相続登記や氏名・住所変更登記が義務化される!?今から対策できる人は対策を

   

2021年3月14日現在、相続登記及び氏名・住所変更登記は義務化されていません。

例えば、相続人が相続によって不動産を取得したとしても、相続人名義へ相続を原因とする所有権移転登記をしなくても、特に罰則はありません。

また、自身が登記名義人となっている不動産があり、自分の住所が変わったときに、その住所変更登記をしなくても同様に罰則がありません。

まだそのスタート時期は確定はしていませんが、相続登記及び住所変更登記が今後義務化され、もし一定の期間内に登記をしなければ過料の対象となるというお話です。

相続登記及び氏名・住所変更登記が義務化される理由

不動産の所有者が変更したときは、その名義変更に関する登記申請を行うことができます。

ご自宅を購入したことがある人は、売買代金を支払った後に自分の名義へ変更する登記申請を(その多くは司法書士に依頼して)経験したことがあるのではないでしょうか。

不動産の登記簿は、当該不動産に関する現在の権利関係が明確に記録されているべきであり、そのことをもって不動産に関与する人たちの権利が守られ、不動産という高価なものの取引の安全性が担保される得る仕組みとなっています。

所有者不明土地問題

2019年に、所有者不明土地の全ての面積を足すと九州全体の面積を上回るというニュースがありました。

所有者不明土地とは、 「不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所有者 に連絡がつかない土地」をいいます。

相続登記未了だけが原因ではありませんが、不動産の所有者が変わるたびにその名義変更が行われていない土地が多数あり、誰がその土地の所有者なのか登記簿からは判明せずに国や自治体が公共用地として利用できないという状況が生じています。

地震や豪雨による洪水等に対する災害対策を、所有者不明土地があると有効に実施できないという問題が生じていることもあって、国が相続登記未了問題に力を入れ始めました。

相続登記及び住所変更登記の義務化

所有者不明土地問題に対応するため、≫民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案が決定されました。

これには、「不動産の所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により当該不動産の所有権を取得した者は、自己のために相続の開始 があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以
内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない」とあります。

また、「所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、 当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から2年以内に、氏名若しくは 名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならない。」とあります。

つまり、相続登記については3年以内に、 氏名若しくは 名称又は住所変更津沖については2年以内にその登記を申請しなければならないことになります。

登記義務違反と過料

今回の改正案には、登記を義務化し、その義務に違反した者に対して過料を科すことも規定されています。

相続登記の義務違反については10万円以下の過料、氏名・住所変更登記の義務違反については5万円以下の過料が科される予定です。

相続税の申告が、原則として相続開始時から10ヶ月以内に行わなければなりませんので、相続税の申告時までに相続登記がが終わっていないのであれば、相続税の申告後に忘れないよう相続登記を申請してしまうのが良いのではないでしょうか。

相続税の申告に関与される税理士の先生は、相続財産に不動産があるかどうか把握できるため、相続登記が済んでいるか等のフォローをしていただけると依頼者に過料が科される可能性を下げることができるかもしれません。

なお、まだ改正法は施行されていないため、現時点ですぐに過料が科されるわけではありません。

相続登記をするメリット・デメリット

数年内には相続登記が義務化される可能性が高いのですから、現在既に不動産を相続されている方は今のうちに相続登記をしていた方が良いといえます。

後でやろうと思っていたとしても、特に働いていて忙しい方はつい後回しになり、結局相続登記をすることを忘れてしまうかもしれません。

ところで、義務化の有無に関わらず相続登記を早めにしておくと得られるメリットは何かあるのでしょうか。

相続登記をするメリット

相続登記をする最大のメリットは、自分の権利が保全されることではないでしょうか。

相続人が複数いるケースで、遺言や遺産分割協議によって自分だけが不動産を相続したときにその相続登記を怠ると、他の相続人の利害関係者によってその不動産が自分のものだと主張できなくなってしまう状況が生じてしまう可能性があるのです。

また、時間が経過すればするほど、相続登記の手間が増えてしまうということもあり得ます。

妹との遺産分割協議によって親の不動産を自分が相続したのにその登記をしないまま何十年も経過したようなケースでは、妹の子や配偶者、あるいは当該子の配偶者や子の協力を得なければ相続登記をすることができなくなる、ということもあるのです。

そのようなケース (特に前者) が怖いので、私がもし不動産を相続したらすぐに相続登記をして自分の権利を守りたい、と考えています。

相続登記をするデメリット

相続登記をするデメリットは、手間と費用負担です。

相続登記を申請するときは、当該不動産の評価額の0.4%に相当する登録免許税を納めなければなりません。仮に1000万円の不動産であれば4万円を、1億円の不動産であれば40万円がその相続登記の登録免許税となります。

加えて、登記の専門家である司法書士に依頼をすると、その報酬分が費用に加算されます。

手間として、相続登記をするには戸籍や住民票といった役所で取得する書類を集めなければならず、遺産分割協議によって特定の相続人が不動産を取得した場合は遺産分割協議書や印鑑証明書も求められます。

自分で相続登記をするには調べ物をして、申請書を作成して、法務局に登記申請書(と添付書類)を提出しなければなりません。

一般的には、相続登記は一生のうちに何度も経験することではありませんので、手間に対する負担は小さいものではありません。

相続登記をする

相続登記が義務化される可能性が高いのですから、不動産に対する自分の権利(所有権)を守るためにも、早めに相続登記をするに限ります。

相続登記は、ご自身で手続きすることも可能です。

≫相続人が妻、長男、長女であるときの相続登記手続き

一方で、どうしても専門的な知識が必要であり、また相続登記に必要となる書類を集めるにも時間がかかります。

相続登記を間違えないためにも、あるいは時間を節約するためにも、相続登記を専門家に依頼することも一つの方法です。相続登記の専門家は司法書士です。

税理士や行政書士に相続登記を依頼することは、彼らに違法行為を行わせることになってしまいますので避けていただければと思います。

石川 宗徳
 

このコラムを書いた人

 

司法書士石川 宗徳

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