根抵当権付き不動産を相続したら3ヶ月、そして6ヶ月以内に検討すること

   

個人で事業をされている方は、根抵当権を利用して金融機関からお金を借りることがあります。

根抵当権を利用するときは、所有している不動産に、金融機関の根抵当権の登記を入れることになります。

根抵当権は、債務者が亡くなってから6ヶ月で元本が確定します。

このコラムでは、根抵当権の債務者が亡くなってから3ヶ月以内、そして6ヶ月以内に検討することについて紹介しています。

根抵当権と債務者の死亡

根抵当権の債務者が亡くなったときは、抵当権にはない根抵当権特有の気を付ける点があります。

それは債務者死亡後6ヶ月以内に根抵当権の元本が確定する可能性があるということです。

これは期限が定められていることなので、期限経過後に「知らなかった・・・。」とならないように注意が必要です。

根抵当権とは

根抵当権とは、一定の範囲内の不特定の債権について、極度額というあらかじめ定めた範囲内において担保するために不動産に設定する担保権のことをいいます。

住宅ローンの場合は、最初に住宅資金を一括で借り、後は返済していくだけであるため根抵当権ではなく抵当権が用いられます。

これに対して、事業用の資金のように反復継続的に借りては返してを行っていく場合は、借りる度に抵当権を設定するのは手間なので、根抵当権が用いられます。

根抵当権であれば、極度額の範囲内であればその債権は担保されるため、お互いの手間が省けることになるためです。

債務の金額によっては相続放棄も検討

根抵当権付きの不動産と一緒に、被相続人の金融機関からの債務(借金)を相続するときは、その金額によっては相続放棄をすることも検討する必要があるかもしれません。

相続放棄は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に行う必要があります(民法第915条第1項)。

根抵当権の元本確定事由

根抵当権は一定の範囲内の取引につき、一定の金額の範囲内についてその債権を担保しますが、民法で定められた事由の発生により根抵当権の元本が確定します。

元本確定事由の一つとして、債務者が亡くなってから6ヶ月以内に指定債務者の登記をしなかったときは、相続開始時に元本が確定したものとみなすというものがあります(民法第398条8の4)。

指定債務者とは、根抵当権の債務者となっていた人(被相続人)に代わり新たに当該根抵当権の債務者となる人のことであり、根抵当権者と指定債務者の(債権の範囲に含まれる)間の借入も当該根抵当権により担保されることになります。

(根抵当権者又は債務者の相続)
民法第398条の8

1. (省略)

2. 元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する。

3. (省略)

4. 第1項及び第2項の合意について相続の開始後六箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。

つまり、今後も当該根抵当権を利用していくのであれば、債務者が亡くなってから6ヶ月以内に指定債務者の登記を申請しなければなりません。

既に根抵当権が解除されているケース

被相続人の生前において、既に根抵当権が解除されているときは相続人が根抵当権を相続することはありません。

不動産に解除された根抵当権の登記が残っているのであれば、速やかに解除を原因とする根抵当権の抹消登記を法務局へ申請しましょう。

所有者と債務者が同じケース

所有者と債務者が同じケースとは、自分の債務(借金)のために自分の所有している不動産を担保に入れるケースです。

この場合、相続人が根抵当権を継続して利用するときは、所有者を相続人名義とする相続登記と指定債務者の登記の両方が必要となります(登記については下記参照)。

所有者と債務者が異なるケース

債務者のために所有者が不動産を担保に差し入れるケースです。

債務者の相続により所有者は変更しませんが、債務者の相続人が根抵当権を継続して利用するときは、指定債務者の登記が必要となります。

なお、指定債務者を誰にするのかの合意は債務者の相続人と根抵当権者が行いますが、指定債務者の登記は所有者根抵当権者が行います。

債務者が法人であるケース

債務者が法人である場合、法人に相続は発生しませんので相続により元本は確定しません。

これは、亡くなった人が債務者である法人の代表者であっても変わりません。

なお、法人である債務者が合併により消滅したときの一定のケースにおいては、設定者は元本確定請求を根抵当権者に行うことができ、これにより根抵当権の元本が確定します(民法第398条の9の3)。

元本が確定するとどうなるか

根抵当権の元本が確定すると、根抵当権が担保する債権が確定するため、以降は抵当権と同様の性質のものとなります。

根抵当権が担保する特定の債権の返済が終われば、根抵当権は弁済により消滅します(登記手続きは別途必要)。

根抵当権の債務者変更登記

相続人が被相続人の根抵当権を継続して利用するときは、指定債務者の登記が必要なことは前述のとおりです。

亡くなった人が不動産の所有者兼債務者であるときは、次の順序で登記申請を行います。

  1. 所有者変更の相続登記
  2. 相続による債務者変更の登記
  3. 指定債務者の登記

上記の3つのうち、一つひとつを別の日に登記申請をすることもできますが、3つをまとめて同時に申請することもできるためまとめて申請するケースが多いです。

最初に所有者変更の相続登記

不動産の所有者が相続によって変更したときは、その登記簿の名義を変更する必要があります。

この登記簿の名義を変更する登記手続きを、相続登記といいます。

相続登記については、こちらの記事をご参照ください。

次に相続人全員を債務者とする変更登記

次に、根抵当権の債務者につき、債務者の相続人全員に変更する登記を申請します。

指定債務者として相続人のうち1名を選定したとしても、一旦は相続人全員を債務者とする変更登記を省略することができません。

最後に指定債務者の変更登記

最後に債務者を指定債務者とする合意をした旨の登記を申請します。

なお、指定債務者以外の相続人が相続した債務も当該根抵当権の被担保債権に含めるのであれば、債権の範囲の変更登記も必要となります。

石川 宗徳
 

このコラムを書いた人

 

司法書士石川 宗徳

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