人権デューデリジェンス(以下「人権DD」とする)とは、企業、そのグループ会社、及び取引先・調達先等における人権への負の影響を特定・評価し、特定された負の影響を防止・軽減するための具体的なアクションを実施し、それらのアクションの実効性を評価し、アクション、およびその進捗状況や成果について情報開示していく一連のプロセスを指します。
近年、ハラスメント、ジェンダー平等、長時間労働、外国人労働者や性的少数者(LGBTQ+)への対応、プライバシー侵害などの人権に関する問題は、企業の業績や株価に大きく影響する可能性があります。例えば、ハラスメントの問題が発生しその対応を誤れば、株価低下、顧客離れ、採用活動への影響が考えられます。また、内部でも退職者増加、それに伴う労働環境の悪化、業務遂行の遅延等の影響が想定されます。つまり、「人権リスク」=「経営リスク」にもなりえます。企業は人権DDを継続的かつ実効的に実施することにより、人権に関するリスクをマネージすることが社会的な要請として求められています。
なお、企業の人権への取り組みの背景・歴史の詳細、及び企業が取り組むべき人権の範囲について「コラム:企業の人権への取り組みの背景・歴史・範囲・影響」にてとりまとめておりますのでご参照ください。
想定される主な人権リスク
企業が想定すべき主な人権リスクは、以下の図の通り、26の類型があります。ただ、人権リスクの類型は以下の26類型が全てではなく、社会や環境の変化に伴い、企業に求められる人権への取り組みも時代とともに変化していくことを想定する必要があります。企業は、その事業活動や提供する製品・サービスに合わせた人権への負の影響の特定・軽減に取り組む必要があります。なお、26の主な人権リスクの解説と事例について、「コラム:企業が想定すべき主な人権リスク(26類型)」にて取りまとめておりますのでご参照ください。
企業はまた、人権への負の影響だけでなく、正(プラス)の影響を特定したうえで、事業機会の創出や企業価値の向上につなげることもできます。例えば、企業のDEI(多様性・公平性・包括性)、エンゲージメントやウェルビーイング向上への取り組みは、従業員1人1人の自己肯定感、働きがいの向上へ寄与し、さらにその家族、お客様、ビジネスパートナー、サプライヤーなど、関連するステークホルダーにもそのウェルビーイングを広げていくことができます。

