汐留パートナーズ・ニュースレター 2022年7月号

投資所得に係る税金・男女間の格差の現状と是正・解雇等をされた外国人従業員に対する措置

日頃よりお世話になっております。汐留パートナーズです。早くも2022年も折り返しとなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今月のニュースレターでは、税務より「投資所得に係る税金」、労務より「男女間の格差の現状と是正」、行政書士法人より「解雇等をされた外国人従業員に対する措置」について取り上げます。

働き方改革をはじめとする昨今の労働環境に関する論点において、多くの場合男女間格差の問題が同時に論じられます。労働時間等に関する制度改革が各社各様に進んでいる状況ではありますが、性別差という観点からは制度改革のみでは不十分な場合も多く存在します。男女間格差の是正については、目立った成果は中々見えてこない状況ではありますが、有価証券報告書での報告義務化など、様々な形でアプローチが始まっています。

今月のニュースレターでは、日本の現状や是正に向けた動向、海外の取り組みについても併せて取り上げながら、日本の男女間格差についてまとめております。今後の企業体制の構築のご参考に、是非ともご覧ください。

 

はじめに

昨今、日本でも資産運用を行う人が増えていますが、投資に関わる税金の知識が乏しい方も多いと思います。今年は株式市況を始めとする様々な相場変動が激しく、投資の知識と共に投資所得に係る税金知識を持つことは重要です。今回は、資産運用手段としてよく行われている「株式」「FX」「仮想通貨」取引に係る税金について見ていきたいと思います。

所得分類

所得税法では、所得をその性格によって、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種類に分類しており、 株式取引に係る所得は譲渡所得、FXや仮想通貨取引に係る所得は雑所得に区分されます。

課税体制と税率

所得税の課税方法には、「総合課税」と「分離課税」があります。総合課税は、他の所得と合計した上で、累進税率をかけて所得税を算出する方法であり、分離課税は、他の所得と分離して、一定の税率をかけて所得税を算出する方法です。株式及びFX取引(国内FX)に係る所得は、一律20.315%(所得税15.315%+ 住民税5%)にて分離課税(但し、海外FXは総合課税)、仮想通貨取引に係る所得は、累進税率による総合課税により課税されます。即ち、仮想通貨取引では利益が大きくなるにつれて、税率は高くなり、最大で55%(所得税45%+住民税10%)の税率が課されることになります。

損益通算及び損失の繰越控除の可否

損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失を他の所得と相殺し、課税対象となる所得金額を減額させる制度です。損失の繰越控除とは、今年度生じた損失を翌年度以後の所得金額の計算上控除する制度です。株式取引においては、上場株式等の譲渡損失は、申告分離課税選択の配当所得と損益通算可能です。この際、源泉徴収で納税が完結する「特定口座」を利用している場合でも、損益通算を行うためには確定申告が必要です。また、国内FX取引の損失は、FX以外の先物取引の所得と損益通算可能です。これらについては、相殺し切れなかった損失は、翌期以降3年間繰越可能です。一方、仮想通貨取引の損失は、他の所得との損益通算及び繰越は認められません。但し、仮想通貨取引内(ex.ビットコインとリップル)や、雑所得の総合課税対象のもの(ex.海外FX)との内部通算は可能です。

まとめ

株式、FX、仮想通貨の投資所得に係る税金について、まとめると以下の通りです。

 
株式投資
FX
仮想通貨
国内FX海外FX
所得分類譲渡所得雑所得雑所得雑所得
課税体系分離課税分離課税総合課税総合課税
税率一律20.315%一律20.315%累進課税累進課税
損益通算上場株式譲渡損失と配当所得は可能先物取引に係る雑所得は可能

不可(※1
※1 雑所得の総合課税対象のものであれば内部通算可。よって海外FXと仮想通貨の損益通算は可。

不可(※1
損失の繰越3年間可能3年間可能不可(※1不可(※1

昨今のように市場の変動が大きい状況下では、損失が生じた場合の損益通算や損失の繰越控除についても理解しておくことは重要だと思います。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせ下さい。

 

男女間の格差の現状と是正策

政府は、2022年7月から、従業員数301名以上を常時雇用する企業に対して、男女の賃金格差の公表を義務付ける方針です。このほか、上場企業等が国に提出する「有価証券報告書」においても、早ければ2023年度より、男女それぞれの賃金水準を記載するよう義務付けられる予定です。今後は、今までよりも男女間の格差是正が求められます。

1.日本における男女間の格差の現状

日本の男女の賃金格差は、OECD加盟国の中では韓国、イスラエルに次いでワースト3位です。年々改善されてはいるものの、欧米諸国と比べると依然として格差が大きいと言える状況です。

その大きな原因として、「男性は仕事・女性は家事」といった性別役割分業にあります。平成28年度社会生活基本調査によると、家事関連時間(家事、介護・看護、育児、買い物)について女性は3時間28分、男性は44分となっています。特に配偶者のいる男女においては女性4時間55分、男性1時間1分となっています。世界的に見ても、日本人男性の家事分担率は著しく低く、これは社会的に解決していかなければならない問題です。

