芸能人やスポーツ選手等の節税のための会社設立とは?

芸能人やスポーツ選手等が設立する法人のことを、難しい言葉では、「支配芸能法人」といいます。芸能人・スポーツ選手本人やその親族がマネジメント会社や資産管理会社として設立した法人であり、その芸能人・スポーツ選手等のマネジメント業務を主たる業務とすることが一般的です。

この支配芸能法人であるマネージメント会社は芸能人やスポーツ選手等の節税対策のために活用されています。よく芸能人が「個人事務所を設立した」と話題になったり、最近では、マネジメント会社を設立した芸能人が法人の申告を行わず、東京国税局から1億円超の申告漏れを指摘されたりと、何かと話題になります。この「個人事務所」とは法人格を持っている法人であってマネジメント会社になります。本日は、芸能人やスポーツ選手等の皆様が節税のためにマネジメント会社を設立することについて解説をいたします。

芸能人やスポーツ選手が会社を設立するとどうして節税になるのか?

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以前は芸能人やスポーツ選手の納税額ランキングである長者番付というものがありました。ただ、不思議なことに私たちがよく知っている超有名人の大御所芸能人が意外にもこのラインキングには入っていなかったりもしました。これは、一般的には彼らが個人事業主として収入を受け取るのではなく、自ら又は親族が設立したマネージメント会社(あるいは資産管理会社)でお仕事を契約し収入を得て、そこから役員報酬などにより受け取ることで大幅に節税しているためだと言われます。

数千万円から1億円以上の収入がある芸能人やスポーツ選手等であれば、超過累進課税制度である日本に居住している限り、なんと所得税、住民税、事業税で最高で50%を超える税金を納税しなければなりません。

(例)年収1億円 → 税金5000万円納付
(例)年収5000万円 → 税金2000万円納付

ところが、法人に課される税金である法人税・事業税・住民税の実効税率は50%まではかからず、最大でも30%台前半となります。アベノミクスの経済政策では法人の実効税率を30%未満にする方向性ですので、ますますマネジメント会社を設立することで、芸能人やスポーツ選手等は節税を図るメリットが大きくなることでしょう。

会社を設立するとどのような節税方法があるのか?

さて、このように芸能人やスポーツ選手が会社を設立すると税率差により節税を行うことができることはお分かりいただけたと思いますが、実はそれだけではなく、法人では個人事業主には活用できないたくさんの節税手法があります。例えば次のような節税方法があろうかと思います。

・自らの所得を事業所得から給与所得(役員報酬)とすることによる実効税率の軽減(給与所得控除の利用含む)(上述の通り)
・親族を役員や従業員に加え役員報酬や給与手当を支給することによる所得分散
・自分や親族への退職金の積み立てや課税の繰り延べを目的とした生命保険への加入
・出張旅費規程を整備・運用することによる出張旅費等の支給による節税
・社宅規程を整備・運用することによる法人契約の借上げ社宅利用
・車両管理規程を整備・運用することによる法人所有の車を利用
・新設法人を設立することによる消費税の免税期間の利用
・さらに子会社を設立することによる軽減税率の適用や交際費枠の拡大

それぞれの節税手法の詳細な解説はここでは割愛しますが、これらについては1つ1つしっかりと合理的な説明が可能になるように検討し実行することで大きな節税を図ることができます。ただし、過去に、プロ野球選手が架空のコンサルティング報酬を知人の会社へ支払うことで、過大な経費計上をして問題になったことがありました。節税は認められるが、脱税は絶対にダメ。そのあたりの線引きが難しいため慎重に判断をすべきです(弊社の経験豊富な税理士が会社設立からその後の検討までご相談承りますのでご安心ください)。

マネジメント会社の運営上の留意点

このように、芸能人やスポーツ選手等の皆様がマネジメント会社として法人を設立することには多くのメリットがあります。しかしながら、我が国の課税当局もそれを何でもかんでも認めるわけではありません。マネジメント会社を運営する上では以下のような点について留意する必要があります。

(1)どのようにマネジメント会社の売上として計上するか

芸能人が所属事務所から受け取るギャラや、スポーツ選手が球団から受け取る年俸を、新しく設立した会社で受けられるかという点は非常に重要です。所属事務所や球団が業務委託契約という形をOKしてくれるかどうかという点です。なぜなら、マネジメント会社が取引相手である所属事務所や球団に認められない以上は、単なる内輪での利益操作・利益調整とみなされてしまうリスクが高いためです。

これについては、一般的には所属事務所や球団からもちかけることはなく、所属芸能人やスポーツ選手サイドが「業務委託契約」の締結を求めることになると言われています。

また、所属事務所や球団がマネジメント会社との契約を了承してくれたとしても、芸能人が本来個人で受け取るべき報酬の全てをマネジメント会社の売上として計上していいのか(芸能人個人の収入として計上しなければならないものはないかどうか)などについても検討が必要です。

