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山本 翔大 Shodai Yamamoto

この記事の著者

山本 翔大 Shodai Yamamoto

アシスタントマネージャー

Microsoft Intuneで実現する中堅企業のセキュリティ対策と働き方改革

2025年11月4日

はじめに:Microsoft Intuneとは何か?

テレワークやハイブリッドワークなど、従業員の働き方大きく変わった今、企業の「セキュリティの不安」を解消するためにMicrosoftが提供しているのが、Microsoft Intune(マイクロソフト インチューン)です。

Microsoft Intune(以下Intune)は、スマートフォン、タブレット、PC、を一元的に、管理するMDM(Mobile Device Management)の一種です。従来は端末ごとに手作業で行っていた設定やソフトウェアインストールを行っていましたが、Intuneを使えば、従業員がどこにいてもインターネット経由で

  • アプリケーションの一斉配布・自動更新
  • セキュリティポリシー適用(パスワード強制、端末暗号化など)
  • セキュリティパッチの配布・自動適用
  • 紛失・盗難時の遠隔ワイプ
  • 条件付きアクセスによる制御

などを集中制御できます。これらの機能を用いることで、情報システム部門の運用コストの低減を図りながら、一律のポリシーを適用することが可能となり、企業におけるセキュリティリスクの低減を図ることも考えられます。

また、Microsoft 365ファミリーの一部であることから、 Microsoft Entra ID (旧Azure AD)とネイティブ連携し、ID管理からアクセス制御、マルチデバイス運用までをシームレスに実現が可能です。管理者はブラウザ上の専用コンソールを操作するだけで、社内外を問わず統一したセキュリティ基盤を構築できます(1)

さらに、Intuneは、Windows OS、macOS、iOS、Android、Linuxなど、様々なOSのデバイスに対応しています。そのため、会社所有のデバイスだけでなく、従業員の個人デバイス(BYOD:Bring Your Own Device)も管理できます(1)。BYODの場合、業務のデータを個人の領域へコピーする行為(ファイルコピー・文字のコピー・スクリーンショットの撮影)を禁止することが可能であり、BYOD端末の利便性を享受しながら、リスク低減を図ることが可能になります。

(出所:Microsoft公式サイト「What is Microsoft Intune – Microsoft Intune | Microsoft Learn 」を参考にRSM汐留パートナーズが独自で作成)

現状として見過ごしている経営リスク

クラウド型統合エンドポイント管理を活用せずに従来の手作業や分散管理を続けていると、以下のような課題が日常的に放置され、企業の信用失墜や法的責任問題に直結する「経営リスク」に発展する恐れがあります。自社の状況と照らし合わせ、例としてあげている下記の項目の中に該当するものがないか今一度ご確認ください。

A. セキュリティリスク

– 私物スマートフォン/タブレットを用いた社内メールやファイルに無制限アクセス。情報の持ち出しが出来てしまう点
– パッチ適用が一元管理されず担当者任せの結果、既知の脆弱性を用いた攻撃が成功してしまう可能性
– 機密データが端末内に残存し、情報漏えいリスク
– 複雑度の低いパスワード設定や多要素認証未導入により、アカウント乗っ取り被害の誘発

B. テレワーク/リモートワーク対応の課題

– VPNに依存し、設定負荷・サポート依頼が増大。結果として接続が遅延し業務生産性が低下
– 社外ネットワークからの接続をIP制限だけで運用し、盗聴や不正アクセスの温床に
– 個人端末と業務データを隔離できず、紛失時の情報流出対策が不十分

C. IT運用負荷と業務属人化

– OSイメージ配布~アプリインストールまで手作業で対応し、オンボーディングが遅延
– 定期棚卸が追いつかず、何がどこにあるか把握できない
– マニュアル未整備・IT巡回待ちで、担当者不在時に問題解決が滞る

D. コンプライアンス違反リスク

– 証跡管理や改ざん防止措置が不足し、監査時ペナルティ対象に
– セキュリティ管理体制や運用プロセスが基準に合致せず、認証取得や更新が困難
– デバイス管理ログやポリシー実行状況を迅速に出力できず、審査対応が遅延

これらはもはや個別のIT課題ではありません。一度でも情報漏洩が発生すれば、顧客からの信頼失墜、取引停止、損害賠償請求といった事業継続を揺るがす事態へと発展する恐れがあります。

