汐留パートナーズ・ニュースレター 2021年12月号

財形目的の福利厚生・みなし解散について

2021年もあと僅かとなりました。皆様には格別のご愛顧を賜り、この場をお借りしてお礼申し上げます。さて、2021年最後のニュースレターでは「財形目的の福利厚生」「みなし解散について」について取り上げます。

税理士法人と社労士法人からは「財形目的の福利厚生」についてお伝えします。確定拠出年金や日本型ESOPなど、福利厚生の充実を目的に様々な制度がある財形目的の制度について、会計・労務の視点から概要をまとめます。

一方のみなし解散は、通常の業務で意識する機会は少ない論点ではありますが、株式会社であれば10年に1度は登記が必要となることから、長期間登記の機会がなかった場合などに注意が必要になります。いずれの論点についても、必要に応じて今回のニュースレターを参考にして頂けましたら幸いです。

少々早くはございますが、皆様におかれましては是非よいお年をお迎えください。来年も変わらぬご愛顧を賜れますよう、汐留パートナーズグループ一同、より一層精進してまいります。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

はじめに

近年、従業員の財産形成を促進する福利厚生制度には様々なものがあります。今回はその中でも、従業員持株会、企業型確定拠出年金、日本版ESOPについて、税務上のポイントを合わせて見ていきたいと思います

従業員持株会

従業員持株会は、従業員が給与等から一定 金額を拠出し、当該会社の株式を共同で取得するために組織された仕組みです。即ち、従業員は、持株会を通じて自社株式を取得し、 配当金を得ることが可能となります。税務上のポイントをまとめると以下の通りです。

  従業員側 会社側
会社からの奨励金
(従業員の地位に基づき支給)
給与所得として課税 損金算入
(福利厚生費)
配当金 配当所得として課税  
退会時の払戻金 譲渡所得として課税

また、従業員持株会は、オーナー経営者の相続財産の減額という観点から、相続・事業承継対策としても役立つと考えられています。

企業型確定拠出年金

企業型確定拠出年金とは、企業年金の一つで、会社が退職金用に拠出した掛金を、従業員が、自ら資産運用を行う制度です。よって運用成果により、退職後の受取額が変動することになります。税務上のポイントとしては、以下の通り優遇されている点が挙げられます。

  従業員側 会社側
会社が拠出した掛金 非課税 損金算入
運用益 非課税  
退職年金等 一括受取 退職所得として退職所得控除の対象  
分割受取 雑所得として公的年金控除の対象

日本版ESOP

ESOP(Employee Stock Ownership Plan)とは、自社株式の利益を従業員に還元する米国等で普及している制度です。日本版ESOPは、大きく「持株会型」と「株式付与型」に分かれ、米国等のESOPとは、異なるものといえます。

持株会型は、信託が会社の自社株をまとめて購入し、従業員の拠出を受けた持株会が信託から定期的に株式を購入し、従業員は持株会を通じて自社株式を取得する仕組みです。

株式付与型は、米国版ESOPに近い制度で、会社が信託に資金提供をし、信託が自社株式を取得し、一定条件のもと、従業員に退職金等の形で自社株式を支給する仕組みです。

両者共、会社と従業員の間に信託を利用する点で共通しており、税務上、信託が保有する株式は、会社の自己株式と看做されて課税されず、信託終了時に従業員に対する給与所得(退職所得)として課税される点が、ポイントといえます。

おわりに

財形目的の福利厚生制度は多様化しており、 今回取り上げた従業員持株会や確定拠出年金、 日本版ESOPの中でも、様々なスキームが考え られます。制度導入の際には、税務上の取扱いは、形式面ではなく運営実態を基に決定することを念頭に、従業員にとっても会社にと ってもメリットが大きい制度設計することが重要です。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

 

はじめに

企業型確定拠出年金やストックオプション、日本版ESOPなど、財産形成を目的とした福利厚生を取り入れる企業が増えています。そこで、今回はそれぞれの特徴やメリット、導入するに当たっての注意事項等をお伝えします。

財形目的の福利厚生の類型

財形目的の福利厚生のうち主なものをご紹介します。

・財形貯蓄制度
・企業型確定拠出年金
・ストックオプション
・日本版ESOP

財形貯蓄制度

財形貯蓄制度は、事業主が契約している金融機関の金融商品を、給与や賞与から天引きして、定期的に購入し積み立てていく制度です。財形貯蓄制度は、貯蓄の目的により、一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の3種類があります。

財形貯蓄制度では元本が保証されており、元本割れすることがありません。財形年金貯蓄や財形住宅貯蓄は、目的内で利用する場合は元本550万円まで非課税となります。目的外での引き出しも可能ですが、その場合は5年遡って課税されます。

ただし、現在は利子が低いため、お金が増やすというよりも、元本割れのリスクを負わずに確実に貯蓄をしていくために利用するものだと言えます。

企業型確定拠出年金

企業型確定拠出年金は、企業が毎月掛金を拠出して、従業員の年金口座に積立を行い、従業員が自ら年金資産の運用を行う制度です。マッチング拠出制度を利用すると、従業員が掛金を上乗せして拠出することもできます。積み立てた年金資産については、60歳以降に年金もしくは一時金として受け取ることができます。

