原則として、不動産の登記は当事者が登記申請をしなければなりません(代理人に委任した場合を含みます)。
しかし、自分が登記申請に関与せずに自分が名義人となる相続登記をされることが稀にあります。
このページでは、 自分の知らないところでされる相続登記について紹介しています。
目次
相続登記が勝手にされる2つのパターン
自分の知らないところで自分が名義人となるケースは次の2つです。
- 相続人からの法定相続分による相続登記
- 債権者による代位登記
これらは違法に相続登記がされているわけではなく、法的な根拠にを基に行われます。
なお、勝手に相続登記をされる上記のケースにおいては、申請人以外の相続人がその法定相続分を失うことになる登記申請がされることはありません。
1.相続人からの法定相続分による相続登記
法定相続人は、法定相続分に応じた持分による相続登記を単独で申請することができます。
持分を相続しても持分だけを売ることは難しいこと(買主が見つかりにくい)から、多くのケースにおいては、遺産分割協議をしてからそれに基づき相続登記申請をすることになります。
相続人1名からの相続登記によるデメリット
相続人1名から法定相続分による相続登記は、次のようなデメリットからされることはあまりありません。
- 申請人以外の相続人に権利証が発行されない
- 登録免許税がかかる
申請人以外の相続人には権利証が発行されません。権利証が無い所有者がその所有権を第三者へ移転する登記の際は、権利証が提供できないため余分に費用がかかることがあります。
なお、全員が申請人となれば法定相続分に応じた相続登記でも相続人全員に権利証が発行されます。
また、被相続人から相続人のうち1名に名義変更をするとした場合、被相続人→不動産を相続する相続人と1回で名義を移すのではなく、被相続人→法定相続人全員→不動産を相続する相続人と2回登記申請をすることになりますので、前者に比べて後者の方が登録免許税が多くかかることになります。
遺産分割協議が成立したら
相続人のうち1名が当該不動産を相続することが決まったら、それ以外の相続人から当該不動産を相続した相続人へその持分全部を移転する、「持分全部移転」の登記申請をすることになります。
2.債権者による代位登記
相続人の債権者が、差し押さえの登記をするためにその前提として、法定相続分による相続登記を代位して申請することがあります。
この登記を(債権者)代位による登記と呼ばれています。
このケースの場合、代位により法定相続分による相続登記が申請された後、債務者たる相続人の持分に対して差し押さえの登記がされます。
差し押さえの登記
差し押さえの登記がされた後に、差し押さえの登記がされている持分につき遺産分割等により移転をすることもできます。
しかし、差し押さえの登記に劣後しているため、差し押さえられている持分が競売等により第三者へ移ったときは、差し押さえの登記後に売買や贈与、遺産分割協議によって当該持分を取得した人は対抗することができません(権利を主張することができません)。
遺産分割協議により相続人のうち1名へ名義を移すのであれば、被担保債務を弁済する等して差し押さえの登記を抹消した後にすることが一般的です。
権利証は発行されない
代位による登記も名義人となる相続人自ら登記申請をしていないため、名義人となる相続人には権利証が発行されません。
今後相続人がその所有権を移転するときは、権利証の提供に代わる一定の手続きが必要となります。

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