司法書士 石川宗徳の相続コラム

相続登記をする人必見!登録免許税の計算方法を司法書士が解説します。

不動産を相続した人は、自分名義へ不動産の登記簿を変更する必要があります。

この登記簿の変更手続きを、相続登記といいます。

相続登記をするときは、登録免許税を法務局へ納付しなければなりません。

このコラムでは、相続登記の登録免許税の計算方法について紹介しています。

相続登記の登録免許税

相続登記には、いつまでにしなければならないという期限はありませんが、できるうちに行っておいた方が絶対に良いです。

相続登記をしておかなかったことによるトラブルのご相談をいただくことは少なくありません。

登録免許税は、司法書士に依頼せずに自分で相続登記を行ったときでも発生する税金であり、これがネックで相続登記を見送っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

登録免許税の税率

相続登記の登録免許税は、どのような内容でも一律●万円という定額ではなく、一定の税率が定められています。

一定の税率とは「1000分の4」であり、登録免許税は不動産の価額に1000分の4を乗じた金額です。

不動産の価額が1000万円であれば登録免許税は4万円であり、不動産の価額が1億円であれば登録免許税は40万円です。

不動産の価額

不動産の価額とは「固定資産税評価額」のことをいいます。

固定資産税評価額は、毎年送られてくる納税通知書に「価格」として記載されているので、納税通知書を見れば確認をできます。

また、不動産の所在地の市区町村役場で取得することのできる「固定資産評価証明書」や「固定資産公課証明書」にも記載されています。

東京23区にある不動産の固定資産評価証明書や固定資産公課証明書は、東京23区にある都税事務所であればどこの都税事務所でも取得することが可能です。

例)港区にある不動産の固定資産評価証明書を、練馬都税事務所で取得することができます。

被相続人が所有していた不動産の調査は「名寄帳」で行うことをお勧めします。

 

納税通知書には被相続人が所有している不動産のうち、固定資産税が非課税となっている「公衆用道路」等が記載されないことがありますので、納税通知書だけで不動産を特定すると当該不動産につき相続登記が漏れてしまう可能性があります。

 

いつの時点の不動産の価額を用いるか

固定資産税評価額は、建物は毎年変更される可能性があり、土地は3年に1度変更される可能性があります。

それではいつの時点の固定資産税評価額を基に相続登記の登録免許税を算出するのかというと、相続登記を申請する日の年度のものです。

例えば、平成29年7月27日に登記申請をするのであれば、平成29年度の固定資産税評価額を基にします。

また、「年」ではなく「年度」ですので、登録免許税の計算につき平成29年3月31日に登記申請をするのであれば平成28年度の固定資産税評価額を基にしますし、平成29年4月3日に登記申請をするのであれば平成29年度の固定資産税評価額を基にします。

登録免許税の具体的な計算方法

相続登記の登録免許税の算出の仕方は、上記のとおり「不動産の価額×1000分の4」です。

その他に、次のようなルールがあります。

  1. 不動産が複数あるときは、まず不動産の価額を合算する。(ルール1)
  2. 不動産の価額の1000円未満の単位を切り捨てる。(ルール2)
  3. 登録免許税の100円未満の単位を切り捨てる。(ルール3)
  4. 登録免許税が1000円未満となるときは、1000円となります。

例えば、土地の価額が2222万2222円で建物の価額が555万5555円の場合、登録免許税は次のように算出します。

 

1.不動産の価額を合算します

相続登記の対象となる不動産の価額を合算します(ルール1)。

2222万2222円(土地)+555万5555円(建物)

=2777万7777円

 

2.合算した価額の1000円未満単位を切り捨てます

合算して算出された不動産の価額の、1000円未満の単位を切り捨てます(ルール2)。

2777万7777円 → 2777万7000円

 

3.不動産の価額に1000分の4を乗じます

上記2.により算出された不動産価額に1000分の4を乗じます。

2777万7000円×1000分の4=11万1108円

 

4.算出した登録免許税の100円未満単位を切り捨てます

上記3.により算出された金額の、100円未満の単位を切り捨てます(ルール3)。

11万1108円 → 11万1100円(登録免許税)

マンションの敷地の計算

マンションのような区分建物は、その部屋の登記簿を見ると敷地として土地の表示も記載されていることがあります。

このような敷地権のある区分建物の場合、敷地(土地)の評価額は次のように算出します。

土地の評価額 × 敷地権割合

土地の評価額が100億円、敷地権割合が1000分の1のとき、土地の評価額は1000万円となります。

共有持分の場合

共有持分を相続するときは、全体の不動産の価額に共有持分の割合を乗じて対象となる不動産の価額を算出します。

被相続人が所有していた土地の評価額が1000万円、共有持分が2分の1であった場合の相続登記の登録免許税は次のとおりです。

1000万円×2分の1=500万円(対象不動産の価額)

