労働分配率から考える経営の姿
- 2025.09.10
- 公認会計士・税理士, 会食・交流会・セミナー, ビジネスの話
税理士法人の経営者同士の勉強会では、労働分配率が話題にのぼることが多くあります。その際、税理士法人によって代表者の報酬の多寡が大きく異なるため、労働分配率(社会保険料・賞与を含み、代表者報酬は含まない)がよく話題になります。
規模にもよりますが、100人以上の事務所で考えると、理想は50〜60%程度とされているように感じるのですが、弊社の連結ベースでは代表者報酬も含め65%ほどという感覚です。それでも高すぎるとは感じていませんが、税理士法人全体で見ればどうも高い方に位置されるように感じます(私の代表者報酬が高いということはございません笑)。
この点について実はずっともやもやしていました。このもやもやについて、Big4監査法人の損益計算書(P/L)を眺めて電卓を叩き労働分配率を計算し、遅ればせながら自分の中で整理がついてきまして、霧が晴れてきました。日本のBig4監査法人の労働分配率(2023/24期、パートナー役員報酬含む)は62〜74%ほどです。この差は、パートナーの取り分が役員報酬とされてP/Lの販管費に含めているのか、税引後当期純利益からの配当とするかの違いだと理解しています。これはP/Lに表れる利益の厚薄の差からも読み取れます。
私は、役職員を「会社に人生の時間を投資しているオーナー」と捉え、配当的な意味合いも含めて賞与で還元しています。その結果として労働分配率は高めなのですが、ワンストップファームとして規模が拡大する中ではむしろ自然な形かなと思っています。高すぎても未来への投資余力や強固な財務基盤を確保できないので、バランスを取りながら経営を行うことが重要であるのは言うまでもありません。明確な指標がないものの極めて大切なこのポイントについて、経営者としての感度を常に研ぎ澄ましていきたいと思います。