汐留パートナーズ・ニュースレター 2022年3月号

確定申告・パワハラ対策・留学生新卒生採用にまつわる論点

日頃よりお世話になっております。汐留パートナーズです。

さて、今月のニュースレターでは税務より「2022年の確定申告」、労務より「企業に対策が義務付けられるパワハラ」、行政書士法人より「外国人留学生の新卒採用時の留意点」について取り上げます。

特に、労務で取り上げるパワハラ対策については、2020年に施行されたいわゆるパワハラ防止法が2022年4月より中小企業へも適用されるという論点です。

厚生労働省の公表する「令和2年度個別労働紛争解決制度の運用状況」でも、パワハラに関連する個別労働紛争の相談件数は年約8万件に上り、個別労働紛争相談全体の約35万件の22.8%を占め、内容別で1位となっています。2位の自己都合退職の11.4%に2倍の差をつけていることからも、パワハラ問題が根深いことをうかがわせます。

低生産性の助長にも繋がるこの論点は、必ず対処しなければならない問題ですので、是非ご確認ください。

 

はじめに

今年も確定申告の提出期限が近づいてきました。今回は、2022年提出分(2021年の所得税分)の確定申告について、昨年からの変更点や留意点を中心に見ていきたいと思います。

提出期限

今年の確定申告書の提出期限は原則3月15日ですが、新型コロナウイルスの影響で期限内申告が困難な場合、申告書の余白に所定の文言を記載するといった簡易な方法により、2022年4月15日まで、申告・納付期限の延長が認められています(国税の申告・納付期限の簡易な方法による延長に関するFAQ)。

押印義務の廃止

確定申告書や収支内訳書、青色申告決算書等の書類への押印が不要になりました。

事業所得・不動産所得・雑所得の区分追加

確定申告書の「収入金額等」記載部分の事業所得、不動産所得、雑所得(その他)に「区分」欄が新たに追加されました。事業所得の区分欄と不動産所得の区分2欄には、記帳・帳簿の保存レベルに応じて「1」~「5」の数字を記入し、不動産所得の区分1欄には、国外中古建物の損益通算等の特例がある場合には「1」を記入します。また、雑所得(その他)の区分欄には、個人年金保険の収入がある場合は「1」、暗号資産の収入がある場合は「2」、その両方がある場合は「3」を記入します。

e-TAX送信に「2次元バーコード方式」が追加

従来、マイナンバーカード方式では、外付けのICカードリーダライタでマイナンバーカードを読み取る必要がありましたが、スマートフォンにインストールした「マイナポータルアプリ」で、パソコン等に表示された2次元バーコードを読み込むことで、ICカードリーダライタを不要とする「2次元バーコード認証」でのe-TAX送信が可能となりました。

スマートフォン申告の対象所得の拡大

給与所得、雑所得、一時所得に加え、上場株式等の譲渡所得や配当所得、前年繰越分の譲渡損失額、外国税額控除がスマートフォン申告の新たな対象として加わりました。

寄付金控除の添付書類の拡充

ふるさと納税の申告では、自治体毎の寄付金の受領書の添付が必要ですが、「ふるなび」や「さとふる」等の指定業者が発行する「寄付金控除に関する証明書(年間の寄附額が記載)」の添付による申告も可能になりました。

保育の助成等の非課税措置

従来、ベビーシッターや認可外保育園等の利用料の助成を受けた場合、雑所得として確定申告が必要でしたが、2021年分から助成に係る所得税や住民税が非課税となったため、確定申告をする必要はなくなりました。

おわりに

今回は、今年の確定申告について主要な変更点を見ましたが、ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせ下さい。

 

はじめに

2022年4月から、中小企業に対してもパワーハラスメントの防止措置が義務付けられるようになります。今回は、パワハラの定義や、パワハラ防止措置の具体的な内容について解説します。

パワハラとは何か

パワハラとは、職場において行われる①優位的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③その雇用する労働者の就業環境が害されるものを言います。パワハラに該当する例として、以下の6つの類型が挙げられています。
・身体的な攻撃(暴行・傷害)
・精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
・人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
・過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
・過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
・個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示・指導についてはパワハラには該当しません。しかし、上記の中には業務上の指示・指導との境界線が曖昧なものもあります。この点、パワハラ指針によれば、以下7つの要素を総合的に考慮するのが適当としています。
・当該言動の目的
・当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む当該言動が行われた経緯や状況
・業種・業態
・業務の内容・性質
・当該言動の態様・程度・継続性
・労働者の属性や心身の状況
・行為者との関係性

パワハラ防止措置の概要

4月から中小企業に義務付けられるパワハラ防止措置義務について、厚生労働省の指針(パワハラ指針)では以下の措置を講じるべきと定められています。
・事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
・相談(苦情も含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
・職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
・相談対応・事後対応にあたって、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨を労働者に周知
・相談をしたこともしくは事実関係の確認等の事業主の措置に協力したこと、都道府県労働局に対して相談、紛争解決の援助を求めもしくは調停申立等をしたことを理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発