日本では女性が家事の多くを担うことが多いことも影響しているためか、女性雇用者の半数以上は非正規雇用で働いており、その多くはパート・アルバイトです。そのため、女性の賃金が低くなってしまっています。

また、フルタイムで働いている場合でも、出世競争においては女性が不利な立場にあります。有配偶者男性は妻に家事を任せて多く時間を仕事に費やすことができる場合も多いですが、有配偶者女性はそうではないからです。長時間労働を前提とした競争では男性有利となってしまって、これが女性管理職比率の低さにも繋がっていると考えます。

2.企業における男女間の格差の是正策

企業の課題としては、出産・育児等を理由とする離職の防止と、女性管理職を増やすことが挙げられます。

出産・育児等を理由とする離職防止のためには、男女ともに家事と仕事の両立ができる職場づくりが求められます。家事と仕事を両立するためには、次のような制度を活用して、働く時間や場所の柔軟性を高めることが有効です。

・フレックスタイム
・制度短時間勤務制度
・在宅勤務制度

しかし、フレックスタイム制度や在宅勤務制度を用意したとしても、長時間労働しなければならない状況があれば、家事と仕事の両立はできません。働き方改革のために柔軟な働き方を導入している企業は少なくありませんが、長時間労働の傾向があるならば、労働時間の削減も同時に行わなければなりません。

女性管理職の増加については、長時間労働を前提とした出世競争を避けることが必要です。女性が家事を担うことが多い現実を鑑みれば、長時間労働を前提とした出世競争では、有配偶者女性は大変不利な立場になります。これでは女性管理職を増やそうとしても、候補者すら見つからない状況になってしまいます。労働時間の削減はもちろん、長時間労働を前提とした評価をしないことが必要ではないでしょうか。

また、労働時間を削減することは男性の家事分担率向上にも繋がる可能性があり、日本全体の男女間の格差是正に貢献することができるでしょう。

3.おわりに

EUは、上場企業に対して、取締役の女性比率を一定比率以上にすることを事実上義務付けることで大筋合意しました。2026年6月末までに、社外取締役の40%以上またはすべての取締役の33%以上が少数派の性別で占められるようにするとしています。

日本はそのような段階にはないかもしれませんが、冒頭で述べたように男女間の賃金差の開示を義務付けるなど、男女間の格差是正に向けて随時法改正がされています。多様な人材が活躍できる組織に成長するための機会として、改めて働き方や人事評価について考えてみてはいかがでしょうか。

 

はじめに

雇用先の倒産・業務縮小等により、自己の都合によらない理由で解雇、雇止めを通知された外国人従業員に対する措置について今回はご紹介しようと思います。

在留期限まで在留を認められるケース

例えば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で就労していた外国人が自己の都合によらない理由で解雇、雇止めを通知された場合、このまま在留することに何が問題となるでしょうか?それは在留資格の取消の対象となりえるという事です。在留資格の取消しについて定めている入管法22条の4には「(前略)当該在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合(ただし、当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除きます)」とあり、3か月以上在留資格に係る活動を継続して行っていな場合は在留資格取消の対象となる記載があります。

この条文からは出入国在留管理庁は与えられた在留活動を行わず在留していることに対してたとえ資格外の活動を行っていなくても、否定的であるということが伺えます。しかし、雇用状況の悪化に伴う解雇、雇止めを受けた場合、就職活動中の者については、現に有する在留資格のまま、在留期限まで在留を認めるとしています。また就職活動期間中の生活費を補う目的のアルバイト活動については一定の書類を提出してアルバイトのための資格外活動許可を受けることができるとしております。

在留期限が迫ったケース

在留期限が迫ってきたが、まだ就職先が決まらずこの先も継続して就職活動を希望する場合は在留期限の到来前から就職活動を行っていることが確認され、在留状況に問題がない等であれば在留資格「特定活動」(在留期間6月)への在留資格の変更が許可されます。ただし、「特定活動」の在留資格を有する外国人に対して変更を許可する場合は4月の在留期間が与えられます。また就職活動期間中の生 活費を補う目的のアルバイト活動については 一定の書類を提出してアルバイトのための資格外活動許可を受けることができるとしております。

家族がいる場合

前述の「特定活動」への在留資格の変更を希望する者に、「家族滞在」をもって在留する配偶者及び子がいる場合は、当該配偶者及び子についても同時に「特定活動」への在留変更許可申請を行うことができるとしております。

帰国を希望する場合

引き続きの在留を希望せず、帰国を希望する場合には在留期間90日の「短期滞在」への在留資格の変更が許可されます。

おわりに

昨今、M&Aなどにより雇用先の会社が買収され解雇されてしまったなどのご相談を外国人本人または外国人を雇用している会社から頂く事があります。外国人雇用件数が増加している日本では当事者となってしまう外国人が増えることが懸念されます。もし同様のことでお悩みの際は弊社までご相談いただければと存じます。

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