500万円×1000分の4=2万円(登録免許税)

固定資産評価証明の地積と登記簿の地積が異なる場合

「登記簿上」の地積と、固定資産評価証明に記載されている「現況」の地積が様々な理由により異なっていることがあります。

  1. 建物の増改築をした。
  2. 地積が更正・変更された。
  3. 土地を合筆・分筆をした。
  4. 上記に関係なく異なる。

これらの場合、基本的には固定資産評価証明書に記載されている現況の固定資産税評価額から、1㎡単価の価額を算出して、それに登記簿上の地積を乗じて不動産の価額を算出します。

なお上記4.のうち、登記簿上の地積の方が現況の地積よりも大きい場合は、割り戻さずに固定資産評価証明書に記載されている金額をそのまま使用することが少なくありません。

登録免許税は過不足があると申請後の手続きが面倒ですので、事前に法務局に確認をした方が無難です。

固定資産評価証明の地目と登記簿の地目が異なる場合

登記簿上は「宅地」とされている土地が、固定資産評価証明書では「公衆用道路」とされている土地があった場合、当該土地は「公衆用道路」として計算をします。

公衆用道路の不動産の価額の計算方法は次項に記載しています。

登記簿上「宅地」、固定資産評価証明書では「田」と記載されている土地は、固定資産評価証明書に記載されている評価額をそのまま相続登記に使用することができます。

私道や公衆用道路の不動産の価額

私道や公衆用道路が「非課税」として固定資産税評価証明書に記載されていることがあります。

公衆用道路の不動産の価額は、「近傍宅地の1㎡単価×地積×100分の30」で算出します。

近傍宅地の1㎡単価は次のように求めます。

  1. 固定資産評価証明書に記載されている/してもらう。
  2. 固定資産評価証明書に宅地と私道が併記されている。
  3. 近傍宅地がどこであるか管轄法務局に確認する。

上記1.は自治体によっては行っておらず、上記3.で算出されることが多いように思います。

そして、そのほとんどのケースにおいて、私道の本地部分が近傍宅地として指定されます。

 

私道や公衆用道路の登録免許税の計算例

上記2.のケースで、次のように固定資産評価証明書に記載されている土地があったとします。

  • 登記地積 110㎡、現況地積 100㎡
  • 非課税の公衆用道路の地積 10㎡
  • 固定資産税評価額 1000万円

この土地の公衆用道路部分の不動産の価額は、30万円となります。

  • 1000万円÷100㎡=10万円/1㎡(課税されている土地の1㎡単価)
  • 10万円×100分の30=3万円/1㎡(公衆用道路の1㎡単価)
  • 3万円×10㎡=30万円(公衆用道路の不動産の価額)
  • 1000万円+30万円=1030万円(土地全体の不動産の価額)

上記3.のケースでも、上記のように近傍宅地の1㎡単価を算出していく方法により計算をします。

登録免許税は過不足があると申請後の手続きが面倒ですので、事前に法務局に確認をした方が無難です。

新築建物の不動産の価額

被相続人が所有していた建物で、表題登記は済んでいるけれども所有権保存登記が済んでいない場合は、不動産を承継した相続人名義で所有権保存登記をすることができます。

建築後、数年経過している建物であれば固定資産税評価額がありますが、建築後間もないときは固定資産税評価額が存在しません。

このような建物の不動産の価額は、各都道府県の法務局が発表している「新築建物課税標準価格認定基準表」を使って算出します。

なお、所有権保存登記の税率は相続登記の税率と同じく1000分の4です(住宅用家屋証明書を用いる場合を除きます)。

登録免許税の納め方

登録免許税は、収入印紙を申請書に貼付することにより納める方法が一般的です。

収入印紙は、法務局や郵便局で購入することができます。

収入印紙には消印はしないようにしてください。

所定の納付書を使用することにより、金融機関の窓口で現金納付をすることも可能です。

現金納付をする場合は、その領収証書を申請書に貼付します。

登録免許税を多く納め過ぎてしまった場合

登録免許税を誤って多く納めてしまったときは、その還付手続きをすることにより差額分を返してもらうことができます。

この場合、法務局へ還付通知請求・申出書を提出する方法により還付の手続きをします。

なお、還付はその場ですぐにされるわけではなく、ある程度の日数がかかります。

登録免許税が不足していた場合

登録免許税の計算を間違えていた等の理由により納めた登録免許税が不足していたときは、追加で不足分の登録免許税を納めなくてはなりません。

収入印紙で納めるときは、不足分の収入印紙を法務局の窓口に持っていくか、郵送でも可能か法務局の担当者に確認をします。

 

この記事の著者

司法書士/相続診断士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士・相続診断士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

東京汐留相続サポートセンターでは
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相続に関する様々なサポートを行っております。


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