事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

職場においてパワハラをしてはいけないことを表明し、従業員に伝えることが求められます。この時は、パワハラの定義・内容や、パワハラが起きてしまう原因・背景なども理解してもらえるようにしましょう。就業規則等への策定、社内報・パンフレットの配布、研修・講習などでの周知・啓発が考えられます。

また、パワハラ防止の実効性を確保するためにも、パワハラを行った者については厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則等に定め、これを周知・啓発することが必要です。

相談体制の整備

パワハラについて、誰でも相談できるように相談窓口を定め、労働者に周知しておく必要があります。また、相談窓口の担当者が適切に相談に応じられるように、相談対応についての研修や、相談対応マニュアル等の整備をしておくことが望ましいです。

事後対応

パワハラ事件が起きてしまった場合に備えて、事後対応措置の内容を決めておく必要があります。流れとしては、①事案に係る事実確認、②被害者に対する配慮の措置、③行為者に対する措置、④再発防止措置となります。

相談者・行為者等のプライバシー保護と、その旨の周知

パワハラの相談窓口を設置しても、プライバシーの保護が徹底されていなければ、安心して相談することができません。プライバシーが保護されるように、相談窓口担当者や人事担当者への教育を行うなど情報漏洩対策を行って、安心して相談してもらえるように準備します。

不利益取扱いをしない旨の定めと、その旨の周知・啓発

パワハラ相談等を理由に解雇その他の不利益な取り扱いをされる可能性があると、パワハラがあっても相談が難しい環境になってしまいます。対応としては、パワハラ相談等をしても不利益な取り扱いはされない旨を就業規則等に規定し、社内報などに記載し配布することが考えられます。

さいごに

パワハラは、被害者の就業環境はもちろんのこと、職場全体の就業環境をも悪化させてしまいます。パワハラが横行する職場では、人材不足、生産性低下、精神疾患や休職者の発生など、様々なリスクが考えられます。パワハラ防止措置の義務化を機に、従業員が働きやすい環境について、改めてご検討してみてはいかがでしょうか。

 

はじめに

我が国の外国人留学生数は2019年まで右肩上がりに増加傾向にあり、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた2020年は減少したものの、279,597人(高等教育機関・日本語教育機関含む)という高水準を保っております。このため引き続き日本で就職を希望する外国人留学生も多くなり、採用に動く企業も多くなってきたのではないでしょうか。今回は新卒採用の外国人留学生に関する申請の流れや注意すべき点についてご案内させていただきます。

4月採用のケース

早い方は夏前に内定をいただき、入社を決める留学生もいるかと思いますが、申請の時期に注意しなければなりません。多くの出入国在留管理局(以下、「入管」という)では4月採用の新卒者の申請は12月中旬から1月上旬にかけて申請受付を開始します。申請前に管轄の入管に申請時期を確認することから始まります。またこの時期は新卒採用の申請が殺到しますので入管での審査が遅れがちになる傾向があります。3月上旬に申請した場合はカテゴリーにもよりますが、4月1日のスケジュールには間に合わないことも視野にいれて入社オリエンテーリングなども検討する必要性に迫られます。まずはそうならないようになるべく早くの申請を心掛けることが必要です。

申請が受理されれば審査は進み、就労のための新しい在留カードを受け取る手続きを知らせる「通知書」(ハガキ)が届きます。しかしすぐに新しい在留カードを受け取れるわけではありません。卒業証書もしくは卒業証明書を入管に提示/提出することによって新しい在留カードを受領することができます。なお、就労を開始するためには新しい在留カードを受領した後でなければなりません。

よくあるケース

例えば東京の大学に通学していたため、申請地は東京入管で行ったが、勤務先が地方である場合で申請中に東京から地方に引っ越しを済まされたというケースがあります。基本的には申請をした入管で新しい在留カードを受け取ることになるので地方から東京入管まで在留カードの受取に来ることとなってしまいます。また引っ越し先での受領も可能な場合がありますが、東京入管と地方入管でのやり取りなどがあり、在留カードの受領がスムーズにいかないケースもあるので注意が必要です。

おわりに

「留学」から就労系の在留資格に変更申請をする場合、管轄は住居地を管轄する地方入管が原則ですが、昨今では勤務地を管轄する地方入管でも可能となっております。しかし申請前に必ず管轄の入管に確認してください。

新卒をはじめて採用する企業はどのような手続きで進めれば不安があります。また毎年多数の採用をしている企業も各申請人と在留資格に関するやり取りをするにはかなりのコストがかかります。弊社であれば各申請人とのやり取りも英語・中国語で可能であり、会社の不安や負担をかなり軽減できます。スケジュールも含めてトータル的にアドバイス可能ですので、お困りの際はお問合せ下さい。

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