汐留パートナーズ・ニュースレター 2022年2月号

法改正・制度改正及び減資について

日頃よりお世話になっております。汐留パートナーズです。

さて、今月のニュースレターでは「最新の法改正・制度改正」と「減資」について取り上げます。

税務からは先月に引き続き税制改正大綱より「住宅ローン控除の見直し」や「上場株式等に係る配当所得等の大口株主の要件見直し」等の論点を、労務からは法制度改正より「育児介護休業法の改正」等の論点をそれぞれお伝えします。また、司法書士法人からは「減資」について手続きや効力発生日などについて詳述致します。

司法書士法人で取り上げる「減資」については、3月末決算の会社では、期末までに減資を計画されたり、今まさに手続きを進めていたりする会社もあるかと存じますので、是非ご確認ください。

法人論点・個人論点を問わず、毎年新年度開始までは法制度の改正で注意点が多くなりますので、ニュースレターを是非そのご確認にお役立てください。

 

令和4年度税制改正大綱(解説スライド)はこちら

 

はじめに

今回は、令和4年度税制改正大綱の中で、個人所得課税及び資産課税で注目度の高い項目を取り上げていきたいと思います。

住宅ローン控除の見直し(個人所得課税)

適用期限が2025年12月末まで(現行:2021年12月末まで)と4年延長になりました。一方で、控除率が0.7%(現行:1%)へ縮減、適用対象者の所得要件も、2,000万円以下(現行:3,000万円以下)に縮減されます。借入限度額と控除期間については、居住年や住宅の種類・性能に応じて定められます(下表参照)。

住宅タイプ 居住年 借入限度額 控除期間
新築・消費税課税住宅 認定受託等 認定住宅 2022年・2023年 5,000万円 13年
2024年・2025年 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 2022年・2023年 4,500万円
2024年・2025年 3,500万円
省エネ基準適合住宅 2022年・2023年 4,000万円
2024年・2025年 3,000万円
認定受託等以外 2022年・2023年 3,000万円
2024年・2025年 2,000万円 10年
中古住宅 認定住宅等 2022年・2023年 3,000万円
認定住宅等以外 2024年・2025年 2,000万円

上場株式等に係る配当所得等の大口株主の要件見直し(個人所得課税)

持株割合が3%以上のいわゆる大口株主が受ける上場株式等の配当等は、総合課税の対象となりますが、当該大口株主の要件が以下の通り見直されました。当改正は、2023年10月1日以降に支払を受けるべき上場株式等の配当等について適用されます。

大口株主の要件

現行 直接保有の持株割合≧3%
改正後 直接保有の持ち株割合(現行)+同族会社等を介して保有する株式の割合≧3%

完全子法人株式等の配当に係る源泉徴収制度の見直し(個人所得課税)

 2023年10月1日以降に支払を受ける以下の株式等に係る配当については、所得税の源泉徴収を行わないこととされました。

また、交際費等の損金不算入制度の適用期限 が2年延長されると共に、中小法人に係る損 金算入の特例の適用期限が2年延長されます。

完全子法人株式等(株式等保有割合100%)
配当基準日における発行済株式総数の1/3調を直接保有する株式等

直系尊属からの住宅取得等資金の贈与税の非課税措置の延長等(資産課税)
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、適用期限が2021年末から2023年末まで2年延長され、非課税限度額は、以下の通り見直されます。また、受贈者の年齢要件も18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げられます。

住宅用家屋の区分 非課税限度額
耐震・省エネ・バリアフリーの住宅用家屋 1,000万円
上記以外の住宅用家屋 500万円

非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例制度の延長(資産課税)

非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例制度を適用するには、特例承継計画を会社の主たる事務所が所在する都道府県に提出する必要がありますが、コロナ禍で事業承継が後ろ倒しになっている現状に鑑み、特例承継計画の提出期限が2023年3月末から2024年3月末へと1年延長されます。

おわりに

令和4年度税制改正大綱について注目論点を中心に取り上げてきましたが、その他にもインボイス制度に係る見直しや電子取引に係る電子保存義務化猶予など、実務上押さえるべき論点はあります。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせ下さい。

 

2022年法改正のご案内

2022年はいくつかの法改正が予定されています。先月は「社会保険の適用拡大」についてお伝えしましたが、今月はその他の法改正について、特に事業に影響のあるものについてお伝えします。

育児介護休業法の改正

育児介護休業法が改正されました。改正法は、今年の4月1日、10月1日に施行されます。改正内容は次の通りです。

施行日 改正内容
2022年4月1日 ・雇用環境の整備の義務化
・育児休業制度等の、個別周知・意向確認の義務化
・有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
2022年10月1日 ・出生時育児休業(いわゆる「産後パパ育休」)の創設
2023年4月1日 ・育児休業取得状況の公表の義務化(従業員数1,000人超の企業)

雇用環境の整備(2022年4月1日~)

