民法の改正によって創設された配偶者居住権の売却における計算方法

   

平成30年(2018年)7月に相続法が大きく改正され、その一部が令和1年(2019年)7月に施行されました。

その改正された相続法により、新しく配偶者居住権が創設されました。

配偶者居住権が消滅し売却した場合の計算方法はどのようになるでしょうか。

また、配偶者居住権が存在し売却した場合の計算方法はどのようになるでしょうか。

①配偶者居住権が消滅した場合の売却の計算方法

前提として、第一次相続(例:3人家族のうち、父親が他界し、子供一人と母親のみ)があった場合において、子供が自宅を相続し、母親が配偶者居住権を相続し、その後、配偶者居住権の消滅の為に、母親に対価を支払った場合は、下記の計算方法となります。

 

配偶者居住権の消滅として受け取る金額 ― 「自宅の建物の全体の購入費(※ 消滅日までの減価償却費を控除した金額) × 配偶者居住権等割合 ※ 」-配偶者居住権を相続した日から消滅した日までの減価償却した金額

※配偶者居住権及び配偶者敷地利用権 / 自宅建物等の価額(設定時の価額)

 

つまり、居住権をなくす代わりに受け取った対価でも、税法では権利の代金ではなく、不動産の売却代金という認識になり、分離課税の譲渡所得税で計算をすることになります。

分離課税の場合は、短期で約40%の税率、長期で約20%の税率がかかります。

自宅の建物から配偶者居住権の割合を合理的に計算し、居住権として使った分は価値が減少していると考えます。

今回の場合、前提としては、家庭環境が複雑な場合が考えられます。

イメージとしては、子供と母親が険悪な状態です。

非常に重要なのが計算方法もさることながら、配偶者居住権が使われないことがベストと個人的には思慮しております。

配偶者居住権は確かに配偶者及び配偶者の生活を守るためのものですが、その裏には、法律が守らないといけない、複雑な家庭環境があるからと判断しております。

そのようにならないために、生前に家族で話し合いを設けることを強く進めます。また、なかなかできないのであれば、税理士、司法書士の第三者を交えて協議することをお勧め致します。

※配偶者居住権は別のコラムで記載致します。

配偶者居住権、配偶者敷地利用権が存在する場合の売却の計算方法

前提として、第一次相続(例:3人家族のうち、父親が他界し、子供一人と母親のみ)があった場合において、子供が自宅を相続し、母親が配偶者居住権を相続致しました。

その後、配偶者居住権はそのままで、子供が自宅(配偶者居住権、敷地利用権以外)を
第三者に売却した場合、この計算方法は下記となります。

 

子供の自宅部分の所有権の対価 - 「自宅の建物の全体の購入費 ― 自宅の購入日から売却の日までの減価償却の累計額 - (自宅の建物の全体の購入費 × 配偶者居住権等割合※) 」- 配偶者居住権の相続の日から売却の日までの減価償却の累計額

※配偶者居住権及び配偶者敷地利用権 / 自宅建物等の価額

 

今回の場合も、①の場合と同様に、計算方法以上に、背景に複雑な家庭環境があると考えられます。

しかし、これからの時代は、離婚も増え、シングルファーザー、シングルマザーが増加し、再婚もふえていくと、揉める時代に突入していきます。

これからのことを踏まえると、生前に司法書士(又は弁護士)・不動産業者・税理士と連携し、遺言書の作成や不動産の活用方法、長期的なタックス計画が求められます。

今までとは異なる時代に突入したため、生活するにしても、今までとは異なる知識、知恵、専門家が必要となってくると考えられます。

特に配偶者居住権そのものは売却できないのですが、所有権とは別々のものになるので、居住権を設定しても、不動産を売却することは可能なのです。

まとめ

昨今の経済がグローバル化したことに伴い、働く環境、生活をする環境が大きく変化致しました。

そのため、これからの時代に対応するためには、過去の延長線上で生活をするのではなく、その時代の新しく考えられるリスクを考慮し、多角的に考えたリスクヘッジをするべきです。

今回配偶者居住権を設定していても、第三者に売却することは可能なため、登記の順番によっては配偶者居住権を設定したからといって、配偶者の生活が担保されたということではありません。

家族環境の変化に伴い、民法も今年大きく変化することとなりました。

そのため、今までシンプルに解決していた問題も、今後は問題が肥大化する可能性があります。新しく問題がでてくることも考えられます。

汐留パートナーズグループでは、国際結婚が一般化する中で生じる問題等にも対応すべく、バイリンガルサービスも行っており、英語・中国語に精通しているスタッフが数多く在籍しております。

弁護士・公認会計士・税理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士により、ワンストップでお客様にサービスを提供できる環境が整っておりますので、ご不明な点等ございましたらお気軽にお問い合わせいただければと思います。

亀谷尚輝
 

このコラムを書いた人

 

税理士亀谷尚輝

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