マネジメント会社が単に「ギャラの受け取り会社」になってしまわないように留意すべきです。法人の存在自体が税務調査で否認されることになってしまうほど、あからさまなトンネル会社やペーパーカンパニーではいけません。

(2)どのようにマネジメント会社の経費として計上するか

マネジメント会社に対して芸能人・スポーツ選手等の皆様、そして親族の皆様などは役務の提供を行うことになります。役務の提供を行わない限り、マネジメント会社から役員報酬や給料手当をもらうことはできないためです。このように法人と個人間の取引については慎重に決めていく必要があります。

もし、マネジメント会社が所属事務所や球団との直接契約を締結できた場合には、マネジメント会社から役員である芸能人・スポーツ選手等、そして親族等に支払う役員報酬や給料手当はどのくらいの水準にするべきかかという論点があります。

一方で、マネジメント会社ではなく芸能人やスポーツ選手等が直接収入を受け取った場合には、芸能人やスポーツ選手等がマネジメント会社に支払うマネジメント料をどのくらいの水準に設定するべきかという論点になります。

チュートリアル徳井義実さんの個人会社設立

最近話題になったチュートリアル徳井さんも2009年に「株式会社チューリップ」という個人会社の設立をされています。
個人で一定の所得まで到達したため、節税の目的でこの個人会社を設立されたと考えられますが、度重なる申告漏れや税金の未納付を受け、2018年に国税局の税務調査により、計1億円超の申告漏れを指摘され、多額の法人税の追徴課税を受けています。

また、一部の私的な支出を会社の経費に乗せて、所得を低く見せようとした「所得隠し」も同時に国税局より指摘されており、芸能人の方々がどの支出をどこまで会社の経費として計上すればいいのか、線引きが難しいため慎重な判断が必要となります。
確定申告を行う際に重要な必要経費については、その芸能人の活動内容により千差万別ですが、こちらのコラムに確定申告を行う際に関係するであろう必要経費項目を載せてありますので、ご参考にしていただければと思います。

HKT48の指原莉乃さんのお母様による個人会社設立

HKT48の指原莉乃さんのお母様が芸能プロダクションとして法人を設立しているらしいということが少し前に話題となりました。2014年5月に設立されたこちらの会社名は、34COMPANY(さしかんぱにー)で資本金は100万円、本社は大分県大分市とのことです。

事業目的は、
・芸能タレント等の育成、マネージメント業務及びプロモート業務
・芸能タレント等の音楽芸能活動に関する興行の運営業務
・芸能タレント等の肖像権の管理
・不動産の売買、管理及び賃貸 など
となっており、また、指原莉乃さん自身も取締役に就任しているとのことから、節税対策としての会社設立であると思われます。

しかしながら、世の中は「節税対策だ!」「指原独立だ!」と話題となっておりますが、最も重要なことは、将来のためにいかにキャッシュを残せるかです。節税対策を行うことで、将来に向けてのキャッシュを貯蓄していく、そのためにはいったいいくらくらい年収があればいいのでしょうか?またその他必要な条件などはあるのでしょうか?

最後に、具体的な年収がいくらくらいならマネジメント会社を設立するメリットがあるか等についてご紹介します。

具体的には年収がいくらくらいならマネジメント会社を設立すべきか?

芸能人やスポーツ選手等が、独立あるいは新規事業を起こすという目的を度外視して、単に節税対策として会社を設立するといった場合、単純に年収がどのくらいあれば設立するメリットがあるといえるのでしょうか?

先ほど個人事業の場合には、あまり必要経費がないという前提で、

(例)年収1億円 → 税金5000万円納付
(例)年収5000万円 → 税金2000万円納付

とご紹介いたしました。これは誤解を恐れずシンプルに表現した場合です。個人的には上記の水準(年収5000万円以上)であれば、十分にマネジメント会社を設立するメリットがあろうかと思います。一方で年収2500万円であれば少々悩みます。五分五分くらいでしょうか。法人を設立すると、その後の管理・運営にも一定のコストと時間を要します。また、何よりも安定して収入があればいいのですが、ものすごく収入が激減してしまった場合には、会社を設立して維持しているということが、その芸能人やスポーツ選手等の方々にとって負担になってしまう場合があるためです。

したがって、節税対策としてマネジメント会社を設立する場合には、単に収入の多寡だけではなく、収入の安定性についてもヒアリングをさせていただき、慎重に判断をする必要があります。ただ、あまり慎重になりすぎると、そもそも芸能人やスポーツ選手等の皆様の収入に「安定」という言葉はないでしょうから、キャッシュを残していくためにはある程度のリスクテイクをしていく必要もあろうかと思います。

マネジメント会社の設立や設立後の節税対策については、「何から始めればよいのかさっぱりわからない」というお話をよく聞きます。マネジメント会社の設立についてお困りの際はお気軽にご相談下さい。是非、弊社の経験豊富な税理士がお手伝いをさせていただければ光栄です。

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