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特許要件とは?

 発明とは自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいい、特許発明とは特許を受けている発明をいいます。したがって、特許権を取得するためには、創作した発明について特許を受ける必要があります。特許法では、一定の要件を満たした発明をしたものは、その発明について特許を受けることができる旨規定されています。この特許を受けるための要件を「特許要件」と呼んでいます。特許要件には以下のものがあります。

①産業上利用できる発明であること(発明該当性、産業上の利用可能性)
 まず、特許法の保護対象が「発明」であるから、「発明」に該当しないものに対しては特許が付与されません。また、「発明」に該当するものであっても、特許法の目的が産業の発達にあることから、特許を受けようとする発明は、産業上利用することができる発明でなければなりません。

②新しいものであること(新規性)
 特許制度は発明公開の代償として特許権を付与するものですので、特許権が付与される発明は新規な発明であることが必要です。したがって、特許出願した発明が、出願時点において既に公知となっている場合には新しくない、すなわち新規性がないものとして特許を受けることができません。

③容易でないものであること(進歩性)
 特許出願した発明が新規性があるものであっても、それが容易に発明をすることができるものについて特許権を付与することは、技術進歩に役立たず、かえって技術進歩の妨げになるから、そのような発明は特許を受けることができません。

④自身Aの特許出願(後願)した発明が、その出願後に公開された他人の特許出願(自身Aの特許出願前にされた特許出願(先願))の明細書等に記載されたものでないこと(拡大先願)
 後願が先願の出願公開等より前に出願されていたとしても、後願に係る発明が先願の当初明細書等に記載された発明等と同一である場合には、後願が出願公開等されても新しい技術を何ら公開するものではないから、新しい発明の公開の代償として特許権を付与するという特許制度の趣旨から、そのような発明は特許を受けることができません。

⑤最先の出願であること(先願)
 新しい発明の公開の代償として付与される特許権は、特許権者に一定期間特許発明の実施を独占させる権利であり、裏を返せば、その独占を確保するために、無断で特許発明を実施する者に対しては差止請求や損害賠償請求等も行使することができるから、排他する権利の側面ももっており、これが「特許権は独占排他権である」といわれる所以です。従って、一つの発明について二つ以上の権利を認めるべきではないことから、重複特許を排除すべく、一つの発明について複数の出願があったときには、最先の出願人のみが特許を受けることができます。

⑥公序良俗等を害しないものであること(不特許事由)
 産業上利用することができるような発明であっても、公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するような発明については公益的見地から特許を受けることができません。