「毎月勤労統計」不適切調査で過少給付延べ1,973万人、567億円

各種年金関係

◆昨年12月に発覚、2004年から

厚生労働省の「毎月勤労統計」の調査手法が誤っていたことが失業給付などの過小給付につながったとして、大きな問題になっています。
毎月勤労統計は、従業員の給与の変化などを把握する目的で実施されています。調査対象は、全国の従業員5人以上の事業所。5~499人の事業所は無作為に抽出し、500人以上の事業所はすべてで、合わせて約3万3,000事業所となります。
厚生労働省は、調査を都道府県を通じて実施していますが、15年前の2004年から、東京都内の従業員500人以上の事業所については3分の1程度しか調査していませんでした。その理由や調査した事業所の選び方は明らかにされていません。
問題が発覚したきっかけは、昨年12月、厚生労働省の担当職員が総務省の統計委員会の打合せで「東京以外の地域でも従業員500人以上の事業所について抽出調査を実施したい」と発言したことだとされています。これにより重大なルール違反だとの声が上がり、問題が表面化しました。

◆雇用保険や労災保険で過小給付

規模の大きな事業所は給付水準が高い傾向にあります。このため、多くの事業所を調査していなかったことで、統計の平均給与額が本来よりも低く算出されました。この統計結果が雇用保険や労災保険を給付する際の算定根拠になっていることから、給付水準が押し下げられてしまいました。担当職員らは不適切な調査と認識しながら、組織全体で情報を共有していませんでした。
過少給付の対象者は延べ1,973人で、総額は537.5億円に上ります。政府は、過少給付のあったすべての対象者に不足分の追加給付を行います。
厚生労働省によると、過少給付で最も多かったのは、失業などの雇用保険で、延べ約1,900万人に計約280億円。休業補償などの労災保険でも延べ約72万人に計約241.5億円となりました。ほかに、船員保険で約1万人に計約16億円の過少支給がありました。追加給付の1人当たりの平均額は、雇用保険で約1,400円で、労災保険の年金給付では約9万円に上ります。
国庫負担分の積み増しのため、政府は平成31年度予算案の閣議決定をやり直します。
根本厚生労働大臣は記者会見し、「極めて遺憾であり、国民の皆様にご迷惑をおかけしたことを心よりおわび申し上げる」と謝罪。国の統計制度を所管する石田真敏総務相は会見で「再発防止に向け、具体策を検討するよう事務方に指示した」と述べました。