Intuneがもたらす「守り」と「攻め」の経営改革

そして、Microsoft Intuneは、単なる「守りの強化」に留まらず、企業の成長を後押しする「攻めの経営」の土台を築くことにも繋がります。

まず最も重要なのは、強固なセキュリティ基盤の構築です。Intuneを活用すれば、全デバイスに対して統一されたセキュリティポリシーを自動適用できます。パスワードの複雑性要件、デバイスの暗号化、多要素認証の強制など、これまで各従業員に任せていたセキュリティ対策を、組織として確実に実施できるようになります。最新のセキュリティパッチも自動配信されるため、脆弱性を放置するリスクもなくなります。万が一デバイスを紛失した場合でも、遠隔からデータを消去できるため、情報漏洩を防げます。

次に、場所を選ばない働き方の実現です。Intuneは、自宅、外出先、オフィスなど、どこからでも安全に業務システムにアクセスできる環境を提供します。複雑なVPN設定は不要で、日常的に使っているMicrosoft 365に、いつもと同じ感覚でアクセスできます。BYODの業務利用も、プライバシーを守りながら実現可能です。業務用のアプリとデータのみを管理し、個人の写真や連絡先には一切触れないため、従業員の抵抗感も最小限に抑えられます。

IT管理業務の劇的な効率化にも、重要な役割を果たしています。新入社員のPCセットアップは、従来であれば半日がかりの作業でしたが、Intuneと合わせてAutopilotの機能により、電源を入れるだけで必要なアプリやセキュリティ設定が自動完了します。ソフトウェアのインストールやアップデートも、IT担当者が各デスクを巡回する必要はなく、管理画面から一括配信できます。全デバイスの状態は一つのダッシュボードで可視化され、どのデバイスがセキュリティ基準を満たしていないか、一目で把握できます。これにより、IT担当者は日常的なトラブル対応から解放され、より戦略的な業務に集中できるようになります。

コンプライアンス要件への対応も大きなメリットです。ポリシーに準拠していない端末はMicrosoft 365への接続が禁止することが可能であり、パッチ適用などがされていないセキュリティリスクの残存する端末を自社のリソースへアクセス出来なくすることもできます。それに加え、デバイスの利用状況やアクセス履歴を自動記録するため、監査時に必要な証跡を迅速に提出できます。電子帳簿保存法個人情報保護法ISO 27001など、様々な法規制や認証要件に対応したデバイス管理が実現できます。こちらに関しては、当社が提供しているISO 27001取得支援サービスと組み合わせることで、情報セキュリティマネジメントシステムの構築から認証取得まで、一貫したサポートを受けられます。

もちろん、Intune導入時の初期設定には専門知識が必要であり、適切な構成を設計しなければ効果を最大化できません。また、セキュリティポリシーの適用により、従業員が「制約」を感じ、抵抗感を示す可能性も考えられます。しかし、これらの課題は、専門家による適切な導入支援と、丁寧なコミュニケーションによって十分に克服可能です。重要なのは、「なぜこの対策が必要なのか」を経営層から明確に発信し、全社でセキュリティ意識を共有することです。

RSM汐留パートナーズが提供する包括的な導入支援

Microsoft Intuneの導入を成功させる鍵は、単なる技術的な設定能力ではありません。その技術を、いかに自社の業務プロセスや企業文化にフィットさせるか、という視点です。ここに、私たちRSM汐留パートナーズが「業務変革のパートナー」としてお役に立てる理由があります。

私たちの支援は、まずITヘルスチェックから始まります。これは当社独自のチェックリストを用いて、現状のデバイス管理体制、セキュリティ対策、業務プロセスを多角的に診断するものです。この診断により、どこにリスクがあり、何から手をつけるべきかが明確になります。その上で、クライアントの業務特性や将来の成長計画を踏まえ、最適なIntune構成をご提案します。さらに、当社の強みである会計税務・人事労務・法務といった専門分野への深い知見をフル活用することで、単なる「Intuneを設定する」だけでなく、「クライアントの業務に本当に必要なセキュリティ対策とは何か」を的確に判断し、実務に即した設計を提供できます。

そして最も重要なのが、導入後の継続的な運用支援です。Intuneを導入しても、それで終わりではありません。定期的な利用状況のモニタリング、セキュリティポリシーの見直し、新たな脅威への対応など、継続的な改善活動が不可欠です。当社では、導入後も定期レビューを実施し、業務上の成果を確認しながら、必要な調整を行います。

Microsoft Intuneを中心としたクラウド環境の整備は、「IT部門だけの問題」ではなく、企業全体の競争力を左右する経営課題です。もし、本記事を読んで少しでも自社の状況に不安を感じられたなら、ぜひ一度、当社が提供しているITコンサルティングサービスをご覧ください。技術と業務の架け橋となり、企業の持続的な成長を支えるお手伝いをいたします。

参考:

(1)Microsoft Intune とは – Microsoft Intune | Microsoft Learn

(2)ユーザー ID とグループ ID の管理とセキュリティ保護の概要 – Microsoft Intune | Microsoft Learn

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