税理士という仕事の歴史について
2026年1月8日
税理士を目指して研鑽を積まれている皆様は、ご自身が志すこの職業がどのような変遷を経て今日に至ったかをご存知でしょうか。RSM汐留パートナーズにおいても、すでに資格を保有しているメンバーや合格を目指して励んでいるメンバーが数多く在籍していますが、その歴史的背景まで詳しく把握しているケースは、実務に携わる中ではそれほど多くないのが現状です。
今回は、プロフェッショナルとして知っておきたい税理士という仕事の歴史について解説します。

税理士の誕生と前身となった制度
税理士制度の起源を辿ると、明治時代に存在した「税務代弁者」という役割に行き着きます。明治以降、日本には海外から様々な新しい税制が導入され、近代的な税務の仕組みが整備され始めました。
当時はまだ「税務代弁者」という明確な職能は確立されていませんでしたが、1904年の日露戦争以降に増税が行われたことを背景に、税金に関する専門知識を持つ人材への需要が急速に高まりました。その結果、法律に精通した弁護士や、国税に従事していた官吏のOB、計理士といった方々が、税務代弁者として活動する機会が増えていったのです。
しかし、活動が広がる一方で、高額な報酬を要求する悪質な代弁者が現れるといった問題も表面化しました。府県令による規制なども試みられましたが根本的な解決には至らず、国が正式にその活動を統制するために動くこととなります。こうして1942年、現在の税理士制度の前身となる「税務代理士法」が制定されました。
戦後の近代化と現代の税理士制度
第二次世界大戦後、日本の社会・経済は急速な近代化を遂げました。その過程で、所得税などに申告納税制度が導入され(所得税では1947年)、納税者が適正に申告・納税するための支援体制が強く求められるようになりました。
申告税制は納税者自らが正確な知識に基づいて申告を行う必要がありますが、その内容は複雑であり、納税者が適正に義務を果たすためには専門的な知識を持つ代理人が不可欠でした。そこで、納税者の代理人制度をより強固なものにするため、1951年に「税理士法」が制定されます。これにより、名称は「税務代理士」から現在の「税理士」へと改められ、現代に続く制度の枠組みが完成しました。
また、青色申告制度などの導入に伴い、税理士に求められる能力水準は大幅に向上しました。これを受けて、従来の「国の許可制」から「試験制度」へと移行し、人格・能力の両面で必要な資質を備えた人材を登用する仕組みが整えられました。こうして、現在のような高い信頼性を誇る国家資格としての税理士が確立されたのです。
広告の自由化とこれからの展望
その後も時代に合わせた変革は続き、2002年4月には税理士業務報酬の規定が廃止されました。これと同時に、日本税理士会連合会による「広告は原則自由化」された一方で、虚偽・誇大など、利用者の判断を誤らせる表示を防ぐためのルールは引き続き設けられています。
これまでの歴史を振り返ると、税金の代理業務という仕事自体には100年以上の歴史がありますが、厳しい試験制度を経て付与される現在の「税理士」という資格が誕生してからは、まだ75年ほどしか経過していません。
専門知識を駆使して国と納税者を繋ぐ税理士という職業は、非常に大きな社会的責任を負うと同時に、極めて高いやりがいと市場価値を持つ仕事です。長い歴史の中で培われてきた信頼を背景に、これからも需要が絶えることのない重要なポジションであると言えるでしょう。


-300x76.jpg)