出典:法務省「ビジネスと人権」に関する企業研修 投影資料をもとにRSM汐留パートナーズが独自に作成
人権DD-RSM汐留パートナーズのご支援内容
企業は人権リスクをマネージするため、以下のステップに沿って、人権方針・戦略、目標、アクションプランを達成していくために必要な体制、経営資源、実施プロセスを確立し、Plan-Do-Check-ActつまりPDCAサイクルを回し、アクションの継続的改善を進め、実効性を高める必要があります。
RSM汐留パートナーズは、貴社の人事・労務またはESG・サステナビリティ経営方針・戦略に整合して、人権DDを含め人権尊重への網羅的な取り組みをご支援いたします。
現状把握-人権DDの運用
企業は人権に関する自社の現状を把握する必要があります。まず、自社が関与している、又は関与している可能性のある人権への正負の影響を特定します。次に、それぞれの正負の影響度を、被害の大きさ(深刻度)、発生する可能性(蓋然性)、自社事業への影響、社会またはステークホルダーへの影響等、様々な角度から評価した上で、どの正負の影響から対応していくのかについて、優先順位づけを行います。この評価は1回きりではなく、毎年最低1回、経営幹部を含めて実施する必要があります。社会や環境の変化に伴い、企業に求められる人権への課題や取り組み内容も時代とともに変化していくためです。
人権方針・戦略・目標・アクションプランの策定
人権に関する現状把握や課題の優先付けが完了したら、人権尊重責任を果たすという企業のコミットメント(約束と実行)を示す人権方針を策定し、その方針に沿って戦略、目標、アクションプランを策定します。
マネジメントシステムの構築・運用
人権方針・戦略、目標、アクションプランを達成していくために必要な体制、経営資源、実施プロセスを確立し、Plan-Do-Check-ActつまりPDCAサイクルを回し、アクションの継続的改善を進めます。マネジメントシステムの一環として、自社が人権への負の影響を引き起こし又は助長していることが明らかになった場合、企業は被害を受けている人々を速やかに救済するプロセスを運用する必要があります。また、自社の事業・製品・サービスが何らかの形で負の影響と直接関連している場合、負の影響を引き起こし又は助長している企業に働き掛けることにより、その負の影響を防止・軽減することが必要となります。救済の具体例として、謝罪、原状回復、金銭的又は非金銭的な補償、再発防止の実行、サプライヤーに対する再発防止の要請があります。また、企業は、人権への負の影響を受けた、又は受けている人を迅速に救済するため、苦情処理システムを構築・運用するか、業界団体等が設置する苦情処理システムに参加することが必要です。
ステークホルダーへの情報開示
人権に関するリスクや機会への取り組みに関して、ステークホルダーに対して情報開示を行うことは、企業が果たすべき責任の一つです。その際、自社が関与している人権リスクへの影響について、情報開示することを躊躇する企業もありますが、人権リスクはどの企業に存在するものであり、人権リスクへの取り組みの進捗状況や成果を示すことは、自社の従業員はもちろん、株主や顧客、その他のステークホルダーからの信頼を高めることにつながります。また、情報開示だけでなく、人権への取り組みに関してステークホルダーから「共感」を得られるよう、実効性・透明性のある双方向コミュニケーションを推進する必要があります。
プロジェクトマネジメント
人権への取り組みに関して、クロスファンクショナル(全社または複数事業部横断)プロジェクトを推進する際、プロジェクトの進捗状況やプロジェクト毎の課題を把握し、その課題解決を支援するような人材が必要となります。企業によっては、プロジェクトマネジメントに関するスキルや能力を持つ人材が不足していることがあります。貴社にそのような人材不足のお悩みがあれば、弊社コンサルタントをプロジェクトマネージャーとして活用することが可能です。
チェンジマネジメント
人権への取り組みは従来の経営概念や手法から大きな変革を伴う可能性があります。チェンジマネジメントの手法やプロセスを実行し、チャンピオンを任命することにより、人権への取り組みに関して変革やその重要性について、貴社従業員、サプライヤーをはじめ関連するステークホルダーが理解を深め、その変革に適応することができるよう支援します。
アウトソーシング(研修、広報、その他業務代行)
企業によっては、社内に人権に関する専門知識や業務経験を持つ人材が不足していることがあります。貴社にそのような人材または実行力不足のお悩みがあれば、弊社コンサルタントが、貴社従業員やサプライヤー向け研修業務、広報業務、その他業務を代行することが可能です。
RSM汐留パートナーズの人権デューデリジェンス(人権DD)の特徴
1
フットワークが軽くスピード感をもったご支援が可能
2
労務DD、人事DDも合わせてご提供可能
3
他の支援サービスとの連携によるワンストップサービスも可能
RSM汐留パートナーズのワンストップサービス

今後の流れ

担当者
関口 智史 Satoshi Sekiguchi
高橋 圭佑 Keisuke Takahashi
残間 一文 Kazufumi Zamma
大城 陸 Riku Oshiro
人権デューデリジェンス(人権DD)の料金体系
人権デューデリジェンス(人権DD)の料金体系については想定業務範囲に基づく想定工数から算出した定額方式又はタイムチャージ方式にてお見積をさせていただいております。ご相談事項によっては、定額方式でのご支援が難しい場合もございますが、RSM汐留パートナーズはクライアントのご予算内で費用対効果抜群のサービスをご提供させていただくことをミッションとしています。まずはお気軽に当社コンサルタントまでご相談ください。
