず活用したいところです。

副業・兼業への対応

近年、副業・兼業の解禁が進んでいます。労働者側の副業・兼業のニーズも高まっていることから、副業・兼業の可否が企業選択の判断要素となることも増えるでしょう。リモートワークにも言えることですが、労働力が確実に減少していく中では、多様な人材を活用できる体制が望まれます。本来、労働者には職業選択の自由がありますから、副業・兼業も業務に支障のない限りは認めるべきです。
個人事業や会社経営など雇用されない形での副業・兼業あれば、労働時間の通算は不要で管理の手間は比較的少なくて済みます。全面解禁が難しければ、まずは雇用されない形でのみ認めるなど、段階的に解禁していくことを検討してみましょう。

さいごに

昨年同様、今年も新型コロナウイルスの影響を大きく受け、働き方を変革せざるを得ない状況が続いたことにより、リモートワーク等をする企業が急増することになりました。今後コロナ禍が終息するとしても、今後のパンデミックや自然災害時の事業継続対策、人材確保・定着のためにも、リモートワーク等は継続して実施していくことをお勧めします。
また、2022年は社会保険の適用拡大という労使双方にとって影響の大きい法改正が予定されていますので、101名以上の従業員を雇っている企業についてはなるべく早めの準備が望まれます。

 

はじめに

2021年もやはり新型コロナウイルス感染症の1年となってしまいました。2022年こそはアフターコロナ、Withコロナの年になるという事を期待し入管実務の観点から2022年の見通しについてあくまで私見としたうえで、お伝えいたします。

外国人入国者数の制限があるのか

このニュースレターが配信されている今日現在、日本は原則的に「特段の事情」がある場合を除き、外国人の新規入国を認めておりません。日本で就労するビジネスパーソンなど中長期在留を目的とした方について、入国のために必要とされる日本国内の出入国管理局にて行う在留資格認定証明書交付申請は受け付けており、許可されれば通常通り在留資格認定証明書が発行されております。しかし入国のために必要なもう1つの手続きである在外日本大使館/領事館での査証(VISA)発給の手続きが現在停止されている状態です。このため、在留資格認定証明書を持ちVISA発給まちの外国人は相当数海外に存在します。また観光で日本に来る場合、アメリカなど査証免除国であれば上記2つの手続きを経ることなくパスポートのみで入国することが可能です。入国制限が解除された場合、待ちに待ったビジネスパーソンと旅行者などが日本に殺到することが予見されます。このため水際対策も絡めて1日の入国者数を制限したり、査証の発給数を制限したりして、段階的に入国制限を解除する可能性もあるのではないでしょうか。

「特定技能」外国人の新規入国増加の見込

「特定技能」は特定産業分野における人手不足を解消するために2019年4月1日より新たな外国人材として受入が可能になりました。
制度開始当時から日本へ来るための試験の実施数や制度の複雑さに問題があり、当初目標としていた受入枠を満たしていませんでしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、外国からの新たな人材が完全に遮断されてしまいました。そのため、現在は特定技能として在留している外国人の約80%程度が国内に在留していた「技能実習」等から在留資格変更をした方たちです。しかし、「特定技能」は各特定産業分野ごとに設けられた受入枠を大幅に下回っているため、海外からの「特定技能」外国人材の入国が制度維持のため今後は重要となっております。本来、「特定技能」は受入機関に課せられる要件などが多く、複雑な制度とされておりますが、上陸制限解除後はおそらく出入国管理庁も「特定技能」の制度維持のため最初は緩和傾向で一定数の外国人材を受け入れつつ、管理を強化していくのではないでしょうか。

おわりに

新型コロナウイルスの感染状況により在留資格認定証明書の有効期限の変更などその都度あらたなニュースを断続的に関係省庁が発しており、情報のアップデートに苦労した1年でもありました。おそらく今後上陸制限が解除されるにあたり段階的に解除されるのか、一斉解除されるのかなど最新の情報をキャッチすることが重要になります。もしお困りごとがあれば弊社まで是非ご連絡ください。

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