企業型確定拠出年金の運用によって得られた利益については全額非課税となり、受取りの際も退職所得控除または公的年金等控除を受けることができます。また、マッチング拠出を利用する場合、従業員が拠出した掛金については全額所得控除の対象となります。

一方で、原則として途中解約はできず60歳になるまでは受け取れない点は注意が必要です。また、運用の結果として損失が発生する可能性もあります。

ストックオプション

ストックオプションとは、株式会社の役員や従業員が、一定期間内に、自社株をあらかじめ決められた価格で取得できる権利のことを言います。例えば、「5年以内であれば1株1000円で100株まで購入できる」という権利が与えられて、その後会社の株価が上がって1株2000円になったときに権利を行使した場合、1株当たり1000円の利益になり、100株で10万円の利益を得られることになります。

会社業績の向上により従業員は利益を得られるので、モチベーション向上に役立つと言えます。株価が下がったとしても、権利行使をしなければ従業員側に損失は発生しません。

日本版ESOP

ESOPは「従業員による株式所有計画(Employee Stock Ownership Plan)」のことで、会社が、会社の全額負担で自社株を積立給付して、従業員への退職給付資産とする制度です。従業員による自社株保有を促進することができ、主に米国や英国などで用いられています。

会社が全額負担しているので従業員側の損失は発生しませんし、業績向上により退職金が増えるのでモチベーション向上にも役立つと考えられます。また、従業員を自社の株主とすることで、安定株主を確保することもできます。

なお、上記の退職給付型のESOP制度だけではなく、会社があらかじめ信託を用いて自社株を取得して、持株会に売却するというものを日本版ESOPと呼んでいる場合もあります。従業員は拠出金に応じて株式を割り当てられ、損失が生じた場合には会社が損失を補填します。従業員としては元本が保証されますが、会社は負担が増える場合があります。

 

はじめに

株式会社、一般社団法人又は一般財団法人には、みなし解散という制度があります。これは、長い期間登記がされていない法人に対して、一定の手続きを経た上で、登記官が職権で解散の登記を入れるという制度です。ここでは、みなし解散制度の内容と、2021年のみなし解散の手続きの状況について記載しています。

みなし解散の対象となる法人

12年以上登記がされていない株式会社を休眠会社、5年以上登記がされていない一般社団法人又は一般財団法人を休眠一般法人といいます。みなし解散の対象となる法人は、これら休眠会社・休眠一般法人です。非公開会社の取締役の任期は最長で約10年であり、一般社団法人又は一般財団法人の理事の任期は最長で約2年であることから、少なくとも株式会社は10年に1回、一般社団法人又は一般財団法人は2年に1回役員の登記をすることが求められ、これを2~3年も放置しているということは活動していない法人である可能性が高いという考えがあるでしょうか。

通知及び公告

休眠会社・休眠一般法人に対して、ここ数年は毎年、10月に官報に公告が行われ、かつ管轄登記所から通知がされます。今年(2021年)は10月14日(木)に公告及び通知が行われています。官報を毎日チェックしている人はほとんどいないでしょうから、通知を受け取ることによって、みなし解散の対象となっていることに気付いた(法)人もいらっしゃると思います。この通知がきた休眠会社・休眠一般法人が、みなし解散を免れるには、次の2つの方法があります。

①まだ事業を廃止していない旨の届出
通知書は法人の本店に送られてきますが、当該通知書を「まだ事業を廃止していない」旨の届出として利用することができます。この「まだ事業を廃止していない」旨の届出を管轄登記所に、今年においては12月14日までに提出すれば、みなし解散を免れることができます。ただし、下記②のとおりみなし解散の対象となっている法人は、役員の選任懈怠及び/又は登記懈怠が生じている状況ですので、これを機にそれらの対応をすることをお勧めします。

②必要な登記の申請
みなし解散の通知がきた法人は、役員の任期が満了して再任しないままでいるか(選任懈怠)、役員の選任はしているがその登記を申請していない状況です(登記懈怠)。今年においては、12月14日までに管轄登記所へ役員変更等の登記を申請すれば、みなし解散を免れることができます。

みなし解散日

みなし解散の対象となっている法人で、上記①②どちらの対応もしない法人は、今年においては、12月15日(火)付けで解散したものとみなされます。

みなし解散後、継続するなら3年以内に

みなし解散がされた法人は、解散日から3年以内に株式会社は株主総会の決議、一般社団法人又は一般財団法人は社員総会の決議をすることによって、当該法人を継続することができます。

継続の登記

継続するときは、株主総会の決議又は社員総会の決議で継続する旨及び継続後の役員を選任し、その旨の登記手続きを行います。活動している法人であれば、取引上、解散の文字が登記簿に記載されていることは望ましくありませんので、速やかに登記手続きを行うことが望ましいでしょう。

 

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