汐留パートナーズ・ニュースレター 2022年4月号

東証の市場再編・メンタルケア・大会社以外の非公開会社の定時株主総会

日頃よりお世話になっております。汐留パートナーズです。

さて、今月のニュースレターでは税務より「東証の市場再編」、労務より「メンタルケア」、司法書士法人より「大会社以外の非公開会社の定時株主総会」について取り上げます。

税務にて取り上げる東証の市場再編については、この2年程で制度改正や移行手続き等の度に注目されてきた再編がついに実行されることとなります。

一つの焦点となっていた東証一部企業の多さについては、東証一部上場企業全2185社の内、最上位種別プライムに1841社が移行することとなりました。但し、そのうち296社は新市場の維持要件を満たさず、経過措置によってプライムに移行する形となっているため、実態としては全体の70%にあたる1545社がプライムの要件を満たしての移行となっています。

今後、東証の目指す「魅力的な市場形成による投資マネーの呼び込み」という目標に向けて、どのような変化をしていくかが注目されます。

 

はじめに

東京証券取引所は、2022年4月4日、市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQ(スタンダード・グロース)で構成されていた市場区分を、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3市場構成に見直しを行います。今回は当該東証の市場再編の背景や概要について見ていきたいと思います。

東証の市場再編の背景

従前より東証では、市場区分がわかりづらいこと、一部上場企業の増加と質の低下等が問題視されており、以下の課題に対処すべく、市場再編が行われることになりました。

課題 各市場区分のコンセプトが曖昧
市場第二部、マザーズ、JASDAQの位置づけが重複しており、市場第一部についてもコンセプトが不明確。
上場会社の持続的な企業価値向上への動機付けが不十分
・新規上場基準よりも上場廃止基準が大幅に低いことから、上場後も新規上場時の水準を維持する動機付けにならない。
・他の市場区分から市場第一部に移る際の基準が、市場第一部への新規上場基準よりも緩和されており、上場後に積極的な企業価値向上を促す仕組みとなっていない。
対応 各市場のコンセプトを明示 ・各市場のコンセプトに応じ、流動性やコーポレート・ガバナンスなどに係る定量的・定性的な基準の創設
・各市場の新規上場基準と上場維持基準を原則共通化
・市場区分間の移行に関する基準を撤廃し、市場区分の変更の際には、変更先市場の新規上場基準を満たすことを要求

新市場区分のコンセプト及び上場基準

新市場区分のコンセプトは以下の通りです。

コンセプト

プライム市場 多くの期間投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場
スタンダード市場 公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場
グロース市場 高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場

(出典:市場区分見直しの概要 | 日本取引所グループ(jpx.co.jp)

また、新規上場・市場変更等の基準については、既に新市場区分での上場基準を見据えて段階的に見直しが行われており、東証一部=プライム市場、東証二部・JASDAQスタンダード=スタンダード市場、マザーズ=グロース市場へと整合性が図られています。見直しにより、上場基準・上場維持基準共に従前より厳しいものになったといわれています。新市場の上場基準の概要は、以下の通りです。

上場基準

  プライム市場 スタンダード市場 グロース市場
株主数 800人以上 400人以上 150人以上
流通株式数 20,000単位以上 2,000単位以上 1,000単位以上
流通株式時価総額 100億円以上 10億円以上 5億円以上
時価総額 250億円以上
流通株式比率 35%以上 25%以上 25%以上
収益基盤 ・直近2年間の利益25億円以上
・売上高100億円かつ時価総額1,000億円以上
直近1年間の利益1億円以上
財務状態 純資産50億円以上 純資産が正

※「流通株式=上場株式数-固定的な株式」であるが、市場再編後「固定的な株式」の定義が変更。具体的には、①主要株主が保有する株式(10%以上保有)、②役員等が保有する株式(含、役員以外の利害関係者)、③自己株式、④純投資目的以外で銀行や保険会社が保有する株式、⑤その他固定的な株式と、赤字部分が加わり、計算が厳格化。

上場企業の新市場所属先

2022年1月11日に東証は上場企業の市場再編後の所属市場を発表し、東証一部上場企業の8割以上の1841社がプライム市場への移行を選択しました(上場会社による新市場区分の選択結果 | 日本取引所グループ (jpx.co.jp))。しかし、その中の296社はプライム市場の上場基準を満たしておらず、改善に向けた計画書を提出し、経過措置を適用することから、今後の動きが注目されています。

おわりに

再編後は、既存上場企業は継続的に上場維持基準を満たすことが求められ、上場予定企業は、新市場のコンセプト及び上場基準に従った準備が必要です。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせ下さい。

 

