遺留分を侵害している遺言と相続登記・遺贈登記

   

遺言者は、遺言によって自分の死後に誰が財産を承継するのかを指定することができます。

遺言によって被相続人の不動産を承継することを指定された人は、被相続人から自分へ不動産の名義変更をすることができるようになります。

一方で兄弟姉妹を除く法定相続人には、遺留分というものが認められています。

このコラムでは、遺留分を侵害する遺言を用いて相続登記をすることができるかどうかについて紹介しています。

遺言と相続登記・遺贈登記

被相続人の所有する不動産の相続人、受遺者は、被相続人名義となっている不動産を自分に変更する登記をすることができます。

法律上、あるいは遺言によって法定相続人が不動産を承継したときの不動産登記簿の名義変更を相続登記といい、不動産を承継した人が法定相続人以外の場合は遺贈登記等と呼ばれています。

自筆証書遺言と秘密証書遺言は家庭裁判所の検認手続きを経た上で、公正証書遺言はそのまま、相続登記や遺贈登記の添付書類として法務局へ提出します。

遺言は他の相続手続きにも使用することが少なくありませんので、必ず原本還付の手続きをしましょう。

遺言と遺留分

配偶者、第一順位相続人、第二順位相続人には遺留分があります。

例えば相続人が配偶者及び子2名の合計3名であるときは、各相続人は相続財産に対して配偶者が4分の1、子2名がそれぞれ8分の1ずつの遺留分を有していることになります。

ところで、遺留分を侵害している遺言は無効なのでしょうか。遺留分を有する相続人がいる場合にて、遺言に「(第三者)へ全て遺贈する。」と記載されているようなケースです。

このような遺言も(法的要件を満たしている限り)有効です。

遺言と遺留分減殺請求

相続人の遺留分を侵害している遺言も有効ではありますが、遺留分を有する相続人は遺留分減殺請求権を行使することができます。

遺留分減殺請求権の行使には時効がありますので、遺留分減殺請求権の行使を検討されている方はお早めに専門家へ相談することをお勧めします。

遺留分を侵害している遺言と相続登記・遺贈登記

遺留分を侵害している遺言も(法的要件を満たしている限り)有効ですので、当該遺言を使用してその内容のとおり相続登記や遺贈登記をすることが可能です。

但し、相続登記・遺贈登記を申請する前に遺留分減殺請求権を行使されている場合は、不動産の全部あるいは一部が遺留分減殺請求権の行使者のものとなる可能性がありますので、遺言の内容のとおりに相続登記・遺贈登記をすることができないことがあります。

また、相続登記・遺贈登記の後に遺留分減殺請求権が行使され、不動産の全部あるいは一部が遺留分減殺請求権の行使者のものとなる場合は、所有権や持分の移転の登記が必要となることがあります。

遺留分減殺請求権と不動産登記については、次のコラムも併せてご参照ください。

≫遺留分減殺請求権が行使された場合の所有権移転の登記

石川 宗徳
 

このコラムを書いた人

 

司法書士石川 宗徳

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