改正育児介護休業法では、育児休業を取得しやすい環境の整備が義務化されます。具体的には次のうち少なくとも一つの措置を講じることが必要になります。
・育児休業制度・産後パパ育休制度(以下、「育児休業等」とします)に関する研修の実施
・育児休業等に関する相談体制の整備(相談窓口の設置など)
・自社の従業員の育児休業等の取得事例の収集・提供
・自社の従業員へ育児休業等の制度と、育児休業取得促進に関する方針の周知

育児休業制度等の個別の周知・意向確認(2022年4月1日~)

改正育児介護休業法では、本人または配偶者の妊娠・出産を申し出た従業員に対して、事業主は育児休業制度等の周知と、休業の取得の意向確認を、個別に行うことが義務付けられます。

有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(2022年4月1日~)

2022年3月末までは、有期雇用労働者の育児休業・介護休業について、引き続き雇用された期間が1年以上であることが要件となっていました。しかし、法改正によりこの要件が撤廃され、入社1年未満の有期労働者も育児・介護休業の対象となります。
ただし、労使協定を締結することにより、正社員や無期雇用労働者も含めて、「引き続き雇用されたものが1年未満の者」を除外することはできます。
※有期労働者のみを除外することは、不合理な待遇差として問題となる可能性があります。

出生時育児休業制度(産後パパ育休)の創設(2022年10月1日~)

男性の育児休業取得率を向上させるため、育児休業とは別に、子の出生後8週間以内に4週間まで産後パパ育休を取得できるようになります。なお、分割して2回取得することもできます。

育児休業の分割取得(2022年10月1日~)

これまで育児休業の取得は1度のみで、復帰後に再取得はできませんでしたが、10月からは2回までの分割取得が認められるようになります。

雇用保険法の改正

雇用保険に関しても改正がありました。また、雇用保険料率の引上げも予定されています。

マルチジョブホルダー制度

2021年までは雇用保険は1つの事業場で労働時間が20時間以上でなければ加入できませんでした。しかし、2022年1月からは、65歳以上の労働者に限って、2以上の雇用保険適用事業場での労働時間を合算することで、雇用保険に加入できるようになりました。

雇用保険料率の引上げ

2022年4月・10月に雇用保険料率が引き上げられる見込みです。引上げられる見込みの保険料率は次の通りです(一般の事業の場合)。

施行日 労働者負担 事業主負担 合計
4月から 3/1000 6.5/1000 9.5/1000
10月から 5/1000 8.5/1000 13.5/1000

パワハラ防止措置が中小事業主も義務化

2022年4月1日から、中小事業主にもパワハラ防止措置の義務が課されます。以下の措置を講じる必要があります。
 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

詳細については、次のページを参考にしてください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

一般事業主行動計画の策定・届出の義務化おわりに

2022年4月から、一般事業主行動計画の策定・届出が必要な事業主の範囲が、「常時雇用する労働者が101人以上の事業主」に拡大されます。これまでは常時雇用する労働者が301人以上の事業主が対象でした。

詳細については、次のページを参考にしてください。
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/jisedai/index.html

 

はじめに

株式会社は一例として次のような理由から、事業年度末までに資本金の額を減少することがあります。配当の原資を確保したい、繰越欠損金を解消したい、税務的な理由から資本金の額を1億円以下にしたい、会社法上の大会社となることを避けるため資本金の額を5億円以下にしたい、等です。
資本金の額を減少する手続きは、スタートから効力が発生するまで、どんなに急いでも1ヶ月以上はかかってしまいます。
事業年度が3月末までの株式会社が事業年度末までに資本金の額を減少するのであれば、2月に入ったときには手続きに着手するのが良いかと思います。

資本金の額を減少する手続き

資本金の額を減少するには、原則として次の手続きが必要です。
1.株主総会の決議
2.債権者保護手続き

株主総会の決議

株主総会の特別決議によって、次の事項を定めます。
1.減少する資本金の額
2.減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
3.資本金の額の減少がその効力を生ずる日
株主総会の特別決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行います。
なお、株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において、当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らない場合は、株主総会の決議ではなく、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって上記事項を定めます。

債権者保護手続き

次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告します。
1.当該資本金の額の減少の内容
2.当該株式会社の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
3.債権者が一定の期間(1ヶ月以上)内に異議を述べることができる旨
定款で定める公告方法が「日刊新聞紙」又は「電子公告」である株式会社は、上記官報による公告に加え、定款で定める公告方法によって同じ公告をしたときは、知れている債権者への各別の催告を省略することができます。
なお、「株主総会の決議」と「債権者保護手続き」は、どちらを先に行っても資本金の額の減少の効力を発生させることが可能です。

資本金の額の減少の効力発生日

必要な手続きが全て終わっている場合、株主総会等で定めた効力発生日に、資本金の額の減少の効力が発生します。

登記申請

資本金の額の減少の効力が発生してから2週間以内に、管轄登記所へ登記申請を行います。

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