新年度のメンタルヘルス対策

春になり、入社や異動などで環境変化が多い時期になりました。そんな中で、新しい環境に馴染めない、人間関係をうまく築けない、頑張りすぎて燃え尽きてしまうなど、いわゆる五月病になってしまう方もいます。

1.メンタルヘルス対策の考え方

職場のメンタルヘルス対策は、一次予防、二次予防、三次予防の三段階に分けて考えることができます。

一次予防・・・積極的な健康の保持増進、仕事による健康障害の防止(未然防止)
二次予防・・・健康不全の早期発見、早期対処
三次予防・・・再発・再燃の防止、復帰支援

安全配慮義務の履行や法令遵守の観点からは二次予防・三次予防が中心になるかもしれませんが、やはりメンタルヘルス不調は未然に防止できたほうが良く、一次予防も合わせて職場のメンタルヘルス対策を考えることが大切です。

2.メンタルヘルス問題の特性

メンタルヘルスの問題は見えないので、他人からは分かりにくいものです。問題を抱える過程も個人差が大きいので、客観的に把握することが難しいです。したがって、メンタルヘルスの状況を把握するためには、従業員本人とのコミュニケーションが必要不可欠になります。

3.新規採用者・異動者へのケア

新規採用者や異動者は、新たな業務内容や仕事の進め方に対する知識・経験、職場の雰囲気に馴染めるかどうか、転居等による新たな生活環境への順応などについて、様々な不安を抱えることがあります。

特に、社会経験の浅い新卒社員だと、自分から相談を持ち掛けることができないということも少なくありません。困ったら相談してくるだろうという期待はせずに、何か困っていないか察知して適切な声掛けができたほうが良いでしょう。

新入社員や異動者に対して、上司やメンターなどの具体的な相談相手を設定し、日ごろから積極的なコミュニケーションを行うことで、職場の人間関係を深めることが期待できます。

4.テレワーク時代のコミュニケーションのあり方

また、コロナ禍でテレワークが増えたことにより、コミュニケーションが減ったという声をよく聞きます。対面でのコミュニケーションに比べて、オンラインでのコミュニケーションでは業務上の連絡が多くなりがちで、業務に直接関係のない会話をする機会は減ったかと思います。そのため、従業員の状態をなかなか把握できないまま、知らない間にメンタル不調を抱えてしまうこともあるようです。離れているからこそ、意識して声がけをするなどの相談しやすい雰囲気づくりが、ますます大切になっていると考えます。

 

はじめに

株式会社は毎事業年度の終了後一定の時期に定時株主総会を招集しなければなりません。 3月31日を事業年度の末日としている株式会社は、5月又は6月に定時株主総会を招集することが多いでしょうか。ここでは、大会社以外の非公開会社で取締役会設置会社、監査役設置、会計監査人は非設置である株式会社における定時株主総会の手続きについて見ていきます。

計算書類等の作成

事業年度末を迎えた後、当該事業年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成します。計算書類とは、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表をいいます。計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、監査役の監査を受けなければなりませんので、作成が終わったら監査役へ提出します。

監査役報告の作成

監査役が監査報告を作成し、これを取締役へ提出します。

取締役会の決議

監査役の監査を受けた計算書類等を、取締役会の決議で承認します。また取締役は、定時株主総会の招集の通知に際して、株主に対し、取締役会の承認を受けた計算書類及び事業報告(監査報告を含む)を提供しなければならないため、定時株主総会の招集を決定します。

定時株主総会において剰余金の配当をする場合、定款の一部を変更する場合、取締役や監査役を選任する場合等は、必要に応じて取締役会での意思決定や、定時株主総会の議案に盛り込みます。

定時株主総会の招集

各事業年度に係る計算書類等は定時株主総会の日の2週間前の日から5年間本店に備え置きます。

監査役報告の作成

定時株主総会の招集通知(+一般的には委任状も)を株主へ発送します。計算書類等を株主に提供しなければならないため、それらを当該招集通知に同封するケースが多いでしょう。書面投票制度や電子投票制度を採用しない限り、原則として、定時株主総会の一週間前(中7日)までに招集通知を発送しなければなりません。

定時株主総会の決議

定時株主総会の場で株主へ事業報告の内容を報告し、計算書類の承認を受けます。この承認の決議要件は、普通決議とされています。決議事項として他の議案がある場合は、当該議案の決議も行います。

なお、株主全員の同意が得られるようであれば、株主総会を実際に開催することなく、株主全員からの同意を得ることにより、定時株主総会への事業報告の内容の報告及び計算書類の承認を得たとみなすことができますので、株主が少数の株式会社はこの方法を採用することも少なくありません。

決算公告

定時株主総会の終結後遅滞なく、定款で定められている公告方法により、貸借対照表を公告します。当該公告方法が官報又は日刊新聞紙の場合、貸借対照表の要旨を公告することで足ります。

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